絵、時々文章なブログ(姉)

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■盟友③ 【大神】【長編】

続きです。今見るとそんなに1話ずつが長くないですね。

■盟友③

 
「ミーはもうすぐ死ぬんじゃないかなぁ」

些か間の抜けた声でそう言ったヤツは、しばらく黙り込んだ。
もはやまじめに聞くのも馬鹿馬鹿しくなってきた俺は、酒に頼る事にした。
カイポクの言うとおり、当時の俺はよく飛び出さんかったものだ。

「ミーは、アマテラス君をタカマガハラに帰してしばらくした後、月へ行く。メイビィ…そこで終わりだ。だからその後、ユーにミーの代わりをして欲しいんだよ」
「…チッ。こんな話、しらふで聞いていられるか!いいか、聞くだけは聞く。だが」

「今は聞いてくれるだけで良い。朝が来ればユーが今日の事を思い出すのは一年後、この瓶を見つけた時だ。覚えたままじゃその剣が光らない。だから、それまでは忘れる術をかけさせてもらいたいんだけど…オーケー?」

「もう勝手にしろ」
それから俺は酒を片手に話を聞いた。奴はあぐらをかきまっすぐに俺をにらむようにして話し始めた。もっとも、その目に俺は映っていないようだったが。

「方舟ヤマトに潜んでいた全ての元凶である常闇の皇…。ミーは月が滅亡した時にヤマトでタカマガハラに落ち延びた」
「ああ」
「その時、まさか常闇がヤマトに潜んでいるとは夢にも思わなかった。それはあの時…」

「ふん」
俺は酒を一気に口に含んだ。

「今まさに月を滅亡させようとしていたのが…暴走した常闇だったからだ…!」

そして、見事にむせ込んだ。
「ゴホッ、ゲホッ…!…なんだと!?」
「…予言のやっかいなところは、注釈が無いとこだね。常闇その一とか二とか書いておいてくれれば間違えないのに。今、外で暴れているものがもう一匹ヤマトの中にいるなんて!そんなこと、…誰が考える?あんなものがあると分かっていたら、…あ、あんな船、捨ててやったよ…」

ヤツは初め、もてあそんでいた笛に目線を落としたまま語っていたが、途中でそれも重たげに敷布の上に置いた。
そのまま黙りこくってしまったヤツを見て、俺は少々罰が悪くなり、酒杯を押しつけた。
「チッ。お前も少し飲め。…しらふで居るのも馬鹿馬鹿しい」

ヤツは少し笑い、杯を受け取りあおった。
「サンキュー…返答は一年後で良い。強制はしない…。いやならその折に薬を返してくれれば良い」
そう言って杯を置いた。そして

…ん?ああ、…何でも無い。
…いや、これでおしまいだ。その後は迎えが来るはどこかと聞いたくらいだ。ラヨチ湖のほとりだと言っていたな。その後ヤツは直ぐに出て行った。
…その後、俺は全てを忘れてしまったのだろうな。そうだ、次の朝、確かに酒の杯が二つ出ていた…その時は何とも思わなかったが気味の悪い話だ。
…いや、まだ決めかねているのだ。だが明日中に結論を出さねばならん…。とにかくどうするにせよ、お前達には話しておく必要があると思った。やはり遅くなってしまったな…。

■ ■ ■

オキクルミの話が終わったのは、日付が変わる少し前だった。

送る、と言うオキクルミの申し出を、サマイクルも居るしここから村までは遠いからとカイポクは断った。
村に着きケムシリ爺に預けていたピリカを引き取るまで、ずっとカイポクは無言だった。
予想よりずいぶん遅くなったため、ピリカはすでに夢の中だ。サマイクルはカイポクを家まで送っている。

「…ねえサマイクル、オキクルミは…どうするんだろうね」
カイポクは、ようやく口を開いた。
「…分からん。来訪は明日の夜か」
サマイクルが答える。

「サマイクルだったらどうする?」

カイポクは、何となく聞いてしまった。そして、すぐ後悔した。
オキクルミとサマイクルは近しい。
サマイクルのことを一番分かっているのがオキクルミなら、
オキクルミを一番理解しているのはサマイクルだ。
彼の言うことがオキクルミの心情を代弁してしまうかもしれない…?

「…村一つ守るので手一杯の我には。神々の話など大きすぎる代物だ」

「…だが…もし」
そこまで言いかけたサマイクルは、カイポクを見て珍しく話すのを止めた。
「…いや、とにかく、明日の朝また奴の家へ行こう」
そう言って二人はカイポクの家の前で分かれた。

…だがもし、それが天から与えられた使命なら、従うほかあるまい。

サマイクルはその言葉をカイポクに言うことができなかった。
オキクルミもそう考えるだろう、などと。
 

 

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