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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■箱船ヤマト プロローグ 快復【大神】【長編】

■大神(長編) 箱舟ヤマト(大神) 小説

大神長編モノです。タカマガハラ編がメインです。

基本ほのぼの、たまにシリアス。設定は完全捏造。天神族 がみんな元気。アマ公(白野威)はワンコ、ウシワカは青年。ウシアマ度はグレー。(どっちともとれる?程度なのでご自由に)って感じです。たまに脱線します。

※前書いた「盟友」と設定似てます。話自体は別物ですが、前日話として読めなくもないかな…?常闇2号さん出ます。■この話はナカツクニでの後日 談。この後にタカマガハラ編(本編)スタートで次回の月の話は番外編みたいな物です。

 

■箱船ヤマト プロローグ 快復


ようやく、一人で起き上がれるようになった。
全く、とんだ大失態だった。
傷も綺麗にふさがった。後はもう体力の回復を待つだけだ。
月の民は、基本的には丈夫なのだ。

「入るわよ」
「どうぞ」
コンコン、と戸口が叩かれ、コロポックルの女性が入って来た。

「ねえ、今日髪を洗ったらどうかしら」
そう言った。
「うーん」
本当にこの村の人々はミーをよく気を遣ってくれる。
ミーは少し考えた。だが正直、大変ありがたい申し出だ。

自分一人で湯浴みを出来るまでには、もう少しかかりそうだった。
しかし、長いと洗うのは大変かもしれない。
よし、この際だから、切ってしまおう。
「お願いしてもいいかい?でも髪を切ってからにしよう。小刀を…」

「ええ!ソレはダメよ!!さあ、みんな!洗うわよ!」
女性が戸口を振り返る。
なんかゾロゾロ入って来た。大きなタライやら、櫛やら、手ぬぐいやらを抱えている…。

 

■ ■ ■

「さっぱりしたでしょ!」

結局、ウシワカは殆ど丸洗いされてしまった。

「サンキュー…」
何とか礼を言う。

大切な何かを失った気がする…。

ウシワカは一人たそがれた。

 

ウシワカが今着ているのは、地味な藍色のイッシャクの着物だ。

「それにしても、綺麗な髪ね…!ここまで伸ばすのに何年くらいかかったの?」
濡れた髪を拭いていた女性の一人が聞いてきた。
ウシワカは思い出して答える。
「うーん…ずっとこのくらいだから…、でもせいぜい二十年くらいじゃないかぁ」
そう言った。すると、初めに入って来た女性が首を傾げた。
「あなた、今いくつ?人間の二十歳…くらいじゃないの?赤ちゃんの頃からずっと切ってないの?」

髪の毛は、時折毛先をそろえないと痛む。だが、この金の髪にはその様子が無い。
また、長くなればなるほど、伸びるのに時間がかかるのだ。
「髪の長い男の人って、大抵伸ばしっぱなしでホント見ていられないけど…この髪はきちんと手入れしてある感じ。何日おきに髪を洗ってたの?」
「うらやましいわ!こんなまっすぐで!私なんか癖が強くて…」
ウシワカは興味津々の女性達にたじろいだが、とりあえず、順番に答えることにした。

「えーと、ミーは月の民だから、実はもう結構生きてるんだよ。…今いくつだっけ?」

「月!月ってあのお月様?あそこに人がいるの?」
「へぇ普通の人間に見えるけど、違うのね!道理で女の子みたいな顔してる訳ね」
「目の色も不思議!他に変わったところは無いの?そう言えばムダ毛は?」
そう言って瞳をのぞき込まれる。着物をめくる。

「そ、そんなに、見ないでくれないかな、ベイベ…」

「その、たまに変なこと言ってるのって、月の言葉?ミーって何?」
「こ、これは、月の訛りみたいなものだよ、ミーって言うのは自分のことだよ」
「ああ、私って事なのね!そっか」

「あ!」
ウシワカが何かに気がつく。
しかし女性陣の勢いは止まらない。

「この肌、見てよ!すべすべ!何にもなしでコレなんて!」
むにむにされた。

「しばらくお風呂入って無くてもコレだもの…どうなってるのかしら?肌荒れとかあまりしないの?あ、そう言えば何日おきに髪洗ってたの?」
恐ろしい事に、質問がくりかえし始めた。

「だいたい毎日洗ってたけど…」
ウシワカはそれでも何とか微笑んで答えた。恩人達を無下にはできない。

「ええ!毎日?一日おきでも十分キレイじゃない?どのくらい時間かかるの、コレ…!」
「一人で?それともだれか手伝ってくれる人とかいた?あ、乾かして寝る派?そのまま派?冬は風邪引いたりはしないの?」
「へぇ凄い…。私も伸ばそうかな、っていつも思うんだけど、めんどくさいのよね」
「寝癖ってどうやって直してるの?良い方法知ってる?」

「イッシャク君、見てないでヘルプミー!」
ついに弱り切ったウシワカが、先程入って来たイッシャクに助けを求めた。

「一貫は、伸ばしても似合わねェと思うぜ!」
「イッシャク君…」
ウシワカは肩を落とした。そう言うコメントが欲しいんじゃなくて…。

「何よ、イッシャク!自分がちょっと長いからって」
一貫と呼ばれた女性がぷんぷん怒る。

「あーまたはじまった」
「お菓子でもたべる?貴方もどう?」

「コラ!お前達!」
プオーと怒った長老が入って来て、ようやくお開きになった。
…女性のパワーは凄い。
ウシワカは苦笑した。

「…お前、月の民だってェ?天神族っていうのかと思ってた」
女性達が引き払い、二人きりになった後、イッシャクが言った。
アマテラスは外で女性達と遊んでいる。
「…聞いていたのかい?」
「ああ、まあ外でな、入りづらくてよ…わりぃ」
実は、ウシワカの髪とか色々洗ってやったらどうか、と一貫達に頼んだのはイッシャクなのだ。
女性達は大変な乗気で請け負った。
ふさぎがちなウシワカの気晴らしにでもなって、自分の事を語る気になれば、と思ったが…正直予想外の騒々しさだった。

ウシワカは黙り込んでいる。
「なあ…、さっぱりしたとこで、そろそろ、話してくれねぇか?」
アマ公は今、いねぇしな。そうイッシャクが言った。
どうやら、ウシワカはアマテラスにはばかるところがあるようで、距離を置いている様に見える。ただの犬、もとい狼っぽいが、一応アレでも神様だ。コイツとの関係はまだよく分からないが…、アマ公を見つけた時の様子を思い出すに、もしかするとコイツはアマ公の眷属みたいなものなのかもしれない。
「…、そうだね。アマテラス君にも、…何があったのか、きちんと話さないと。…イッシャク君。聞いてもらえるかい…?」

「ああ」

「…ミーは」
ウシワカは語り始めた。 

 

 

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