絵、時々文章なブログ(姉)

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長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■ナカツクニ短編 奥の間 【大神】【短編】

平和な西安京。時間は謎。

※今回のは捏造入れてみ ました。あ、牙集めなら、十六夜の祠の調理場の裏がおすすめです!氷溶かして行くところ。あそこの黒天邪鬼で三百本は集めました。復活までの時間が短いの と、一閃で出せるのが楽でイイ。三本出るし。たしか緑とか細かいのもいた気が。

 

 

■奥の間


アマテラスが吠える。

「あれ、見つかっちゃった?」
奥の間にいたのは、ウシワカだった。
アマテラスが、ぱたぱたとしっぽを振る。
なんだか凄くマルを描かれている。

ウシワカはたくさんの無駄を出しつつ、しゃがんで一回だけ撫でてやった。
「しかたないなぁ…あれ?ゴムマリ君は?」
いつもピョンピョンうるさい金玉虫がいない。
アマテラスは首を傾げ、後ろを振り返る。
「ワゥ?」
「…はぐれちゃったのかい?」
どうやら、二匹は神殿の奥に迷い込み、はぐれた様だった。

「うーん、ココ、結構広いから…ゴムマリ君はもう…アハハ!」
あきらめた方がいいね!と笑うウシワカの着物をアマテラスが引っ張る。
「ワン、ワン」
どうやら、お前も探せと言うことらしい。

アマテラスは当てもなく適当に歩き始めた。
「フフフ、何処に行くのかな…?」
ウシワカがアマテラスの後をついて行こうとする。しかし、アマテラスはふと立ち止まり無言で見つめてきた。
小首まで傾げて。クウーン?と鳴く。

もちろん、案内してくれるんだよね?

…と言っている気がする。
「…オーケー、じゃあ行こう」
ウシワカはつい微笑んで、歩を進めた。

■ ■ ■

「って言っても、そんなに奥向きは面白くもないよ」
まず、ウシワカが案内したのは、丁度、謁見の間の後ろにあるヒミコの控えの間だった。

「ここは、ヒミコがメイクを直したり、こっそり休憩したりするスペースだよ。ずっと謁見の間にいると疲れるしね。コラコラ、鏡を触っちゃノー。この隣は執務室」
小さな鏡台があり、綺麗な櫛が並んでいる。アマテラスは一応執務室ものぞく。
誰もいないし机があるだけだった。壁には巻物がたくさん積まれている。
アマテラスはウシワカを振り返った。
「え?ココには今おやつは無いよ」
控えの間を出て屋根付きの渡りを渡る。丁度神殿の真後ろのあたりだ。
奥に無数の建物がある。神殿の中ではこの建物が一番高いようだ。
美輪湖も見える。

ウシワカが話す。
「だいたい神殿には三十くらいの建物があるのかな?ミーが入った事があるのはそのうち二十くらいかなぁ?さすがにレディの居室には入れないから…あ、でもここから入り口が見えるよ」
ウシワカは渡りから見える中庭を指さした。
「あの手前の小さな門から奥が、ヤマタイ一族の居住スペースだよ。と言っても今は宝帝は外の屋敷にいるし、使っているのもヒミコくらい?もう殆ど閉めてあるんじゃないかなぁ。ヤマタイ一族には小さな女の子があと何人かいたと思うけど…今はみんな貴族街とかにいるしね」
アマテラスはあくびした。
「アハハ。ソーリィ、じゃあもう少し違うところを見ようか?ほら、あの塔」
そう言ってウシワカは向こうに見える高い塔を指さした。
「あれって、どう見ても、美輪湖の真ん中で行き方が無いように見えるけど…、ん?水捌けの石簡?フフ、ノー、それでもあそこは行けないよ」
そう言って、近くの壁を蹴飛ばした。
かっこん、と何か音がする。
だが、何もおこらない。
「クゥン?」
「フフフ、実はこっちなんだよ」
ウシワカはアマテラスを連れ、一度、謁見の間の奥に戻り、反対側にある似たような作りの渡り廊下に来た。
その向こうに、屋根付きの小部屋があった。あまり使われていないのか、外見からしてさびれた様子だ。大きな鍵もかかっている。
中は、おそらく先程のヒミコの控えの間と同じくらいの広さだろう。
「こっちの控えの間は、キング用だから、もうかなり使われてない。向こうの控えの間と違って少し離れてて不便だしね。ってことで、ホラ」
ウシワカは懐から、数本束になった鍵を取り出し、かちん、と錠前をはずす。
「ワン!」
アマテラスは部屋に飛び込んだ。なにか面白い仕掛けがあるかもしれない。
「ケホ、うわ、埃」
ウシワカが煙たそうにする。
アマテラスが走ったものだから、床に積もった埃が舞ってしまった。
「クシュ!」
アマテラスもくしゃみをする。
「うわ…ざっと…五十年ぶり?たまには掃除してもらった方がいいのかな…」
ウシワカは机を指でなぞる。
「ワン!」
アマテラスが、その部屋の真ん中にぽっかり空いた穴に飛び降りた。

「イッツ、この道はあの塔に続いてるんだよ、いて」
勝手に明かりがつく道をアマテラスとウシワカが進む。
狭い通路をアマテラスが走るので、ウシワカは遅れ気味だ。さっきも燭台に頭をぶつけた。

そのうち、通路の終わりが見えてきた。
「ワン!ワン!」
先に付いたアマテラスがウシワカを呼ぶ。
「アマテラス君…」
ウシワカは何か感動した。ユーがミーを呼んでくれるなんて。…嬉しい。
が、ふと、ウシワカは思い出した。
「あ、そうだった」
そこは井戸のような場所だった。湖の底を通ってきたので、地上までかなりある。
一応途切れ途切れなツタのような物があるが、アマテラスが上るには厳しい。
ウシワカは苦笑し、アマテラスを抱き上げた。

「ホラ、着いたよ」
ウシワカはあっという間に飛び、井戸の外に出た。
そこには壮麗な塔が立っていた。周りを多角形の塀で囲まれている。
小さな庭があるが、建物正面には木は生えていない。代わりに背の低い花がたくさん咲いていた。

「昔まだ、都が小さかった時に水害があってね。神殿も新しくしたんだけど…その時、この建物がいらなくなったから、ミーがもらったんだ。適当に直して、物置にでもしようかなって」
そう言って、扉を開ける。
「うわ、変わってないなぁ」
中にはよく分からないカラクリが並んでいた。
アマテラスが一つ一ついじったりにおいを嗅いだりする。
「適当に見ててくれるかい」
ウシワカは、珍しく、トコトコ一人で上の階に上っていった。

アマテラスが、ある機械を動かすと、なにやら絵の描かれた画面がクルクル回り出した。
適当に触っていたら、絵柄がそろった。
「ワウ!?」
いきなり派手な音と共に小判やおやつがザクザク出て来たので、ありがたくいただいておいた。
今度イッスンを連れてこよう。アマテラスはそうポアッと考えた。

そのほかの階に行くと、なんか黒天邪鬼とかが出て来たので、一閃でやっつけた。
ふと思い立って、部屋を出てまた戻ると、復活していたのでまたやっつけた。
牙集めに良さそうだった。

また別の階には、なんかお風呂があった。湯船が無駄に白くてピカピカしている。装飾は金で、大変悪趣味だ。作ったヤツは変人に違いない。
その奥に、何か扉があったので入ってみた。中の壁を適当に触ったら、何か部屋ごと勝手に動いて一番下の階に戻ってしまった。
アマテラスはとりあえず庭の散策でもしようかと思って小部屋から降りた。
ふと見ると、ごちゃごちゃしたガラクタの山の脇に、もう一つ部屋があった。入ってみると、そこは台所だった。よし、何か食べよう!
しかし、使っていないのか、食べられそうなものは何も無かった。
アマテラスはがっかりした。土間の裏から外に出てみる事にした。

そこは、塔の裏庭だった。
いろんな果物が鈴なりになっている。一応畑らしき物もあったが、雑草だらけだった。
アマテラスはとりあえず熟している果物を平らげておいた。

アマテラスが一番上の階に行くと、ウシワカがいた。
ウシワカは、何か紙を持って、なにやら建物を真剣に見ている。柱とか床とか窓とかあとバルコニーとか。
「うーん、よし」
何かが良いらしい。
「アマテラス君、もう少ししたらお昼に行こうか、ウェイトプリーズ」
ウシワカは、そう言うと机に向かった。周りにはなんかよく分からない紙の束や、巻物が適当に積まれている。
そう言えば、ココにはイヤな埃が全くない。
アマテラスはふかふかの赤い絨毯が敷かれた床をクンクン嗅いだ。部屋の奥には大げさな屋根付きの寝台がある。あそこで寝たら気持ちよさそうだ。
ウシワカはフサフサした羽の付いた筆で何か書いている。
「クウン」
アマテラスはその様子を隣でしばらく眺めた。首を傾げる。
ウシワカの字はなんかぐにょぐにょしていて下手くそだ。自分が書いた絵の方が確実に上手い。
「コラコラ、さわっちゃノーだよ」
紙を取ろうとしたら怒られた。
「クウーン…」
アマテラスは少ししょげた。まだウシワカは何かを考えつつ書いている。
見るのにもう飽きたアマテラスは、とりあえず移動し部屋の隅の布団に乗ってみた。当然丸くなる。
一つ、あくびをした。

「よし、オーケー、アマテラス君…あれ?」
ウシワカが立ち上がる。手紙らしき物を封筒に入れて、封をする。
そのまま机の真ん中に置いた。

アマテラスはすっかり眠ってしまっていた。
「フフ…ミーも横になろうかな」
ぽて、とベッドに寝転んだ。眠っているアマテラスを眺める。
ああ、キュートだ。
ずっと眺めていたいな…。
しかし、柔らかな陽が差し暖かい。いつの間にかうとうとしてきた。
目を閉じる。

「ん…?あれ、ミー、ちょっと寝てた?アマテラス君」

しばらく眠ってしまっていたウシワカが身を起こした。
アマテラスを軽く撫でて起こす。
「ワウ…?」
眠そうな様子に微笑む。
「フフフ、戻ってランチにしよう」

■ ■ ■

神殿に戻り、広い食事場を見た。ウシワカが料理を持ってくる間に、こっそり厨房に忍び込んだアマテラスはいろんな物を異袋に詰めた。
そしてウシワカが持ってきた大量の料理も美味しくいただいた。
「そう言えば、ゴムマリ君いないね。一応用意してあげたのに。まあいいや親衛隊の詰め所とかも見るかい?資料館とかもあるよ」
「ワン!」
好奇心旺盛な神様が吠えた。

ウシワカとアマテラスは存分に神殿を探検し、また奥の間に戻ってきた。なにやら話している。
「フフフ…でも、この建物にはすごい欠陥があってね。実は…」
ウシワカは御簾を上げる。

「あァ!アマ公!」
すると、謁見の間にいたイッスンの声が聞こえた。
「ワン!!」
アマテラスが駆け寄る。ようやく会えた。

「…こうやって、謁見の間を横切らないと奥向きから外に出られないんだよ。だから皆、神殿の外に住むようになってしまったってわけ」
再会に跳ねる二匹を余所にウシワカはアハハ、と笑った。

「ん?ウシワカでおじゃるか?何処にいっておったのでおじゃる」
ヒミコが祭壇から声をかける。
「ヒミコ、ソーリィ、ちょっと例の塔に行ってきた。おや、ゴムマリ君生きてたのかい?アハハ!」
ウシワカが下座にいるイッスンをからかった。
「おめぇ、アマ公に余計なことしなかったろうなァ!?」
「余計って何だい?フフフ…ミーはただ、アマテラス君と…いや、よそう…」
「何がよそう!だ!ヒミコ姉に会わなかったらマジで迷うトコだったんだぜィ」

どうやらイッスンはヒミコと世間話をしていたらしい。

イッスンがプオーっと怒る。
ソレを無視して、ウシワカはヒミコに話しかけた。
「ねえヒミコ、この建物そろそろ直そうか?せめて親衛隊の詰め所だけでも、門とか作ってみてもいいんじゃないかなぁ?」

「妾は別にこのままでも良いと思うのでおじゃる。ふふふ、ココを通る度に恐縮する皆には申し訳ないのでおじゃるが。…くれぐれも、ほどほどにの?」

楽しげなウシワカにヒミコは一応言っておいた。
こと建築に関しては何かおかしな趣味とこだわりを持つこの男は、時々常人にはよく分からない変更を神殿に加えている。
いつも自分に一応聞いてくるが、もうどうするかは決めているのだろう。
ヒミコは彼が都に来たせいで施された歴代の変更を思い、口元を覆った。
あるいは、住む者に合わせているのやもしれぬが…歴代の王達にとっては、こやつの気まぐれは多少の悩みの種であったのかもしれない。

「そうじゃ、塔の方は、まだ使えそうでおじゃったか?」
「イエス。問題ないよ。ああでも、裏の畑を何とかしないと…雑草ってストロングだねぇ」

イッスンがその言葉に反応した。
「塔って、何のことだィ…?ココにそんなモンあんのか?」
「アハハ!ユーには関係の無いことだよ。…まあ、そのうち分かるさ。さしずめミーからチルドレンへのちょっとしたプレゼント、と言ったところかなぁ?アハハ。ミーは忙しいから、消えるよ。シーユー!」
ウシワカはそう一息に言って、パッと消えた。

イッスンは首を傾げた。
「あいつ…、畑ェ、耕しに行ったのか?…それとも、まさか…門を直しに行ったとかァ?」
「くぅん…」
アマテラスは、めんどくさい奴…。
と言わんばかりに、ため息を一つこぼした。

ヒミコがくすくす笑っていた。

 〈おわり〉

 

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