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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■箱舟ヤマト10 タカマガハラ⑧ 【大神】【長編】

■大神(長編) 箱舟ヤマト(大神) 小説

本編再開。和解編です。あと2、3本くらい上げたら数年飛びます。仕込みはオーケー!ってやつですね。

せっかくだし途中で一回くらいダンジョン攻略します。

 

■箱舟ヤマト10 タカマガハラ⑧


翌朝、身支度を終えたミーはアマテラス君と一緒に広間へ降りた。

「グッドモーニング、スサド、昨日運んでくれたのはユーかい?サンキュー」
丁度スサドが席についてお茶を飲んでいたので、昨日のお礼を言った。

「お二人とも疲れはとれましたか?」
スサドがにこやかに言った。
「ワン!」
アマテラス君が吠え、ミーも答える。
「まあ、オーケー。やっぱりベッドが良いよね」
「あ、おはようございます、アマテラス様、月の方」
アズミとマルコも降りてきた。マルコはまだ半分寝ている。
アズミはいつも彼を起こす係だ。

「おはようございます」
ハクバが調理場から出て来た。
皆で朝食を食べる。まともな朝食は久しぶりだ。タカマガハラのお米は美味しい。

朝食後、ミーは平原にとめておいた箱舟ヤマトを建物の裏手の森近くに移動した。
そこには一応祭壇らしきものを作ってある。
アマテラス君やスサドに手伝ってもらって、機材を遺跡に運び終えた。

遺跡の中で運び込んだカラクリをいじるミーにスサドが声を掛けた。
「月のお方は、昼食はどうされます?戻りますか?」
そう言えばもうランチの時間だ。
「うーん、ちょっと手が離せないなぁ…やっぱり何か適当に採って食べるよ」
ミーは壊れたカラクリのフタをこじ開けながら言った。
まだやる事が山積している…。早く持ち帰ったデータを分析しなければ。
一応今朝、ハクバにはミーは遺跡で食べるかもと言ってある。
「では、後で何かお持ちしますよ」
それは助かる。ミーは顔を上げて言った。
「サンキュー。アマテラス君、ユーはスサドと行ってきて…って?アレ」

アマテラス君が何かミーの周りをくるくる回っている。
…こんなのは初めてだ。

「アマテラス君?どうかしたのかい?」
ミーは部品を置いて、首を傾げて聞いた。
「ワン!ワン!」
何か言っている。…?あれ、ちょっと怒ってる?

アマテラス君は人間の言葉が話せない。
もちろん、「ウシワカ大好き!」とか喋ってはいる。
だが、悲しいかな、狼に生まれつく事が出来なかったミーにはワンとか、クゥーンとか、ワフとか、キョルンとかにしか聞こえない。
何となくの喜怒哀楽は分かるものの、彼女が具体的に何かを言おうとしているのかはさっぱり分からないのだ。月にはニャウリンガルしか無かったし。

なので、いつも二人の間に些細な誤解が生じた時は、ミーが簡単な質問をして、アマテラス君にイエス、ノーで答えてもらうことにしている。
アマテラス君に痺れを切らされ飽きられてそっぽを向かれボロ雑巾のようにうち捨てられた時の寂しさと来たら無いので、ミーはいつも必死だ。

ミーは腕を組んで首を傾げ熟考して言った。
「…えーと、何か怒ってる?…ハッ!?…ミーの態度が気に障ったとか!?」

さっき、久しぶりのカラクリいじりが楽しくてつい夢中になってしまっていた。
しかしカラクリには無限の可能性があるのだ。単純な点と線…!無骨なカラクリや、繊細なカラクリが有ったり、まったく同じ様に組み立ててまったく同じに使用しても壊れるタイミングが違ったり、すね方も違う!そう、まるで気まぐれなアマテラス君の様に…。

おっと、今は一瞬の妄想に耽っている場合では無かった。アマテラス君を見る。

さあ、ユーのアンサーは!?
ミーはくるっと回ってビシッとポーズを決めた。

「クゥーン」
あれ?…微妙な反応だ。…怒ってる訳じゃないみたいだ。
クゥーンが出たときは、大抵は否定、もしくはどうでも良い…つまり、全くかすってもいないと言う感じだ。それ以外には落ち込んだ時とか。
…つまりこれはマイナスを示すとても大雑把な鳴き声なのだ。
「じゃあ、遊んで欲しい?」
「ワフ」
これはノー。
アマテラス君がイエスの時は大抵タメがあり、嬉しそうに短く吠えるから分かりやすい。
今のワフは、何となくミーを馬鹿にした感じ。
『空気読めよ、このインチキ能面野郎』…って感じかな?

「フフフ。オーケー、そんな事、言うわけ無いって事だね?」
「ワウ」
「じゃあ、お腹がすいたのかい?フフフ…食事のお誘い?ミーも一緒に来て!…って事かなぁ?」
これはナイスな線いっていそうだと思う。
ミーの為に今、お座りするアマテラス君…。ミーと一緒にご飯食べたい!って言うアマテラス君!…ソウキュート。

「クゥーン?」
おや。アマテラス君が首を傾げた。この意味は…。
これは…彼女なりの二重否定だ。まあ、間違ってるとも言い切れない…。って感じかなぁ?
「うーん、惜しい?…じゃあ、もしかして…?何かそこでミーにして欲しい事がある?」
ミーは手をポンと打った。きっとコレだ!

「ワンッ!!ワンッ!!」

当たった!嬉しそうだ!
『それ!それ!』と言っているアマテラス君にミーも嬉しくなった。

思わず手を取り合って喜んだ。羽衣もバタバタしている。
「アハハハハ!サンキュー!アマテラス君!マイラバー!!」
ミー達はちょこちょことステップを踏んで、熱いハグで締めくくる。
おや、どこからともなく紙吹雪が!この世界もミー達を祝福してくれている!

「…はははっ!」
見ていたスサドが笑った。
もしかして何か字幕が出ているのだろうか?
「スサド、今、ユーには文字が見えているのかい?」
ミーは紙吹雪を払いつつ言った。

「いえ、済みません、そうじゃないんです。お二人の会話が面白くて」
ニコニコと言われ、ミーとアマテラス君は首を傾げた。
別に普通だと思うけど…。そう言うと、スサドが言った。
「天神族は、アマテラス様のおっしゃっていることが、実は良く分かっていないんです」
「え?そうなのかい!」

それは意外だ。長く一緒に居るし、言葉は分からなくても仕草とかでほとんど分かっているものだと思っていた。
「はい、お二人の会話方法は斬新ですね。私達はいつも適当にしていますよ」
スサドは笑って言った。…こんなトコにも天神族が。

しかし…、前から思ってはいたが。

天神族はアマテラス君の事を『犬>>狼>>>大岩>>>神様っぽい』だと思っているのではないだろうか…?

アハハ、いや、まさかそんな。…ありうる。
ミーは恐ろしくて具体的な事を聞けなかった。なので、別の疑問を聞いてみた。

「文字って、やっぱりたまにしか見えないのかい?」
スサドは、そうですね、と言って何か考えた。
「個人差があるんですよ。私はそれほど見えないですね。アズミはよく見えると言ってました。あの、月のお方。もうそろそろお昼の時間ですがどうします?一人分くらいなら増えても問題無いと思いますが」
スサドが言った。アマテラス君の分が多いので、いつもランチは多めに作ってあるのだ。
「じゃあ…やっぱり向こうでランチにしようかなぁ?」
せっかくのお誘いだし、仕方無いなぁ。
「ワン!」
ミーの言葉を聞いたアマテラス君が、大変嬉しそうに吠えた。

遺跡から出たミー達は歩きながら、先程の話の続きをした。
スサド達は、以前から、文字の見え方は神通力の強さが関係しているのではないのか、と話していたのだという。そう言えば、言葉を習い出した時にそんな事を言われた。

「でも、月のお方に見えないと言う事は、やはり天神族特有の力なのでしょうね」
「そうなのかい?アマテラス君。ミーにはノー?」
「クゥーン?」
どうやらアマテラス君にも分からないみたいだ。
…たった今、ミーの人生の目標が決まった。いつかアマテラス君の言葉が見られるように特訓しよう。
「それはとても素敵な目標ですね!」
そう言ったらスサドは笑顔で応援してくれた。

森の小道を歩く。
ミーとアマテラス君が月に帰っている間にタカマガハラはすっかり春めいていた。
アマテラス君はスサドとミーの少し先を歩いている。草木が芽吹き、すぐ消える。

「ワウ」
アマテラス君が途中見つけた黄緑色の小鳥に豆をあげる。
小鳥から幸玉が出ているとスサドが教えてくれたが、さっぱり見えなかった。頑張ろう。

フフフ…こういう所はさすがは慈母だ。

「ワン!!」
でも、いたいけな小鳥を咥えたり追いかけたりするのはノーだと思うよ。
こちらに避難した小鳥はスサドの羽にとまった。
スサドが少し困って羽を軽く揺らしたら飛んでいってしまった。

アマテラス君はポアッとそれを眺め、トコトコ歩き出した。

早くご飯が食べたいのか、時折ミー達を振り返る。カワイイ…!
歩きながらミー達はアマテラス君の性格について語った。
「…慈母様って、ものすごくポアッとしていらっしゃいますから。基本のんびりやさんなのではないでしょうか?」
ミーは首を傾げた。
「うーん、ミーは結構お転婆だ…イヤ、元気が良い感じだと思うけどなぁ?…あと少し口が悪いんじゃないかなぁ…」
たまにとんでもない悪たれ口を利いている気がする。
ミーの語彙では翻訳不可能なくらいの。
「クォル…?」
あ、今!
…きっとモノ凄い事を言ったに違いない。

『調子に乗るなよ?この羽付き枯れ枝☆』

とか?…フフフ!もう!キュートだなぁ、ユーは!
ミーは微笑んだ。
「ワン!」
アマテラス君もにこやかに笑っている。

ミーはふと立ち止まった。
「あ、忘れるトコだった。アマテラス君、ユーは結局、何をミーにして欲しいのかなぁ?」
「ワウ!」
「フフフ、もう分かってるだろって?…ハァ…ノー、ミーにはさっぱり分からないなぁ!アハハ!」
ミーはわざと言った。もちろんアマテラス君の言いたいことはお見通しだ。

なぜならミーの目には、アマテラス君とダンスをした時すでに、食事場で皆に月の事について話す自分の姿が見えていたのだから。

…ミーの予言もたまには役に立つのだ。

そんなミー達をスサドは興味深そうに眺めていた。

■ ■ ■

昼食後、ミーは皆に月の事を話した。

王宮は崩れてしまっていたこと。
タタリ場が晴れたのは一時的なものだったので、結界はそのままにしてきたこと。

「…まあ。月の常闇が倒せたら、生きている人がいないか…改めて探さないとね。しぶとい月の民だ。…可能性は多少ある思う」
「あの、月のお方は、もしや常闇に会ったのですか?常闇が…月のお方を呼び込んだのでしょう?」
スサドが青ざめて言った。
ミーは少し考えた。よし、上手くはぐらかそう。
「見たけど、休眠してたよ」
…上手い言い方では無かったかもしれない。
実際は…起きがけの常闇と直接会ったんだけど、でもまあ…皆に言えるのはこのくらいだろう。
『…』
…皆の沈黙が痛い…。
「アハハハ!ノープロブレム、見た感じ常闇にココまでは来るパワーは無いと思うし、少なくとも二、三百年は月はあのままだ」
ミーは明るく言ってみたが、余計どんよりされた。

…うーん。話したのは失敗だったかなぁ。

「ワン」
アマテラス君の鳴き声に助けられ、ミーは適当なまとめに入ろうとした。
「まあ、常闇の事はこれから研究していくよ。要するに、活動させなければオーケーって事だ。…しばらく忙しくなるけど、コレはミーの問題だから、皆に迷惑はかからない様にするよ」
うん。こんな感じかなぁ?上手くまとまった。ミーはにっこり微笑んだ。
さて、立ち去ろう。やる事は沢山あるし。

「ワウ…?」

…アマテラス君が何か言いたそうにこちらを見つめている。
ミーはアマテラス君を何となく撫でた。
四人を見る。
アズミ…、ハクバ…、スサド…、マルコ…。
皆と暮らして、もう一年になるのか…。

皆心配そうにこちらを見ている。
やはり…言っておこう。
『月へ帰れ』って言われるかもしれないけど…。

「…ミーは、また、ここに居てもいいかい?」

忌まわしい月の民だけど。
自分の存在はココにはあってはいけないのかもしれない。
帰って来てはいけなかったかも知れない。
彼等にそう言った。

「もちろんです。ずっと!」
アズミが言った。今までで一番ナイスな笑顔だ。
「もうウシワカさんも天神族で良いです!」
ハクバが身を乗り出す。
いや、それはどうかと思う。
「…これで続編がつくれますよ!」
スサドはしみじみしている。続編って?
「おめでとうございます!アマテラス様!いやぁ!良かった」
マルコは…???まあいいか。

皆がバサバサ羽ばたいて言うのでミーは少し驚いた。
「サンキュー、皆…、うわ!?」
アマテラス君がミーに飛びついてきた。ベロベロ舐めないで欲しい。
アハハ!…皆、大げさだなぁ。
「コ…コラコラ、ヨダレはノーサンキューだって!」
「ワン!」
分かってないでしょ、ユーってば。まあ、良いか。
ミーはアマテラス君をハグして撫でなでして…。

 

笑った。

■ ■ ■

その後、皆で久しぶりにテーブルゲームを楽しんだ。

タカマガハラの変わった遊びだ。何か、かなり昔からあるらしく、結構ボロボロだ。
よく分からない乗り物をコマにして進み、止まったマス目で色々な事が起こる。
ミーはなぜかいつも最下位になってしまう。
今回は自己破産だ。有り金を全部…建物と土地の購入に充ててしまった。
「ワン!」
アマテラス君は森羅万象を操り、要するに疾風でルーレットを動かして、今回も一位だ。
しかし、ハクバやアズミやスサドやマルコも羽ばたいているので、反則では無い。
ミーも勝つために強力な風を身につけなければ…!羽衣の風力では足りない!
やはりミーのようなか弱い月の民には筆技が必要だ。

「あ、そうだった」
最下位の罰として厠掃除をしている最中、ミーは筆技の事と、まだアマテラス君がすっきり模様のままだった事を思い出した。

「アハハ!じゃあ、逝こうか!」
「ワフ!」
ミー達は死地へと繰り出した。

■ ■ ■

「月の方…!」

ミーは上空から呼ばれて見上げた。

あれ?アズミだ。
つい先ほど今生の別れをしたばかりなのだが、何かあったのだろうか?
文字通り飛んできたアズミにミーは尋ねた。
「ユー?どうしたんだい?」
アズミは少し息を整えて言った。
「筆神達の言葉を通訳します。私は、少しですが彼等の文字も見えますから」
「あ」
昨日もすっかり忘れていたが、筆神達が喋っていたのはタカマガハラの言葉では無かった。
そう言えば、文字の見え方に個人差があるとスサドが言っていた。

ミーにはホニョホニョとしか聞こえなかったが…アズミには文字が見えるのか。
「ええ」
アズミはにっこり頷いた。
ミーは聞いてみた。
「どんな感じなんだい?」
「悪役っぽい感じです」
「???」

そうこうしている間に天岩戸に着いた。今日は怪奇音が響いていない。
代わりに何か楽しそうな音楽が聞こえる。…コレなら大丈夫かも知れない。

ミーは一つ深呼吸して、天岩戸に乱入した。

「ハロー!!」
やっぱり笑顔って、大切だよね!


『…』
彼等の目はGを見つけた時のそれだった。


時間って、止まるんだ…。
アズミとアマテラス君は『あー…』と言う表情でミーを見ている。

ミーはピシャリと締め出されガチャリと鍵も掛けられた。

…結局、アズミとアマテラス君が筆神達を小一刻ほどかかって説得してくれて、池のほとりで体育座りをしていじけていたミーはようやく中に入れてもらえた。

何でも、筆神達は、昨日ミーをコテンパンにした記念に夜通し酒盛りをしていたらしい。
そこにナイスなタイミングでミーが現れてしまったという訳だった。
アウェイな雰囲気にミーは少しひるんだ。根性焼きも心の傷もまだ消えていないし。

「あの、ユー達にお願いしたい事があって…」

勇気を振り絞って筆技を学びたいと告げたミーはソッコーで正座させられた。
そして、さっきから筆神達にギャーギャーと言われている。

「モニュモニュフィ!」
「ハプヒィロ!」
「フェフェガーッ!」

しかし、ミーにはモニュモニュ語がさっぱり分からない。
…アズミを見る。
「えーと…」

断神『小僧、まずは詫びろ、我らが慈母を連れ出した事を!』
凍神『いかさま、まずはそれからだ!』
撃神『慈母神のお考えは我らには計りかねる。くっ、こんな若造の何処が…。筆技だと?ハッ。所詮、貴様の様な下郎には習得など不可能だ。笑止万全とはこの事よ!カカカ!』

「…です。古めかしい言葉なので、意訳ですが…」
アズミが言った。
…見事な悪役だ。って言うか最後そんなに長いセリフなのかなぁ?

だが、確かに…その通りだ。
ミーは心から土下座した。

「…ソーリィ…!ミーが至らなかった為に、タカマガハラの慈母たるアマテラス君の手を煩わせてしまった…。大変申し訳ない…。アマテラス君が居ない間、ココを守ってくれて心から感謝するよ。ユー達の心配ももっともだ。アマテラス君にもしもの事があってはいけない。…すべてはミーの責任だ」

実際、月では常闇が待ち構えていて大変危険だったのだ。
空気は悪いし、お風呂はないし、アマテラス君に十分な食事もあげられなかった。
それにもしタタリ場が途中で復活したりしていたら…!無事では済まなかった…!
…本当に、ミーはなんて大変な事を…!

震えながら土下座するミーをグリグリ小突きながら…他の筆神達が話しかけて来た。

「ヒィヨヒョ?」
「グルゥバガ?」
「ポポ、フィー!!」

弓神『ハッ。意外と殊勝でなないか、この者。だがとりあえずもう一発殴らせろ?』
蘇神『…どうせ振りだけだろう。そのふざけた顔面を摺りおろして確かめるか?』
濡神『我らの怒りはこの程度では治まらぬ…!血を!我らに貴様の鮮血を!!』

「…です…」
アズミは少し項垂れた。
消え入るように土下座したままのミーは震えた。濡神がミーの耳元で舌をチロチロする。
ミーはもうダメかも知れない…。鳥肌のまま摺りおろされて死んでしまいそうだ!
…でも言うしか無い。
「お願いだよ、汚れてしまった月を浄化するのは筆技無くしては不可能だ…タカマガハラに妖怪が現れるようになるまでに…出来ることは全てやっておきたい!…ユー達の力が必要なんだ!プリーズ!!」

「フォハフォイウ」
「オファ」
「デュ?ハ?フィ?」

風神『なにをふざけた事を抜かしておる。フン…どうせ我の筆技は忘れられるのだ!』
幽神『ん?我らの番か?そんな事より、もう一杯!』
お猿『却下!』『棄却!』『敗訴!』

「月の方!大分傾いてきましたよ!頑張って!あと二匹です!」
アズミが嬉しそうに言った。えっと…どの辺が傾いているのだろうか?

人生何事も覚悟だ!
キャラ間違えても良い!そんな覚悟でミーは言った。

「教えて下さい!筆神様!!」


「モニュパパスフ!」
「フガフ!」

鳥『臭う…そろそろ手抜きの匂いが!』
猪『ちょっと教えてあげても良いかも…なんて思ってなんかいないんだからね!』

「…あと一押しです!月の方!」

「ユー達、そこをなんとか!ギブミープリーズ!!」
ミーは頼み込んだ。これで全員か!?

「ニャー?」
あ、端っこにまだいた!

「今のは『慈母サマー』です!…アマテラス様!」
アズミがアマテラス君を振り返る!
ミーも振り返る!
「アマテラス君…ヘルプミー!」

あと一押しを、プリーズ!!


「クォンルグゥ…ァ??」


「「「「「「「「「「「「フフィー!」」」」」」」」」」」」
訳『デスヨネー!!!』

…それは実に見事な一押しだった。

アズミは首を傾げた。
「今のアマテラス様のお言葉がよく分からないのですが…?良かったですね!月の方!」
「ハハハ…サンキュー…」
…ミーは今のアマテラス君の言葉が何となく分かってしまった。
ミーの意訳は……、いや、よそう。
世の中には知らない方が良いことが沢山あるのだ…。
魂の抜けた筆神達がアマテラス君に平伏している。さすがは大神!

こうしてミーは筆技を教えてもらえる事になった。
だが、今日は筆神が使い物にならないのでまた日を改める事になった。
「アマテラス君!ユーのおかげだよ!サンキュー!!」
「ワン!」
アマテラス君をハグしてナデナデした。
「アズミもサンキュー!!」
「いいえ!」
アズミも凄く嬉しそうだ。

だがその後、ミーの為に盛大な葬儀の準備をしていた天神族達を前にして、大変申し訳ない気分になってしまったのだった。

…フフフ。なんて事もあったなぁ!
ってあれ?イッシャク君、起きてるかい?イズヒアー?

〈おわり〉

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