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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■箱舟ヤマト26 タカマガハラ⑱【大神】【長編】

そういえばこの件忘れてました。
飛んで五十年後、タカマガハラのメガ進化編。だいぶ発展しましたね~。
実際どうなのとか、もうわかんなかったので順に発展させてみました。

月建築は青っぽいテイストだし、ナカツクニは和風(?)だし明月館がタカマガハラ風なんじゃないかな…。
やたら派手でステンドグラスとか所々にある感じ?
そしてオロチさんまだー?状態です(涙)

ちょこっと間空いててすみません。今日はここまでです。

 

■箱舟ヤマト㉖ タカマガハラ18


久しぶりによく晴れたある日、ミーとアマテラス君、アズミ、ハクバ、スサド、そしてマルコは連れだって天岩戸の森へと向かった。

「慈母様、皆様、おでかけですか?」
女性に話し掛けられた。
「ワゥ。…クゥーン!」
アマテラス君がしっぽを軽く振り、返事をする。
ついでにをマルを書いて撫でてもらっていた。

今は日の高い刻で、往来の人通りが多い。
どこかへ向かい歩いている者、ふわりと飛んでいる者。
地面や壁に落書きをする子供、住まい屋の前で座って話しをする老人。

…増える人口に対応する為に新しく建て替えられた街。そしてその中心となる建物。

それらは『様式の折衷』としか言いようが無いものだった。
この建物と街は、タカマガハラ風にしたいミーと、ナカツクニ風も捨てがたいというスサドが火花をちらしつつ設計した。
結果、アマテラス大神の住まう本宮はくすんだ白壁に赤い屋根、柱。
窓と所々に金ピカ色の装飾。床は蒼。
街並は藁葺き板葺きの風情あるたたずまい。道はあえて舗装せず土がむき出し…。
住民が暮らすの部分は古き良き街並みだが、公的な建物はタカマガハラ風で時折思い出したように建っていたり。
適当に木が生え。まっすぐに水路が引かれ。清水が通り背の低い雑草や小さな草花が生い茂る水路の脇では子供が遊び、橋の上では老人が釣りをしていたりする。
汚水は完璧に処理され、大変クリーンな国だ。まさに神々の國。
そうでなくとも天神族は今では殆ど『人』としての営みを必要としない。
せいぜい露地栽培か家庭菜園、釣りやそこらの木からもぎ取ったり…。お米はアマテラス君とミーが好きなので必須、と言うくらいだ。

(ただ平和に、ふわふわと漂うばかり、か)

ミーは歩きつつ、空を見上げた。
幾人かの天人達が飛んでいる。アマテラス君達を見つけ、どうやら手を振っているようだ。
「ウシワカ殿ー」
「ああ、ハロー!」
知り合いを見つけ、まぶしさに目を細めながら軽く手を振り返した。

…天神族達が住む街の周辺には、物見の塔が幾つも立ち並ぶ。
そこを起点に光の壁が築かれ、その壁には『守』『結』『保』等という文字が浮かぶ。
この結界は薄い光の壁で、すっきりと向こうが見える仕様になっている。

もちろんこれは結界だ。
質感もあり、普段は物理的に外に出られない。小さな害虫や妖怪がぶつかったらバチィと弾かれるが、ウサギや鼠等の動物なら通過できる。

この結界はミーが箱舟ヤマトの結界を研究し、応用して作った物だ。
ヤマト入り口の結界は、あらかじめ定められた以上の通力を持つ物しか通さないようになっていた。どうしてそんな仕様だったのかと首を傾げたが、月の民、特に神通力の強い者しか運ぶ気が無かったのだろうとひとまず結論付けた。

街の端っこから天岩戸の森の端っこまで。この広範囲の結界は、ミーが時折手を抜いたり、係の天神族が点検し忘れたりして、アズミに叱られつつ何とか維持されている。

タカマガハラの大きさからしたらほんの爪の先程。
それが今確実に安全と言える場所だった。

結界の外は今日びよく妖怪に、下手したら羅城門に出くわす。なので出ない方が無難と言う事になっている。
街や平野の上空にはいくつかの物見の浮島が存在して、天神族達が周囲の見張りをそれなりにしていたりする。
一応非常時の戦闘拠点になるのだけど、天神族達には洗濯物が良く乾くし大変住みやすいと評判だったりする。

ミー達は大通りを歩き、程なく天岩戸の森に入った。

聖域である天岩戸には、今は三重の結界が張られている。
まず、もともと天神族が天の岩戸に張っていた結界。その上にミーが張った同範囲の結界を重ね、二重。
そしてさらに街の端っこから天岩戸の森の端っこまでを包む結界、これで三重となる。

森の小道を進み、箱舟ヤマトの祭壇を通り過ぎる。
ヤマトの祭壇には門が築かれ、今のところ、その扉は閉じている…。
ちなみにクトネシリカは祭壇の柱に立てかけてある。見学は自由だ。
ミーがこの國に持ち込み、天神族の物となったこの舟がこの形で奉られて久しい。

(箱舟ヤマト…か)

「月の方?」
アズミが立ち止まったミーを振り返った。アマテラス君も振り向く。
「ああ、ソーリィ」
直ぐに歩き出す。


■ ■ ■


そして程なく、アズミ達は天岩戸周辺の結界の端まで来た。
と言っても、杭を打ちつけただけの簡素な柵があるだけだが…。

アズミが目を細めて、その柵の間の結界に意識を集中した。
今、彼女の目にはユラユラと揺れる二重の結界が見えている。

…『守』『守』柵『守』『痛』『守』柵『崩』『守』『守』柵『守』『穴』『守』…
…『ココはアマテラス君のハウスだから妖怪は入っちゃノーだよ。 byウシワカ』…

「ああ…やっぱり私達の結界は大分痛んでいますね。もう古いから…」
アズミが言った。
ウシワカが張ったものはまだまだ大丈夫そうだったが、天神族が張った結界は明らかに所々が痛んで、穴も開いている。
「じゃあ、張り直さないと…」
と、スサドが言い。
「宴ですな!」
マルコも喜ぶ。
「ふふふっ、…久々のお祭りね!飲むわよー!!あ。ウシワカさんは初めてでしたよね」
そして宴と聞いて飲む気満々のハクバが、にっこりと笑いウシワカの方を振り返る。


「「あら?」」
そこにウシワカは居なかった。


アズミとハクバがキョロキョロする。
「あ、あそこ!」
後ろを振り返ったハクバが見付けた。
彼は少し遅れたところでアマテラスと何かを話している…。

『…、…』
…微妙に遠くて読めないが、アマテラスが何かを喋っている。
アズミ達はそちらへ向かった。
察するに、アマテラスが何か首を傾げ立ち止まったので、ウシワカもソレに習い、遅れてしまったのだろう。

ウシワカはアマテラスを見下ろし、腕を組んで何かを思案している。
「どうされましたか?月のお方ー」
スサドがやや離れた位置から、声を上げて聞いた。

「ああ、ソーリィ。皆ちょっと」
ウシワカが手招くので、皆はそれに従った。


■ ■ ■


「アマテラス君、何て言ってる?」
ミーは聞いた。

残念ながら、ミーにはまだアマテラスの言葉が見えないのだ。

「ああ。ええと…?」
心得た四人がアマテラス君に話掛けようとすると、アマテラス君はひょいと脇道にそれてしまった。
「あ、っと。そっちはノーだよ」
こちらのあぜ道はしばらく行くと、すぐに結界のある森から出てしまう。
確か川があったと思うが…。ミー達はその後を追った。

「妖怪でもいたのかなぁ?」
アマテラス君に追いつこうと、ミーは足を速めた。

さほど長い道ではない。

「ワン!」

「あ、呼んでますね?」
少し遅れてミーに追いついたハクバが言う。アマテラス君の鳴き声だけが聞こえる。
最後尾はマルコだった。

河原の、真ん中。白い石や岩がゴロゴロしている。
その中で一際大きな岩の陰にアマテラス君が体半分、隠れている。
ワン、ワンとしっぽを振って、しきりにミーを!!呼んでいる。

「…っ、何だい?」
「ウシワカ殿は、今日も相変わらずですな」
マルコを初めとする皆が、ミーを見て微笑んだ。

用心のため、ミーはしばらく周辺を見回し…その後アマテラス君に近づいた。

「…どうしたんだい。アマテラス君。この辺りはデンジャラスだよ…?」
「クゥーン」
ミーは首を傾げるアマテラス君の方へトコトコと近づき、何だろう?と岩の陰を覗き込む。

「ワゥ」

「…ん?…あっ!!ああっ!!」

アマテラス君が鼻先で指した方見て、ミーは大声を上げた。
慌ててしゃがみ、いくらかの石をガラガラとどけてソレを拾い上げる。

これは、まさか!?

べろん、と何か長い布引き出された。
土を払い、残りを掘り起こす。

そこに埋もれていたのはのは、ドロドロに汚れた羽衣だった。

「ワォ!!コレって…!!ミーの羽衣じゃないか!」
「ワン!!」
アマテラス君が飛び跳ね回る。
「まあ!…どうしてこんな所に?」
「おお!」
覗き込んだアズミとマルコが驚く。
そう言えば以前アマテラス君が無くしてしまい、そのままになっていたのだ!

「アマテラス君!サンキュー!!良い子良い子!!」
どさくさに紛れ、ミーはアマテラス君に抱きつく。
「ワゥ!ワゥ!ワン!」
まさか彼女が思い出す日が来るとは!いつもより多めに撫で、もみくちゃにする。
アマテラス君もご満悦で甘噛みしたり、ゴロゴロ河原に転がったりと動きが激しい。

「わぁ!ほんと、久しぶりに見ました!」
「月のお方!早く洗いましょう!」
ハクバとスサドがはしゃぐ。そして皆でガヤガヤと川辺に移動する。

早速、バシャバシャと羽衣を川に浸し汚れを落とすと、布の部分が流れで広がり…懐かしい思い出があふれて来る。

「…!わ、わぁ!」
そうだ、自分はコレを付けて飛ぶのが好きだった!
無くしてしまってからは格好が付かないと、しばらくこっそり落ち込んでいたっけ…。

「ワン!!」
アマテラス君がドヤ顔でしっぽを振る。
「ファンタスティック!アマテラス君!!大手柄だ!…ヨシ、大体綺麗になった。アハハハハハ!ナイス風。じゃあミーが画龍で直すよ!」
濡れた布を絞り、広げて。テンション激高なアマテラス君が奥義「竜巻」を使い乾かし、待ちきれないミーが画龍で修復する。

「…アレ」
しかし、ようやく装着する段になって、ミーは首をひねった。
「どうされました?」

「…どうやって付けてたっけ?」

ミーはすっかり忘れしてしまったようだ。困った顔で皆を見る。

「「ええ?ええ~っと…」」
皆は顔を見合わせた。


「ええと、どうだったかしら…」「こうじゃない?」
「四つ編みとか」「いや、もっと感動的な…」


「…あ、そうそう!!こうだ!」
ミーはしばらく髪をいじり回された後、ようやく思い出した。

シュパパパ!
水色の櫛と紐で、器用に長い髪をまとめる。
そして笛を取り出しビシッとポーズを決める!

『月の民 ウシワカ (羽衣バージョン)』

「おおおー!」
皆は驚き、手を叩いて神業を賞賛する。

ふわり、と風に羽衣が揺れる。それはまさに羽のようで。
「アマテラス君!アハハ!」
はしゃいだ様子でミーとアマテラス君は意味なく駆け回る。
時折ミーはふわりと浮き上がる。
羽衣は飛ぶのをかなり助けてくれる、ミーのマストアイテムだ。
「この感じ、久しぶりだなぁ!」
「ワゥ!」
アマテラス君の手を取るように、踊るように共に駆ける。
ヒラヒラ飛び、木々を足がかりにさらに高く浮くミーに負けじと、アマテラス君も飛び跳ねる。

 

■ ■ ■
「すごい、久しぶりね!わー綺麗!」
ハクバが羽衣からたなびく光を見てニッコリと笑った。
「ええ。すっかり忘れてたわ」
アズミも頷く。しゃらしゃらと光の音がするのでは?と耳を澄ます。

しばらく『彼等』は戯れる一人と一柱を眺めていた。

〈おわり〉

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