絵、時々文章なブログ(姉)

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■盟友④ クロウ1 【大神】【長編】

■盟友④ クロウ1

 
ここは…月。

もうずっと、日が差すことも無く、ただ暗闇が空を覆っている。
地上はタタリ場に覆われ、妖怪が跋扈する。

「…こんな風になってしまったこの國を眺めるのはつらいです。けど自分たちのまいた種でもあるのです。ウシワカさんは本当はどう感じていたのでしょう。頼るしかない私たちのことを…恨まれて当然です。…憎まれて当たり前でした。なのに」
その様子を見下ろしているのは、月の女王カグヤ。
この建物の外には、月の民が居られる場所は無い。優れた性質を持ち、栄華を誇った彼らも今では三百人以下まで減ってしまった。
…いや、これ以上増えることができなかったと言う方が正しい。

月の王宮、その扶養性には限界があった。
そのため彼等はこの二百年間、長く生きられるが故の絶望を味わってきた。
幸か不幸か、月の民は異常なほど優れた、ただの人間だった。

…自分たちの命を保たなければならない。これ以上、新しい命を望むことはできない。
自分たちの未来がどうなるのか…明日を生きていけるのか?
永遠ほど長く生きたとして、何がある?
何不自由が無いとして、何が楽しい?

…予言が欲しい。絶対の予言が。…かの一族はどうなってしまった?
潔く命を絶つ者もいる中で、ナカツクニに疎開していた王女の生還は、ようやく彼等に訪れた希望だった。

彼女が女王となるのは当然の成り行きだった。

「…逃げ出していた私が、こんな弱音を言ってはいけませんね。あの方達は今まに敵の城に赴こうとしているというのに…」
カグヤは目を閉じた。
全てを忘れていた自分の罪…許される日は来なくていい。月の民の希望となれるのなら。
それこそが、彼女が月の民に語った、ただ一つの思いだった。

…では、あの者は?何を思っているのだろう
…なぜ、我々を助けんが為に?分からない
…月が、あの者からすべてを奪っていたというのに…!

「貴方はどう思いますか…?」
悄然とうなだれる大人達の中で、一人まだ幼い者が歩み出る。

彼は、びしっとホーズを決めて答えた。
「さあね。ミーはウシワカじゃないから。考えたって分からないよ!…でもきっと、すごく怒ってるんじゃないかなぁ?アハハ!…なぜもっと早く泣きついて来なかったのかってね。そのせいで、失われてしまった命だってきっとたくさんある。ミーがウシワカならそう言って怒るだろうね。ウシワカは怒るとすごく怖いんだ。けど頼れるガイさ。…もちろんミーもさ!」
そう言って、笑って胸をたたく。
彼の隣に控えた子狼が高い声で吠えた。

ちょうどその時、小さな電子音が響いた。
「おっと、時間だね。ミーはユー達にフレンドに会えてハッピーな時間を過ごさせてもらったよ!グッバイ…いや、シーユー、アゲインかなぁ?いつか…」

「賽の芽の下でパーティーを開こう!後は頼んだよ、ミスクイーン。妖怪退治はミー達の役目さ!」

そう言って、彼等はその部屋から駆けだしていった。
その姿を、月の民達が見送る。

「クロウさん、チビテラスさんもどうかお気をつけて…ふふ」
カグヤの微笑みの意味をクロウが知るのは、もう少し後のこととなる。

部屋の外で、楽しそうな一人と一匹の声が聞こえた。

「私も、あの方を迎えに行かなければなりません」
カグヤは、そう民達に告げた。

 

 

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