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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■天岩戸・他【大神】

■天岩戸・他

短編三つです。

天岩戸


「…アマテラス君?」

ウシワカがふと足元を見ると、そこで丸くなっていたはずのアマテラスが居なかった。

どうやら、いつの間にか研究に没頭してしまっていたらしい。
夕暮れも終わる刻限になっていた。

ウシワカはごちゃごちゃしている、としか言い様の無い自分の部屋から出た。

「天岩戸かな…」
そうつぶやき、一人で歩く。

ヒタヒタと、道を歩く。
暗い夜道。ウシワカは一人、煌びやかな宮から外れてゆく。
この國の住人達は、夜は滅多に出歩かない。
こんな時間に外出するのは、月の民である彼だけだった。

そして彼はくらいくらい、洞穴に着く。
辺りには木々がうっそうと茂る。
昼間はそれなりに苔むした、厳かな雰囲気の洞窟。
しかし、この刻限、明かりが全く無いそこは不気味な穴でしか無かった。

「アマテラス君?居るかい」
ウシワカは入り口を塞ぐ様に垂れ下がっている蔦をかき分け、中に入る。
洞窟の奥深く。
彼は遠くに見える小さな明かりを頼りに歩を進めた。

しばらく歩くと、祭壇があり。一つの鏡が収められている。

真経津鏡。
今はただの、淡く青白い光をもつ鏡。

「ああ…、もう…」
ウシワカはその鏡を眺める。
神の背にあるときは炎の纏う、神器。

「グッナイ、アマテラス君」
彼はそう言って、その鏡面を愛おしげに撫でる。
周りではおぼろげな光が、時折ふっと浮かんでは消えを繰り返している。

「…一曲、吹こうか」
名残を惜しんだのか、ウシワカはその場に座る。

この國の夜は長い。
自分は一人だと思ってしまいたくなる。

洞窟には焦がれる様な笛の音が、ほのかに響いている。



「…ん…?」
ウシワカは、ペロペロと言う生暖かい感触を顔に感じ、目を開けた。

「ワンッ!!」
飛びはね、しっぽを振り、ワンワンと吠える。
「アマテラス君…、グッドモーニング!…あ、ウェイト」

彼は眠そうに目を擦り、先に駆け出したアマテラスに続く。
洞窟のその先からは、まぶしい光が差し込んでいた。

〈おわり〉

■ ■ ■

花ふぶき(ウシヒミ)

 


祭壇のヒミコは微笑み、側に立つウシワカを見上げる。

「おや、ウシワカ、こんなところにまで…」

ヒミコがウシワカの羽衣についた花びらをつまむ。
「ん?…ああ」

「見たかったのでおじゃる…」
彼女は幾つもの花びらを、手のひらに乗せて笑った。

「?」
「大神降ろし…、まさかそなたに神の御技が使えるとは」
ウシワカは、彼女の言葉に苦笑する。
「そんな大層なものでは無いよ」
「さぞかし、珍妙な光景だったのでおじゃろう」

二人は、顔を見合わせ、笑った。

〈おわり〉

■ ■ ■

ウシワカとクロウ

愛しい子、抱きしめたい子。

けど、ようやく、抱きしめたその時には、冷たい体。
涙が出て、ポロポロ泣いた。

「と、言うわけで。ミーはユーを復活させたんだ」

「…ユー、ずいぶん勝手だね」
だけど抱きしめてくれるこの腕は、暖かくて、優しくて…。

…この人の為だけに生まれてきた、そんな気がした。

〈おわり〉

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