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■ナカツクニ短編① 大神小物 石簡【大神】

ナカツクニ短編① 大神小物 石簡 【大神】

 大神の小物についての短編。

 

 「良い天気だなァ!アマ公!…ン?こっち行こうぜ!店があるみてェだ!」
「ワゥ!」
久しぶりに西安京を訪れたイッスンとアマテラスは庶民街を散策していた。


路地に入りシュタシュタ駆ける。


「ワゥ…?」
アマテラスはふと何かが光った気がして立ち止まった。

軒先に藍色の布をかけた長机が置かれている。のぼりを見ると、どうやら小物屋のようだ。

様々な櫛、かんざし、指輪、財布、組み紐、根付け…色とりどりの装飾品が並ぶ。
どれも光を反射し綺羅綺羅している。
「ン、アマ公何か買い物するのかァ?」
「ワゥ…」

見ると長机の脇の小さな腰掛けに、おばあさんが三毛猫を抱いて座っている。店番らしい。
三毛猫は赤い蝶結びの首輪をしている。

「おやおや、わんちゃん。いらっしゃい」
アマテラスに店番のおばあさんが話し掛けてきた。

きっと若い頃は凄い美人だったのだろう、地味だが洒落た落葉色の着物を着こなし、まとめた白髪には赤珊瑚のかんざしを一つ。

「クゥーン」
アマテラスが撫でてもらう。
「よしよし、うーん、わんちゃんにあげれるような品物があったかね。ちょっと待っておいで」
おばあさんはそう言って、椅子から立ち上がり。
三毛猫を藍色の座布団の上にぽんと置き、店の奥にゆっくりと消えていった。

にゃー。
置かれた三毛猫がおばあさんのを目で追って鳴く。でも座布団は気持ち良いらしい。
くるりと丸くなる。

奥で何やらごそごそと音がする。
「アマ公、この店で何か買うのかァ?けどよォ、お前には要らねェだろ?」
イッスンは聞いた。アマテラスが装飾品を買ってどうしようというのだ?
「くぅ?」
アマテラスは首を傾げた。よく分かっていないらしい。
「まあ、ぶっちゃけ金は腐るほどあるし、ここらでパァーッと使うか?」
「ワゥ」
アマテラスは同意した。妖怪退治は中々稼げる。

にゃー?

椅子の上で三毛猫が首をかしげる。動物と言えば餌だ。
「ワゥ」
アマテラスがイッスンを差し出す。
「オゥ。餌か…ってオイラは餌じゃねぇ!」

アマテラスが餌(イッスンでは無い)をあげ終え、幸玉を貰った頃、おばあさんが戻ってきた。
四角く平たい木箱を持っている…。
長机の上の品物を少しずらし、木箱を端にのせる。

黄色の掛け布を取ると、そこにはいくつかの石簡や小物が並んでいた。

「昔はよく見たんだけどねぇ。近頃はめっきり減ってしまって。今店にある神飾りはこれだけだよ」
おばあさんはそう言って、また座って三毛猫を撫でる。
「アウ!?」「へぇ、神…んだってェ!!?」
アマテラスが驚き、イッスンも思わず身を乗り出す。

神飾りとは。
―身に付けるだけで水に立てたりするアイテムなり。
ただしお高い。


「すすすす、すげぇ!これ全部神飾りかァ!?ばあちゃん、詳しく教えてくれよォ!」
「ワゥ!」
イッスンとアマテラスが燃え始める。買う気満々だ。

「そうさね、いいよ。どれがいいかね」
おばあさんが笑う。
「これ、コレは?」
イッスンが一つをよいしょと持ち上げ見せる。
「ああ、それは猫寄せの石簡だねぇ。お耳がキュートだねぇ。わたしも若い頃は猫鳴りの塔で猫ちゃん達と遊んだもんだよ」
おばあさんに抱かれた猫がにゃー、と鳴く。
まさかこの猫もその類いか。

「すげぇな!アマ公!買おうぜ!」
「ワゥ!」
アマテラスがどこからか財布を取り出す。
「おやおや。そんなに焦らないで。他のも聞いとくれよ」

「それもそうだなァ!じゃあコレは?」
イッスンが一つを示す。
「ああ、それは鳥寄せの石簡、ひよこから鶴まで。スズメだって寄ってくるよ。こっちは犬寄せ、そして馬寄せの石簡。ああこれは熊除けの霊鈴だね」
「ワゥ!」
アマテラスは全部欲しそうだ。
「なるほど…ン?この黄色いのは?」
イッスンは黄色い石簡を指した。形は火よけの石簡に似ているが…。

「これは雷よけの石簡だよ。コレがあれば落雷なんかへっちゃらさ」
「雷かァ!……、…使い道あんのかァ?」
イッスンが首を傾げる。
「おやおや。嵐の中の航海とか、カラクリの組み立てとかには、かなり便利なんだけどねぇ。ああ、これはどうだい?」
おばあさんが桃色の石簡を手に取る。
「ん…それは?」
イッスンは聞いた。

「神飾り、ツン→デレの石簡さ。コレをつければどんなつんつんした相手でもデレる優れものだよ。これは私が爺さんから貰ったとっておきなんだけど…、わんちゃんになら売ってもいいかしらねぇ…」
おばあちゃんは頰を赤らめた。

「ハイ買ったァア!!!」「ワゥゥゥ!!」
イッスンが叫ぶ。アマテラスも大同意だ。

「おやおや。でもごめんね、これは少々値が張るよ」
おばあちゃんがさっとそろばんを取り出し弾く。
「良いってェ!アマテラス大神様は」

そこで途切れた。



「アマ公、行くぜ!妖怪退治だ!!」
「クゥーン…」
とりあえず全財産を払い財布を空け、残りは今から稼ぐイッスンとアマテラスだった…。

■ ■ ■

そしてイッスンとアマテラスは今日も海岸にいた。
敵は姑獲鳥三体。

「よっし!盗った!大皿!アマ公やれェ!」
「ワゥ!!」
素晴らしいコンビネーションで、まずイッスンがスリの手袋でめぼしい骨董をかすめ取り。
アマテラスが疾風、一閃、また疾風!妖怪牙を出し鮮やかに、溜めた七支刀で一気に切り裂く。

「ゥー」
ほぼ同時に三つの徒花が咲き、評価はもちろん全部神!

―バサッ。
イッスンが道中扇を広げる。

「ハァ…、よし、大分骨董も貯まったなァ。一回換金すっか」
「ワゥ!」
彼等は自分達の旅の目的を忘れかけていたが…まあ、二周目だし特に問題は無い。
「ぜってぇ、何が何でもあの石簡を買うぜ!」
「ワン!」
何かもう一月くらいやってる気がする。でも良いのだ。
あの石簡は今後、道中で絶対必要になる気がする!だから良いのだ。


「ほな、まいどあり~」
都に戻ったアマテラスとイッスンは、なじみの骨董屋で換金した。
「やっぱ、ココの店が一番高く買ってくれんなァ!しかし、さすがはアマテラス大先生!何時もながら大したふっかけだぜィ!」
「ワゥ!」
余計な知識と高く売る術を身につけつつ。さらに幾日か。


そしてついに。
「まあ、よくがんばったわねぇ。はい、お品物だよ」
「よっしゃぁああ!!アマ公!!」
「――アオーーーーーーーーーン!!」
一人と一匹は勝ち鬨を上げたのだった。



「…さて、ようやく手に入れたぜ…、ゴクリ」「ワゥ…」
ここしばらく拠点としていた都の木の下で、じっくとその櫛を眺める。

見るからに美しい桃色の石簡だ。桜の模様が彫り込んである。
歯は細かく、他の石簡と違い普通に櫛としても使えそうだ…。

「確かに、コイツは滅多にねぇ逸品だぜ…」
「ワゥ」
すっかり目利きになったイッスンとアマテラスは、その精緻さに惚れ惚れした。

当然素材もそんじょそこらの石ではない。
透き通り、光輝く…。それ自体が大変希少な宝石だ。

「良い買い物したなァ!」
「ワゥ!」
「っと、眺めてねェで使わねぇと!アマ公、装備だ!」
本来の目的を思い出し、アマテラスが装着する。

「ワゥ?」

「…、よし付けたなぁ、オウ、さすがアマ公、すっげぇ似合うぜ。…ッはっ!?」
すでに効果は抜群だ。

「ァゥ!?」
コレにはアマテラスもおどろいた。どう?と聞いたが。
ツンデレのイッスンが、まさかそんな事を言うとは夢にも思わなかった。

「プフフフフフ!こりゃすげぇなァ!じゃ、行くかァ!」
「ワゥ!」
善は急げ。アマテラスは駆け出した。

「っと、つんつんしたヤツってオイラ以外に誰が居るかぁ…?」
石簡のおかげで自覚が芽生えたイッスンだった。
「ワゥ…」
イッスンの言葉にアマテラスは立ち止まった。
これはツン→デレの石簡。
良きツンが居なければ始まらない…。
「えっと…どっかにツンケンしたヤツはと…犬嫌いとかかァ?」
イッスンは辺りを見回した。


「ごちそう様。ぁ~、今日も良い天気だし午後はサボッちゃおうかなぁ」
と、丁度良い感じに昼休みっぽいウシワカが食事処から出て来た。

「!!おう、アレは…居たぜィ…最強のツン男が」
「ワゥ…!」
イッスンとアマテラスはサッと判定外の場所に隠れ伺った。何故か無意味にある壁の裏だ。
ちなみにこの石簡は優れものなので判定も大きい。ウシワカとは三十歩は離れている。
二人はしばし話し合う。
「ヨシ、じゃあ…行くか」



「……イヤァ!アマ公!今日はポッカポッカの良い天気だなァ。あ、団子でも食うかァ?」
「ワフ!」
アマテラスとイッスンは打ち合わせ通りに、何気なく天気の話やこれからの予定など、談笑しつつ通りを歩く。

「おや?」
「ワゥ?」
そしてウシワカにばったり出くわした!

「ン!?おうおう、インチキ野郎じゃねェか!いきなり出やがったなァ!?」
「ああ、出たとも…って言うか、ユー達まだこんな所で油売ってるのかい?ミーの予言ちゃんと覚えてる?もう一回やろうか。電撃ビリリで入り口オープン!…だよ?」

ウシワカは突然の遭遇にもかかわらず、一応予言をしてくれた。
「プオー!何だい何だい!忘れちまったなァ!」
イッスンはとりあえずいつものノリで会話をすすめる。
「やれやれ、もう一回…」

今のところ、いつもと変わりは無いようだが…。
まさか、コイツには効かないとか!?

「クゥーン!」
アマテラスが舌打ちする。

「オープンっと…。アレ?アマテラス君…、もしかしてお昼まだ?」
だがしかし、なんとウシワカからアマテラスに話しかけて来た。
「まだだと何か文句あんのかヨォ!?」
とか言いつつ、イッスンは内心ガッツポーズをした。よし、これは効いている。

「ワゥ」
「えっ?そ、そう?…フフフッ」
アマテラスの答えを聞いたウシワカは、未だかつて無いほどの笑顔になった。

そしてウシワカは何と自分からしゃがんで…、アマテラスと目線を合わせた。

「コホン。じゃ、じゃあ…、べ、別にミーが奢ってあげても良いけど。ユーは何が食べたいのかな?」
頬を染め小首をかしげる。

(っ!すげぇ…)
イッスンは衝撃を受けた。
いつも突っ立ったまま目線を外し、どんな攻撃にも微動だにしないあのウシワカが…!?
…これは見事な初デレだ。

くるりん✩
返事のかわりにアマテラスは丸を書いてみた。

「…っ、いやあの、そんな…っ。な、撫でて欲しいのかい?」

だがしかしウシワカは筋金入りのツンだった。
「の、ノーサンキュー…!」
とか言いつつ、伸びそうになる腕を必死につねり、そっぽを向いたり、キョロキョロしたり。
ほんの少し頰を赤らめ…うつむきピタリと停止した。ちょっと涙目だ。
これは効いている。
「アマ公、もう一発!」
「ワゥ!」

きらきら~☆

「ノー、ミーは忙しいんだけどなぁ…ぁうぁあ、ぐうっ、くぅぁミーに謎の力が!!謎の力がっ!干渉しているッゥィエ!!?」
ウシワカは何かと戦い、頭を抱えカクカク動いている。

「クゥン?」
「アマテラス君っ…ノーっぉぉ」
きらりらりん☆きらりらりん☆きらりらりん☆
きらりらりん☆きらりらりん☆きらりらりん☆

「ぁあああーーーもうだめぇえ!!」
「クゥーン!」
そしてウシワカはついにデレた。地位もある良い大人が、往来であうあう言いつつ犬に抱きついてもふもふしている。
だが暫く撫で…ぷいと立ち上がって背を向けた。これでお終いか?

「むむむ、むしろ…!ユーにラブなんかじゃないんだからね!」
振り返りつつ腕を前にビシッと突きだし言い放ち、そっぽを向いて停止した。

「…グスッ」
何事も無いですよと、腕を組み直しすましているが…ちょっと肩が震え、耳まで赤い。

「…あー」
一連の流れ見ていたイッスンはだいぶ引いた。

「けどマジすげぇなアマ公…。インチキ野郎が見事にデレやがったぜ。プフフフッ!」
「ワゥ…ワフ!」
クスクスと笑い合う。

「…わゥ?」
調子に乗ったアマテラスは、ウシワカにトコトコ近づき物申した。
「…えっ?お腹空いた?あ、ああ、ソーリィ。ご飯だったね、ミーはもう時間ないけど、蟹とかどうかなぁ」
デレモードのウシワカはアマテラス達と一緒に歩き出す。


「ミーは忙しいんだけどなぁ…、あ、ほら蟹の身取ったよ。仕方なしに。ユーは本当にキュートだねぇ」

店に着いたアマテラスはウシワカの奢りでたんと食べた。
実は櫛を買ったせいで無一文だったのだが、コレなら問題無い!もちろんイッスンも頂いた。

ウシワカは食べまくるアマテラスを終始ニコニコと眺めていた…。

「フゥ。食ったなぁアマ公!」
「ワゥ!」
そして気が済んだので、二人は会計の隙にウシワカと離れた。


新たな装備を手にしご機嫌のイッスンとアマテラスは残りの神飾りを手に入れる為に、もう少しこの辺にいるのかもしれない…。

「…っ、ちょ、え?ワッツ、あれ?アマテラス君ーー!?」
店の中からウシワカの焦った声が聞こえた。

〈おわり〉
■ ■ ■


■おまけ■

「へぇ、珍しい物だね」

装備を外したアマテラスは、ウシワカに石簡を見せた。
「アマ公、そんなヤツにこの櫛の価値が分かるかってんだァ!」
イッスンが飛び跳ねる。

「酷いなぁ、ゴムマリ君、中々ナイスな装飾だね。って言うかコレ…本当に高かったでしょう?見てもオーケー?」
「ワゥ」
ウシワカは見せてもらい、わー、とか言いつつ感心している。
「ワゥ…」

ウシワカに石簡をあげる?

▶うん!あげる!  いますぐ返せ

「ってアマ公ォォオォ!」  
イッスンの叫びがこだました。


〈おわり〉

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