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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■陰特隊 恵雨のころ【大神】【短編】

■大神(短編) 小説

このくらいお別れがあっさりだと良いなとか、まあ妄想です。
でも派手にお別れ会とかしてても良い気もする。
というかアベノはマジで可愛そう…。

 ■恵雨のころ


「ハァ」
隊長が溜息を付いている。

明月館の外はしとしとと雨が降っていた。

カモノはウシワカの机にお茶を置く。
左右にはうずたかく積まれた書類の山…。

女王が命を落とし、都は陰鬱な空気に包まれていた。

「そう言えば、いきなり、雨になりましたね」
先程まで、空は悲しげに晴れていたのだが。

「…恵雨」
ウシワカがぽつりと呟く。

鬼ヶ島が消えたのだから、良し。…とは出来ぬ深い悲しみに、皆が暮れていた。
この雨はそれをそっと包む、…そんな優しい雨のようだ。

「彼等の旅は、順調みたいだ…」
ウシワカが、退屈そうに茶をすする。
書類の整理は順調では無い。

「彼等とは、あのなかよし二人組ですか」
カモノは聞く。
先日、隊長の留守に尋ねてきた、あの不思議な隈取りの白狼。

「イエス…、けど、まだ暫く、アマテラス君はここにいるって」
ウシワカが茶請けを切り分ける。桜の花の形をした饅頭。小さな葉がついて、中心に黄色、中には白い餡が入っている。

「ハッパかけたのに、全く」
…女王の死からここ暫く、ウシワカはあまり休んでいないはずだ。
摂政と女王が一度に居なくなった為、こちらへ回される仕事もどっと増えた。

「明日は、隊長は外にお出になったらいかがです?気分転換も必要かと」
そう言えば、ウシワカと自分はもうここに大分籠もりきりだ…そう思ってカモノは言った。

自分は休みを貰っているが、ウシワカは色々な仕事を引っ張り出し、それらに休み無く没頭している。

中には、別に今しなくても、と言う物まで。

ウシワカは表面上は冷静だが、やはり、女王と摂政の死は堪えているのだろう。
「アマテラス殿にお会いするのも良いのでは」
カモノがそう言うと、ウシワカは溜息を付いた。
「でもゴムマリ君と喧嘩しちゃって…、それにミーの出番はまだ先なんだよ」
ずす、と茶をすする。

「あ、そうだ」
ウシワカが何かを思い出した。
「もし、ミーがいなくなったら、陰特隊、解散だから」

「…」
茶を下げていたカモノは瞠目した。

「あの?隊長」
「心配しなくても、勤め先は用意してあるから。ホラ」
ウシワカが巻物を取り出し、少し広げ。
…そこには幾つもの寺社の名や、神殿の役職が書かれていた。
また閉じ。紐を結わえる。

そしてそれはカモノにぽん、と手渡された。
「…、あの、皆には?」

「言ってないし、言う予定も無い。その時まではユーがしまっておいて」

いきなりで、何と言ったらいいのか。
「隊長は、…どこか別の部署に行かれるのですか?」
そういう意味で無いと分かっていたが、…カモノは聞いた。
カモノは今、勤め人の不条理をひしひしと感じている所だ。
「ノー、ミーは…、あ」
小窓の外に、日が照っていた。

とびっきりの太陽。

「全く、忙しいなぁ」
ウシワカは立ち上がり、伸びをする。
そのままコツコツと歩き出す。

出かける気になったようだ。あの狼に会いに行くのでは無さそうだが。
「何時、戻られますか」

ウシワカは振り返り、笑った。



…それきり、彼は戻って来なかった。


私が全てを知ったのは、全てが終わった後だった。
「隊長ぉお…!酷いッスよ!!マジ入ったばかりなのに!!」

アベノが泣いていたのが、不憫だった。

(おわり)

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