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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■箱舟ヤマト18 番外編③ 月と荒野【大神】【長編】

■大神(長編) 箱舟ヤマト(大神) 小説

番外編です。月捏造注意。ウシワカの子供時代が適当に書かれていますのでご注意を。話の時間的にはタカマガハラに来て言葉を覚えてす ぐくらい?次は本編再開予定です。■そろそろこのシリーズも佳境に入ります。良かったら最後までおつきあい下さい。(※でもここからまだちょっと長いです。今丁度半分くらいかな)

 ■番外編③ 月と荒野

月には、月がない。

タカマガハラに降り立って、ミーは初めて月を見た。
忌まわしい青い國。

でも遠くから見たら、金色に輝いていた。
仕組みとかそう言う事は、この際どうでも良いのかもしれない。

「月の方」
アズミだ。
「どうしたんだい?」
ミーは屋根の上に一人でいた。そうしたらアズミが飛んで来た。
「いいえ、今日は夜空が特に綺麗ですね」
「そうだね」

そうしてしばらく月を眺めて。
少し、なんだか。
笛を吹きたくなった。

「そう言えば、その笛…どうなっているのでしょう?」
…ミーは少し笑った。彼女らしい疑問だと思ったのだ。
「これ?実は…」
ミーはカラクリを教えた。
「まぁ。凄い技術ですね」
「月でも結構、レアーなアイテムだよ」

その後、彼女の歌に合わせ笛を吹き。
ミーは私室に戻った。

その時ふと、ある事を思い出した。
スッカリ忘れて居たが。そう言えば。昔…。

たまには、月の事を語っても、良いのかも知れない。
思い出してしまったら、急にそんな思いに囚われた。
今宵は夜空が綺麗だし。まあ、ソレには全然関係無い話だけど。

…ここはやっぱりアマテラス君かなぁ?
でも、アマテラス君はぐっすり眠って居る。

「フフ…」
ミーは少し撫でて、こっそりと隈取りを一本書き足しておいた。
明日にはお風呂に入るので、気が付かれないだろう。

ミーは語る相手を探しに、フラフラと外に出てみる事にした。

「あら?あなたは…」
「あれ?」
その場所には先客がいた。
ミーだって全てを予見している訳では無い。
ばったり人に会うこともあるのだ。

天の岩戸の近くの川辺に、ある天神族の女性が立っていた。

「ユー、こんな時間にどうしたんだい?」
「月の御方、私はちょっとした散歩が趣味なんです」
笑って言った。
「へぇ…」
ミーは適当に相づちを打った。月なら物騒だが、ここならまあ大丈夫だろう。

「そう言う貴方様は?なぜここに」

その女性が不思議そうに聞いた。
アズミ達以外の天神族は、今のところ、皆ミーにはこんな感じだ。
…ものすごく丁寧に接してくれる。

「ミーも似たような物かなぁ?月が綺麗だから…少し昔を思い出してしまって」
ミーは苦笑して言った。
「まあ…それは、済みません。ぶしつけな事を聞きました」
少しアセアセした。やはり皆、事情は知っているらしい。
「アハハ、ノープロブレム。良かったら、少し月の話を聞いて貰っても良いかい?昔話だけど…ミーが小さい頃の」
「!ええ」
その女性は、少し顔を輝かせた。
珍しい話が聞けて嬉しいのだろうか。
「フフ…こうして毎夜こっそり散歩していると、たまに色々な人に出くわすんです。お話を聞いたり、こっそり眺めたり。昼間に気が付かなかった物を見つけたり…」
「へぇ。結構皆こっちに来るのかい?」
「ええ、フラフラと。向こうに住んでいる者もたまに。ああ、ハクバは良く酔っ払って道で寝ていますよ」
「…」
それは女性としてはどうなんだろう。
「彼女は面白い人ですよ」
そうにこやかに言って、その女性は川辺の草の上に腰を下ろした。
どうやら、聞く体勢のようだ。

「と、言っても…あんまり面白い話でもないかなぁ…?」
「ふふ、構いません」
凄く興味津々だ。
「オーケー、じゃあ、正直大した話じゃないんだけど…聞いてくれるかい」

そしてミーは語り始めた。

■ ■ ■

ミーはその日も、広い庭の片隅に逃げ込んだ。
父からの武術の訓練が厳しくて。

「フゥ。ここならミーは見つからないね!」
なんて事を言って。しかし直ぐに呼ぶ気配がし。
そして、ミーはさらに家の外れまで逃げていった。

え、ああ、ソーリィ、当時のミーの家は凄い広かったんだよ。
幾つも建物があって、そうだね、この森三つ分くらいかなぁ?
ミーも入った事がない場所が幾つもあった。

「アレ?」
気が付くと、さっぱり分からない場所に居た。
いつの間にかミーは敷地の外に出てしまったのかもしれない…。
これはまずい。ミーは迷子にならないうちに何とか戻ろうとした。
当時まだミーは月の民としては幼くて…外に出てはいけない、と言われていたんだ。

ふと、話し声が聞こえた。
見ると、女性が居た。

なにやら豪華な着物を着て居るし、ああやっぱりまだ王宮…今のは忘れて、の中だったんだと思ってミーはホッとした。

何だか、小さな宮だった。
「…誰ですか!」
「ギクッ」
ミーは、その人に見つかってしまった。気配は一応殺していたのに。
走ろうとしたのがいけなかったのかもしれない。

「そ、ソーリィ、のぞいしまって」
ミーは仕方無いので姿を見せた。きっと怒られるに違いない。
その頃ミーは結構イタズラをするのが好きだったから、皆ぷおーって怒った。
「あら…!」
でもその人は、ミーを見て笑った。

どうやら、お客さんだったようだ。
「お邪魔してソーリィ。ミーは帰ります」

「よかったらお茶でも…今もう用意ができましたよ。た、多分」
その人は何かアセアセと言った。
ミーを引き留めているようだった。

レディのお誘いだし、とミーは言い訳してありがたくお茶を貰う事にした。
ミーはその宮に招かれて、そうだここは賓客用の離れの一つだった、なんて思いながら辺りをキョロキョロ見回した。
「ここに入るのは初めて?」
「イエス。少し地味だね」
「フフ、そうかしら?」
その人は、生意気なチャイルドだったミーにも温かかった。
でもその内装はかなり、ミーの使っている建物に比べて地味だった。
まあ、あちらがやたら派手なだけだったのかもしれないけど…。
「サンキュー!」
卓について、お茶を貰い、ミーはその人の侍女らしき人にお礼を言った。
もちろん小指はしっかり立てておいた。

…そこ笑うとこ?

まあ、それからミーはその人と談笑した。
「お父さんとお母さんはお元気?」
「イエス、いつもラブラブだよ。おまんじゅう頂きます」
「どうぞ」
ニコニコとその人が微笑む。
「あなたは…最近、剣術のお稽古が忙しいのかしら」
「…??」
何で知って居るのだろう?
「傷だらけですもの、あらやだ、手当しないと…」
そう言って、その人はミーを何となく手当してくれた。
その時には、ミーはこの人が誰か分かって居た。

その人は…。

「その人は、やっぱりミーのおばさんだった。それからミーは迷子になって、日暮れに戻ってしこたま怒られた。まあ、それだけの話なんだけど…それ以来疎遠だったその人に…月から脱出する時に、偶然会ってね…」

天神族の女性が少し驚いた。

「…今日、そう言えば昔…出会っていたんだなぁって、ようやく思い出した…」
ミーは苦笑した。本当に大した話でもない。少ししんみりするくらいだ。
だがこんなに、誰かに昔の事を話したのは初めてかもしれない。

天神族の女性がためらいがちに聞いてきた。
「おば様、というのはたしか…ご両親の女性のきょうだいの事ですよね?」
あ…そうか。
「ソーリィ。イエスだよ。彼女は母の妹だった」
ここには家族という概念が無いのだったか。

そんな事を思って居たら。
「あの、もしかして、そのおば様は…その、お亡くなりに?」
何かオドオドと聞かれた。
「そうだね…」
ミーがそう言うと。
「…」
その女性が。黙り込んだ。
「そ、ソーリィ、少し暗い話だったかも…?」
ミーはあわてて謝った。
つい思い出したので…うっかり話してしまったが。
確かに、ほぼ初対面の女性にする話ではなかったかもしれない。
すると、その女性は、みるみる顔をゆがめ。

「月の御方ぁ……!」

…ボロボロボロと泣き出したではないか!!

なんと言うことだ!ミーはレディを泣かせてしまった。
「そ、ソーリィ!」
ミーは慌ててハンカチを渡そうとする。その時。

ガサッ!!
「ウシワカさぁあん!」「うぉぉ…!」
「わぁああん…!」「何てことだ…!」「大神よー!」

ってアレ???
何か凄い人!?
こんな夜更けに!

酒瓶持ったハクバは良いとして。生け垣の隙間から顔を出した天神族のおっさんもいるし、遊び疲れて木の上で寝ていたらしい小さな子供もいる。夜釣りに来たらしい人も居る…。

「クゥーン…」
「ってアマテラス君まで!ユー寝てたんじゃ無いのかい!?」

その後、ミーは何かわっしょいと担がれて、胴上げされた。
天神族(の一部)はどうやら夜行性で、大変涙もろい一族なようだった。

そしてミーは、酒盛りの途中で眠ってしまったらしく…。
気が付いたら、建物の自室に運ばれていた。

翌朝目が覚めたミーは、ひたすら一人で苦笑するしかなかった。

…これはミーのちょっとした失敗談だ。

〈おわり〉

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