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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■箱舟ヤマト エピローグ いつか桜の下で(完) 【大神】【長編】

■大神(長編) 箱舟ヤマト(大神) 小説

やっぱ最後はこのサブタイで!

これでこのシリーズは完結です。
今までお付き合い下さってありがとうございます!
大神長編、なんか暇なときに読める話を、って事で、皆様の大神ライフの足しになってたら嬉しいです!

ピクシブ版の後書きを分けてアップします。ブログ版に寄せての後書きも書こうかな。

 

■エピローグ いつか桜の下で

「月の方」「ウシワカさん」「月のお方」「ウシワカ殿」

たまに、皆の声が聞こえる事がある。
いいや、聞こえる気がする、と言う事だ。

タカマガハラ。
神々の住んでいた國。
彼等の住んでいた國。

ミーの住んでいる國…。


■ ■ ■


ふと思い出したのは、すっかり壊れた天岩戸を片付けている時だった。
ここはもう、台座くらいしか残っていない。明るい光が差す。

そうだ、忘れていた。
些末な予言の一つ…。

直ぐ近くに咲き誇る賽の芽がよく見える。
…アマテラス君はその下で丸くなっている。

この平野の浄化もほぼ終え、後はタカマガハラの辺境…山とか。森とか、谷とか。
そう言った場所を手分けして浄化に当たるのみ。…のみと言ってもココは広大だ。
数年はかかるだろう。

月の復興はカグヤや月の民に任せても良いだろうが…、多少は手助けした方が良いだろうか。
そしてこれから、タカマガハラをどうすべきか…。アマテラス君に聞いてみようか?
ミーは長年の修行の成果か、ようやくアマテラス君の文字と三角が見えるようになった。
あの時の感動は一生忘れられない…。

「ウシワカ!」
「キャン!」
クロウとチビテラス君だ。
ミーは考えていた事を脇に置いて、飛びついてきた彼等に向き直った。

「…ウシワカ?」
クロウが首を傾げる。
「あ、ソーリィ。もうお昼か」
またやってしまった。ミーはクロウを見るとなぜか抱き上げたくなる。
小さくて軽いから、かも知れない。
…あるいは彼等によく見えるように?

「アマテラス君」
見るとアマテラス君が昼食と聞いて、起きてミーの足元に来ている。
ミーは、はしゃぐクロウを抱き上げたまま、皆で歩いて建物に戻る。

街は跡形も無く…その外れにあった懐かしい建物も、残っていたのは基礎だけだった。
…今も大して変わらない。相変わらず草がぼうぼうだ。

唯一形が残っていたのはアズミの書庫。まあ、上の方は崩れていたが。
ミー達はとりあえずそこで食事を取ったり、集まったりしている。
夜は外で適当に団子になって休む。今の季節は暖かいので問題は無いケド…でも冬までには何とかしたい…。

途中、スケッチから帰って来たゴムマリ君が加わる。途端に騒がしくなる。
ミーはゴムマリ君にアマテラス君を取られ大変面白くない…。
「アマ公!」
「ワンッ!!」
はしゃぐアマテラス君の側に浮かぶ文字が見える。

『ごはん食べたらイッスンと遊ぶ?』
 もちろん!!  ウシワカ?誰それ。

…野性味あふれる昼食を泣きながら食べ終え、ミーは一人で平原に向かった。

途中でクロウがチビテラス君を抱え、飛んで追いついてきた。
「…」
ミーは見上げて笑った。
三人で、平原を歩く。目的は平原の真ん中にとめたヤマトだ。

背丈が高い雑草を埋もれつつかき分けて進んでいたクロウは呆れて。
「ウシワカ…どうしてこんなに遠くにヤマトをとめてしまったんだい?」
そう言った。
「うーん、フィーリング?ホラ、マッチしているだろう?」
実際、平原にヤマトがぽつんとある様子はなかなか絵になっていると思う。
「なるほど、現象風景と言う訳かい?」
クロウはそれであっさり納得した。

…この子はどうもおかしな子だと思う。一体誰に似たのだろう?

まあ超ビューティフルな所はミー譲りだと思うけど。おかっぱって最高だよね。フフフ!
ミーがチョイスしてハクバがチクチクと仕立てた月の子供服も…良く似合ってるし!
「フフフ…フフフ…アハハ!」
「ウシワカ、キモイよ」
「ワン」
一人で怪しくニヤニヤしてたらクロウとチビテラス君に引かれてしまった…。
ミーはしばらく歩き出せない程のショックを受けた。
「アハハ、ソーリィ!ジョークだよ!」
笑顔でそう言われ、ミーはほっとした。クロウは良い子だ!ミーは撫で撫でする。
「ワン!」
ハイハイ、ユーもね。アレ…ユー今何かしたっけ?

平原を並んで歩き、ヤマトの下まで来た。
「うーん…」
ミーはそこに入るでも無く、ただ腕を組んで眺めた。
「うーん?」
クロウが真似をする。
「クゥン?」
チビテラス君も首を傾げている。

「…中に入らないのかい?」
クロウが左のミーを見て言った。
「まあ何となく来ただけだし…ヨシ、登ってみよう…」
ミーはヒラヒラと羽ばたいてヤマトの上にすとんと乗っかった。

「ユー達もおいで!」
ミーは下を見て笑って言った。ニコニコと手を振る。
「やれやれ、忙しい人だね、ユーは」
「ワフ」
二人が呆れた様に手を上げ、フヨフヨ飛んできた。

方舟ヤマトは結構大きい。
かなり遠くまでこの國が見渡せる…。
「…」
ミーは陽のまぶしさに目を細める。

ミーはスッカリ忘れていたけど。

…沢山の些末な予言、その中に、皆で平原を歩くと言うものがあった気がする。
その時は、すぐソレが訪れるのだと思って、気にも留めなかった。
けど結局ここにいた時に、そんなことは無かったと思う。
…あるいは、ミーが見た白昼夢なのかもしれないが…。

ミーはミーの隣に立つクロウに言った。
「…きっといつか、この平原にも賽の芽を植えよう」

「イツカって?」
「アハハ…!ホラ!」
答える代わりにミーはまた、クロウを抱き上げた。
今度はチビテラス君も一緒に!

「これから少し遠出しようか?」
「…!」
「ワン!」
二人が目を輝かす。
「フフフ。決まりだね!」

『行ってらっしゃい』

皆の声がした気がして、ミーは振り返った。
手を振る彼等の幻まで見えそうな気がする。


でもそこにあったのは、穏やかなタカマガハラだった。


〈END〉

 

 

 

 

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