絵、時々文章なブログ(姉)

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■箱舟ヤマト 完結記念 番外短編3 アズミ語る 【長編】【大神】【ウシアマ】

 

 

3 アズミ語る(※ウシアマ)

 


(アマテラス君の事をどう思っているか?ええと、…。ユーは何が聞きたいのかなぁ?)

私が彼に聞くと、彼はそう答えた。

私は、ほんの少しこの國で一緒に過ごし、この人の意地悪さを理解し始めていた。
どう見ても、質問の意図を理解している顔だ。

「はっきり言いましょう。この際ですし。ウシワカ様、貴方はアマテラス様に思慕の情を持っていらっしゃいますか?月で言う所の、恋愛感情」

私がキッパリ言うと、月の方は少し驚いたようだった。
「おや…、ユー達は、恋愛のなんたるか、とか知って居るのかい?」

彼と私は木の下でお互いをまっすぐ見る。
いや…じっと目をそらさずに見ているのは私だ。

彼はあぐらを掻いて、木にもたれてうーん、と考えるそぶりで上を向いて、時折目の端に私を映す程度。

この方は、顔は良いけど、性格はちょっと癖があるのよね…。
もちろん、まさか嫌いという事はないのだけど…、むしろ皆は、私も、好ましいと思っているのだけど。

そもそも、この方は一体何を思って、アマテラス様と仲良くしているのかしら?
月の方と、アマテラス様は大変仲が良い。それは周知の事実。
むしろ良すぎるくらい。

私はいくつかの可能性を吟味した。
月の方は、アマテラス様が、ここの代表だから、媚びを売っている?それとも、アマテラス様が、可愛い外見だから、愛玩動物としてみている?それとも…。

そして、今のところ有力なのは。三つ。

ウシワカ様は、獣に欲情するおかしな人間、所謂変態という人種である。
ウシワカ様は…アマテラス様が獣でも良いくらいに本気である。
そして、最後三つ目は。

「アハハ!考えた事無かったなぁ!」
ウシワカ様が笑って言う。
…。
私は大きく溜息を付いた。
心の中で匙を投げ、ちゃぶ台を『どっせいーーー!!』とひっくり返す。

そう、三つ目は…何にも考えず、フィーリングで付き合っている可能性、…よ!

コレがアタリな気がしてたけど…。
いえ、そうでなければいいなーとは思っていましたけど。

だけど、私は知っているわ!!
月の方のこのふざけた態度…これは、『ポーズ』なのよ!!

この方は、絶対もっと深く考えているはず!
…ここからが勝負。その心。丸裸にして見せましょう!!

「ミーの考えが気になるかい?」
私の決意を察したのか、ウシワカ様がイタズラっぽく聞く。
「ええ。『私達』にとっては、ものすごく、…重要な事ですから」
私はお返しとばかりに微笑んだ。
彼は、とても天神族を尊重してくれている…だからこう言えば。
「うーん…」
ほら、真面目な答えを考え始めた。

腕を組み、何かゴニョゴニョとしきりに呟いている。
そして、しばらくして、ポン!と手を打った後、彼は語り始めた。

「ミーは、生まれてはいけなかったんだと思う」

え、と私は思わず返した。
溜息と共に言われた言葉は、私が想像していたのと…、具体的に何を言われるか予測出来たわけでも無いけど…全く違う物だった。

俯いたまま、彼は語る。
穏やかな笑みをたたえ、全てをあきらめたような…そしてそれが当然といった口調で。

「ミーの神通力は少し強すぎる。どうしてかは分からないけど、そんな人間は本当はいない方が良いんだ」
「そんなことは」
私は訳も分からず言葉を返した。
そして、自分を卑下なさる事はありません、と言おうとした。
「…いや。そうじゃ無いね」
けれど一転。彼は明るい表情になった。そしてバッと立ち上がって、おかしなポーズを決めた。

「アマテラス君は、神様だから死なないし、ユー達も長生きだ!これは最高に、素晴らしい事だよ!!」
キラキラ、しゃらりと髪が揺れ、小指がまぶしい。

私は、目を見開いた。

「ミーはここに来て初めて、希望って、未来って言う物が、少し分かった気がするよ。アハハハハ!」

私は、ぼろぼろと涙を流してしまった。

そんな私を、彼は驚きアセアセと気遣う。

(そうだ。この方は…、予言者、なのよ…)
その有り余る力で、人の死際を見たり、月の滅亡を予見したりしてしまったのだろう。
なんて悲しい。そして、強く、優しい人なの…。

ウシワカ様とアマテラス様。
…このお二方が出会えたのは、本当に幸運な事だったのかもしれない。

「あ!」
ウシワカ様が顔を上げる。

「もうすぐ、アマテラス君が来るね」
そして、少し気恥ずかしそうに笑って言う。照れているのだろうか。

「ハァ…」
私は彼のその表情を見て、大きく溜息を付いた。

肝心の事は聞けずじまいだったけれど、この人が、多分昔から…罪作りな人だというのは、痛いほど分かったわ。
アマテラス様ももしかしたら、この方のこんな所に絆されたのかしら…。

真面目で、無邪気で、ちょっとめんどくさい。だけどとても優しい人。


そして、遅れたアマテラス様がいらっしゃって。
ウシワカ様はアハハと笑う。

…こっそり教えてあげますけどね。
ええ。私には、しっかり、ハッキリ見えましたとも。
月の方から、農作業用の麦わら帽子を受け取った時の、アマテラス様のお言葉が。

『ウシワカの求婚を受ける?』
もちろん!  …考えてもいい。

ですって!!
「もう…勝手にやってくださいな」
「??」
「ワゥ!」
私の言葉に、ウシワカ様は首をかしげたけれど、アマテラス様はしっかりと頷かれましたとさ。


あーもうっ、ごちそう様です!

〈おわり〉

 

 

 

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