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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■盟友② 【大神】【長編】

■盟友②

 

「クトネシリカが青錆色に輝く時…氷壁は砕かれ天への道は拓かれん…」

「…カムイに伝わるこの予言をしたのはミーだ。この目には、未来を見る力がある」

そう言った奴の表情はやはり、平坦だった。
俺は剣を抜き、奴の鼻先に突きつけていた。                                     
「ふざけるな。…ならばこの剣がどうすれば光を宿すか知っているのか?…答えてもらおう」
「イエス。だが今は必要ない」

「…貴様、死にたいのか?」
「…今日来たのはこの薬を渡す為だからね。心配しなくてもユーはいずれその剣を自分の物にするだろう。今のユーにはミーのアドバイス…助言は必要ないのさ。話を続けてもいいかい?」
そう言ってその男は、そういえば、はじめて薄笑いを浮かべたな。

…そうだ。お前はあの時ラヨチ湖でヤツを見たな。あいつだ。近くで見ると、外見は俺たちとそう変わらないかやや下に見えた。
…ん?寿命について詳しくは聞いていない。あるいは奴も不死なのかもしれん。
…ああ。カイポクの言う通りだぞ。サマイクル。その時は月の民とはそういうものらしいと納得するので精一杯だったのだ。
…なぜだまっていたかと言われても…今まで忘れさせられていたのだから仕様がないだろう。

そして、どうやらようやくここからが本題のようだった。俺はため息をつきクトネシリカを収め座った。もうとにかく話を聞かなければ帰りそうにないと悟ったのだ。
「さっさと話せ。要はこの薬を俺が預かればいいのか。いつ取りに来る?」
「一年後だ。ミーとは別のガールが来ることになる」
「がーる?」
「女性のこと。彼女も月の民だ。カグヤという」
「そうか。ではもう用は済んだな。さっさと帰れ」
「イエス。前置きも済んだことだし。今から本題に入ろう」
「…おい」

「…今までの話はまあそれなりに信じてもらえたと思うけど」
その男はいらつく俺を無視して一人居住まいを正した。
「ここらかは…いや…ここからが本題だ。さっきミーは、ユーにこの薬を『預ける』と言ったけど、それはこの薬をユーに『使って欲しい』という意味だ」
「…何?」

奴は俺にそうのたまったのだ。

[newpage]
「…ちょっとすごい話になってきたね。ていうかオキクルミ、あんた良く飛び出さなかったね…」
カイポクがここまでの話を聞き、大きく息を吐いた。
「しかし、そもそもこの薬は本物なのか?達の悪い冗談の可能性の方が高いのでは?むしろお前が作った話なのでは…」
サマイクルはまだ信じられないようだったが、当のオキクルミはため息を吐いた。
その様子はまさに、『そうだったら良いのにな』と言いたげだった。
「それなら呼んだりはしない」
代わりにそうつぶやき、小瓶から目線を外しうつむく。
彼は、少なくともこの中身が本物だと信じているようだった。

「って、もうすぐ一年たつじゃないか…!」
オキクルミの話は今まさに起こりつつある出来事なのだ。
「…月の佳人の来訪とあらば、いかん。迎える準備をしなければ。なぜもっと早く我々に相談しなかったんだ?」
ウエペケレの村長でもあるサマイクルはオキクルミに無茶を言いつつ、今すぐにでも準備をし始めたい様子だった。
それをカイポクが引き留め、オキクルミに話しかけた。

「…まだ続きがあるのかい?何でよりによって、オキクルミにコレを渡したのかとか…ってまさかオキクルミあんた、それで迷ってるの…?使ってみたいとかまたそんな馬鹿なこと考えて?」
それには答えず無言のままオキクルミは立ち上がり、酒を持ち出して敷布の上に静かに置いた。

「…迎えが来るのはおそらく明日の夜だ。とりあえず最後までつきあえ」

■ ■ ■



「使え…だと!?」
奴は、いきなり俺に向かって頭を下げた。

そしてそのまま語りはじめた。
 「…この薬は、紛う事なき本物だ。詳しいメカニズムは伏せるけど、コレを飲めばもはや月日は関係無くなる。首が落ちたり、胴体が真っ二つにでもならない限りは生き続ける事ができる」
「…」
ウシワカは続けた。さらに深く頭を垂れて。俺はその時、奴の肩が少し震えているのに気がついた。全く平坦な顔をしていると思っていたが…それは平静なふりをしていただけだったとようやく気がついたのだ。その途端だった。奴がさらにとんでもない事を口にしたのは。

「ユーには、この薬を飲んで、大神…アマテラス君の手助けをして欲しい。…できれば、永遠に」

「!?…何を…言っている!?アマテラス…?」
思いも寄らない事だった。
当時はアマテラスの正体も知らなかったし、白野威に助けられてもいなかった。つい先ほど話に聞いたばかりで、アマテラスが大神という事も半信半疑のままそんなことを言い出されたのだ。まあ…実はつかみかかってしまったが…。

「貴様…っ!正気か」
「残念だけど正気だよ…」
そいつは、襟首をつかまれたままこちらを向いた。笑わなかった。ただもうはっきり分かるほど青ざめていた。憔悴していたと言っても良い。その様子を見て、ようやく俺はコレは何かとてつもなく重要な話なのだと気がついた。俺は奴から手を離し、慎重に言葉を重ねた。

「…何を言い出すかと思えば。…アマテラス…奴とは、仮に大神だったとしても一度会ったきりだ。ありえんだろう。それにこのカムイはどうなる?…いや、そもそも…なぜ俺なのだ?」

「…予言。そう言ったらユーは信じてくれる?」

「貴様…ふざけているのか!」
…殴りかかったがあっさりよけられた。しかも逆に衣を捕まれてしまった。
「ふざけてなんかいないさ。ミーはユーに頼み込みにきたんだよ。なりふりかまわずにね。そう…全ては予言のせいだ」
うすら笑いを浮かべた奴が…あえて思い出したら腹が立つな。まあいい。俺はやっかいな奴の腕をふりほどき、吐き捨てた。
「俺がアマテラスに仕える未来が見えたというのか?ハ!馬鹿め。これ以上下らん事をぬかすな。さっさと出て…」

「アハハハハハ…!!」

奴は突然笑いだし、続けた。
「そんな物見えてないよ!…この先はなんとしても聞いてもらう。いいかい?オキクルミ。ミーには何も見えなかった。だからここに来てしまったんだ。なりふりかまわずにね」

「ミーの予言のというのは、見たくなくとも、おそらくある一定の時期…瞬間かもしれないけど…が来たとき勝手に見えるモノなんだ。もしかしたら未来が確定された瞬間に見えているのかもしれない。…これはミーの経験からだけど、最長で百年から二百年くらい先までの未来を見ることができる。近い場合は大体数日後くらいかなぁ。今まで外れた事は一度も無い。まあ、近い出来事なら普通の占い師のように進んで覘く事もできるけど…それは今はいい」

途中ヤツはどこからか笛なんぞを取り出し、もてあそびつつ喋った。

「チッ。ためはいいから早く話せ」
「オーケー。今、ミーは常闇を倒し、アマテラス君をタカマガハラへと帰す大詰めに来ている。…おそらくそれは成されるだろう。だが、おかしいんだ」

…ああ。本当に、くそ長い話だった。コレが実際はまだ序の口だったのだが。…とにかくもはやどうあっても解放されないとわかって、ついに俺は聞き役に徹する事にした。

「…お前の話は回りくどい。クソッ、もう説明はいいから要点だけ話せ!」
「…ソーリィ。…つまり、少し前から『その先のある出来事』より先の予言が全くできなくなったんだよ。それは今からたった一年後くらいの事だ。まだ『通って』ないだけかとも思ったけど、この現象は明らかにおかしいんだ。…要するに」
「…要するに?」

「ミーはもうすぐ死ぬんじゃないかなぁ」

 

 

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