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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■JACK+ ⑤ 契約 【オリジナル小説】【JACK+】【ブレイクダンス】

続きです。結局出てないAのダンスはもうKRUMP(クランプ)と言う事でお願いします。
JACK+シリーズはブレイクバトルと、KRUMPセッションがメインの話って事で。
そのうちリベンジで、他のダンスも勉強して書きたい。

あとそろそろ挿絵も描きたいです…。【本文字数 2398文字】

20160110162235

 

 

JACK+ ⑤ 契約



速水は、自分がちょっと変だと自覚していた。

スタジオで踊った途端、外に出たいと言って暴れたのとか、かなり馬鹿だと思う。
が、あの時は自分の中の激しい感情に引きずられてしまったのだ。

何かにつけて、のめり込みやすい性質なのかも知れない。
と言うか、まんまソレだ。

「そんな事、ある訳無い!!!」
速水は叫んだ。周囲が静まる。速水の背後にはガスマスク。

「―、お前」
レオンが何かを口走った。速水以外はテーブルに着いている。
「ふざけるなよ、貴様ら!!」
速水はガスマスクに掴みかかった。しかし、あっと言う間にはじき飛ばされた。
「ハヤミ!」
サラが叫ぶ。が、彼女はガスマスクに肩を掴まれた。

朝、カフェテリアにガスマスクがゾロゾロと入って来て、何かを言い出した。
『ウルフレッド・ミラーの報告により、スート『ダイヤ』の重大な事態が判明した!!』

それによると、運営のサラが速水と――肉体関係を持ったと言うのだ。

その日の朝、速水を起こしに来たのはガスマスクだった。
そして一室で彼は、「短い間だったけど、お勉強は楽しかった?」など色々。ナイフを持ったゲテモノに絡まれた。
そしてこのナイフはあげるわと言われたが、速水は当然いらないと吐き捨てた。

その後、皆が集まるカフェテリアへ連れて来られた。正面にはサラがいた。
彼女はスーツ姿だが、仮面を付けていないし、髪も結っていない――。

「…とにかく、そんな事実はない!」
速水は歯がみしながら、起き上がり、サラの名誉の為にとそれだけは言った。

「あら、そうなのかしら?昨日も手ぐらい握ったでしょ?」
告発者は笑っていた。
「アンタがどう思おうと。無いものは無い」
速水はゲテモノを睨んだ。
怒りよりも、苛立ちの方が大きい。そしてそれ以上のあきらめ、溜息。

ネットワーク…!何が世界平和だ!!
速水は大声で叫んだ。

サラは更迭され、本部とやらで再教育を受ける事になる――。
そしてここの運営の大半が入れ替えになる、ガスマスクの一人が大きな声でそう言った。

「あなたたち四人には、ちょっと移動して貰うから」
ニコニコ笑って、そう言われた。

「え、ちょっと?何」「何だよ!ベスに―」
ガスマスクが、ベスを取り囲み、ノアがベスをかばい、そしてあっと言う間に拘束される。速水とレオンも同じ。

速水が目隠しをされる一瞬前。
レオンは「ハヤミ、お前なぁ…」という顔をしていた。


■ ■ ■


「本当にサラとは、何も無かったのか?」

目隠しをされたが、耳も、口も自由だ。手錠は体の後ろ。

多分、ここは車の後部座席だ。そこでレオンが聞いて来た。
ちなみにノアとベスは別の車だ。
「無い」
きっぱりと速水は言った。無いものは無い。
この後に及んで、…他に言うことは無いのかと少し苛ついた。

確かに手は握られたが、ゲテモノはそれを偶然言い当てたが――サラとはそんな感じじゃなかった。
当然速水には『十五分足らずでやったとか、勘弁してくれ!』と言う思いもある。
サラと自分の名誉の為に言わなかったが。

「そりゃ、だって十五分とか早すぎ―、ごっ」
速水は勘でレオンに頭突きした。当たったらしい。
速水はふん、とそっぽを向いた。頭突きしたので頭が痛い。お互いに見えないが。

「~~っ!お前なぁ…っ!この、何か知ってたなら言えよ!!」
レオンは速水にいい加減怒っていたらしい。悪態を付いていたが速水は無視した。

…そうとも、速水は閉じた世界にいたかった。

だが、世界は閉じてはいない――。

「だいたいお前はいつもいつも―!!」
世界は閉じていない。そんな事は分かってる!
―だけど、ああもう五月蠅い!
「レオン、黙ってろ!」

…おそらくこれから、あの『スクール』でファミリー達と過ごした時間が、きっと不利に働くのだろう。
と言っても、速水が話したのは絵札以外ではアメリアとキャシーくらいだったが――それは彼があえてそうしていたのだ。
彼は、すぐにあのおかしな場所から出たいと思っていたし、そんな中で、ファミリーとあまり関わりを作るのはマズイと思っていた。

…あの中で恋人とか、知り合い作るとか、正気じゃ無い。

でもノアとベスは多分別だ。彼等は本当に真剣なのだろう…。
彼は、すでに引きずられている自分を自覚していた。

昔から、速水は何かにつけ他人に依存しやすい。そんな自分を良く知っている。
母や祖母、そして最近では一年前、ジャックが死んだ時に…一人泣き叫び、コレじゃ身が持たないと心の底から後悔したのだ。

彼は舌打ちし、…だからイヤなんだ、と日本語で小さく呟いた。

その後速水はさらに怒ったレオンが何を言っても無視し続けたので、やがて車内は静かになった。
小一時間ほどで車が停まり、『出ろ』とガスマスクに言われ、二人は下ろされた。

市街なのか、周囲でカラスがうるさく鳴いている。
ノアとベスもいるのだろうか?…二人の話し声が聞こえる。
どうやら居るらしい。

促されるまま、多分エレベーターに乗せられた。

ある部屋に速水は入れられ、そこで目隠しと手錠を外された。
目を細め周囲を見ると、レオンはいない。
牢獄のように小さい白い部屋の真ん中に、蛍光灯に照らされた簡素な白い机と椅子がある。
ガスマスクに座れと言われた。

そして、一枚の紙切れが置かれた。
ガスマスクが『お前の契約書だ』と言った。読めと言うことらしい。
速水は、さほど多くない文字に目を通した。

「餌か…」
速水は唸り、レオンの言葉を思い出す。

これは確かに、立派な餌だ。
…どう考えても、自作自演だが。

『ダンスの特別報酬―ジャック殺害の犯人』
契約書には、そう書かれていた。


〈おわり〉

 

 

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