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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■JACK+ 番外編 怪談 ② 【JACK+】【番外編】 

続いてしまった番外編。速水さんに友達がいない本当の理由…。近々隼人と出会って、お兄ちゃん子は卒業です。
お兄ちゃんはショックでちょっとまともになります。
※本編で既出な速水の設定ネタバレしてます。

作中時期はアンダー後期、速水さん復活後です。その辺りのネタバレ気にしない方はどうぞ。

■JACK+ ⑧ ノア④ 【オリジナル小説】【JACK+】【ブレイクダンス】 - 絵、時々文章なブログ

↑話としてはこれの後です。

※JACK+本編の設定とは関係ありません。この番外編だけな感じです。
パラレルなので別に本編の速水さんに霊感は無いと思います。

今回の怪談はノアと日本語で話してます。
※なんちゃって怪談です。実際の出来事とは関係ありません。

 【本文字数 4910文字】

20160131154223

 

 

JACK+ 怪談 ②

 

何だ、ノア、また聞きたいのか?
…って言っても、俺もそんなに――。あ、そうだ。あの話をしよう。


「なんだやっぱりあるんだ」って、まあ、あるけど…。
じゃあ…ホットチョコレート作ってやるから、飲みながら聞けばいい。
こら、ベッドの上で跳ねるな。ちょっと待ってろ。

…アンダーでもチョコレートだけは相変わらずあるよな。

少し熱いから気を付けろ。

ん?いや。俺は別に霊感無いし、幽霊は見えない。


…だから油断してたって言うのはあるかもしれない。

これは俺がまだ小学四年生の時の話だ。

俺は当時ダンススクールに通ってて、あまり遅くなるのはいけないんだけど、その日は発表会が近くて。ちょっと練習に熱が入りすぎて遅くなった。

それ自体は別に良い。家から迎えを呼べば良いことだし…。
まあ、実は俺はいつも一人で勝手に帰ってたけど。

けど一応、ボーダーラインって言うのがあって、小学生だし…七時を過ぎたら、『佐藤さん』を呼べって言われてた。

佐藤さんって言うのは本家の執事?みたいな人で、分かりやすく言うと運転手?
母さんが死んだ後は色々俺の、出かける時とか、病院行くときの送り迎えとかをしてくれた人だ。

俺はいつもレッスンの前に菓子パンとか、おにぎりとか、そういう物を食べてたけど、さすがに腹も減ってきた。
先生もそろそろお家の人を呼んで帰れって言った――。


「…?なんか、お腹空いたかも」
俺は首を傾げた。部屋の時計を見たら八時を十五分過ぎていた。

がちゃ、と扉が開いた。玉川先生だ。
「あー、やっぱりまだいた。速水君、もうこんな時間だよ、そろそろお迎えの人を呼んだら?」
「あ。はい。じゃあ帰ります」

そして、一階に降りて、いつものよう携帯で電話を掛けた。
「あ、佐藤さん?…はい、待ってます」
『明日は発表会の練習で遅くなります。八時ごろです』って昨日メールで伝えてあったし、問題は無かった。

―ん?ああ、携帯って言っても、子供用の連絡先の少ないやつ。日本じゃ良くある。
家と、佐藤さんと、兄貴と、病院。それぐらいしかかけられない。
…正直、公衆電話の方が役に立つ。

「じゃあ、先生」「ああ、またね。気を付けて帰るんだよ」
俺はそう言って、迎えの車を待つために道路に出た。
ここから家までは車で五分もかからない。今日もすぐに来るはず…。

けど、十分経っても迎えは来ない。

俺は不思議に思って、電話したけど話し中だった。
佐藤さんまた事故ったかな?思ってメール送って。
すぐに電話が掛かって来た。
『すみません、出雲さんが代わりに迎えに行くそうです。車取られました』

どうやら兄貴が現れて、佐藤さんの車をぶんどってしまったらしい…。

――なんだ、だったら勝手に帰ろう。迎えが来ないうちに。

兄の運転と聞いて、まだ死にたくない俺は決断した。

『歩いて帰る。コンビニでも寄って何か買って来たら?アイス食べたい』
兄貴に短いメールを送って、俺は歩き出した。

…夏だし、大丈夫だろ。歩いても十分くらいだし。


多分、それが間違いだったんだ。

■ ■ ■

八時台だけど、人通りはそれなりに多い。
なんだ、別に危険って事も無い…。


からんからんからんカラン…。

遮断機の下りた踏切で、俺は立ち止まった。
電車が通過する。

…踏切の音を聞きながら、俺はあー、そう言えばこの前もここで事故あったよな、って思った。

そこは近所で有名な、危ない踏切だった。
と、言っても遮断機が上がるまで待って渡れば、もちろん普通の踏切だ。
俺はそこを難なく渡った。

そして俺は、そのまましばらく街を歩き、住宅街へ出た。
街頭の下を選んで歩く。
途中、用水路に掛かった橋を渡る。

俺は橋を渡りながら、あー。そういや去年ここで子供が溺れたな、って思った。
そこは夏休みの前に、必ず先生があそこで遊ぶなって言う場所だった。

べつに降りなきゃ良い。俺はそこも通り過ぎた。


家の近くまで来た。
良かった、兄貴には会わなかった。これなら無事に家に着く――。

「……、」
と思った俺は、立ち止まった。

…だれか、ついてきている。

振り返ったら、少し離れたところ、電柱の下に立ち止まってる女の人がいた。
たまたま方向が一緒だったんだろう。

何でずっと立ち止まってるのかは知らない。
俺はまた歩き出した。

そこに、音楽をかけた騒がしい車が停まった。
「朔!ミーっけ!」
窓があいて、兄貴が顔を出した。
もちろんタバコは標準装備。
…えっと、兄貴は…当時、あれ?二十過ぎだったか…?まあ、今は過ぎてるよな。
暗いのにサングラスだし…だからよく事故も起こすんだ。

その当時、兄貴は赤色のモヒカンだったな。

ん?ノア、どうしたむせこんで。
…大丈夫か?

ああ。俺の兄貴は、ちょっと変なんだ。
ちょうどあの頃はグレてて――今も大して変わらないかな?

「あっ、お兄ちゃん!」
俺は駆け寄って笑った。


…吹き出しつつ微妙な顔で笑うな。だって小四だし。

「アイス買った?」
「買った買った!乗れよ」

「うん!…、……いや、やっぱ近いし歩く。近所迷惑だから音は下げてよ。めいわく!恥ずかしい!」
俺は思い直して断った。
「そうか?朔が言うなら。そうなんだろな。あ、ポテチも買ったから後で食おうぜー」
「サンキュー」
俺は喜んだ。

兄貴はボリュームを下げて、車は凄い速さで角を曲がって行った。
バリバリバリ!と、塀にこすった音がした。
「あ…」

親父がまたキレるな。佐藤さんゴメン。将来はちゃんと安全な運転を身に付けよう…。
俺はそう思いながら、また歩き出した。

「ばあちゃん。ただいま戻りました。お腹空いた…」
「おかえり、朔」
ばあちゃんが出迎えた。
「出雲はもう食べてるよ」「ランドセル置いて来る」

当時、俺の部屋は六畳くらいの和室で…ノアは畳って分かるか?―、ああ、その上にブルーの絨毯を敷いて、勉強机と、ベッド、本棚が置いてある。和洋折衷な感じだ。

俺はその部屋にランドセル…カバンを置いて、また戻って、兄貴、俺、ばあちゃんの三人で夕飯を食べた。

兄貴はたまに俺とばあちゃんが住んでた別邸に遊びに来てた。
親父は年に二回くらい?

…親父とばあちゃんは仲が良くなかったんだ。

だから盆正月は俺が一人で本家に行ってた。ばあちゃんは留守番。
いつも兄貴と親父の修羅場になる…。
俺は茶室に待避。…盆正月だけは、いつも厳しいお祖父さんが優しかったな…。

…親父の性格…?それはどうでもいい。

俺は二階の自分の部屋で宿題をしながら、二ヶ月ぶりくらいに兄貴と色々話した。
兄貴は倒したいチームがあるので、夜中にまた出かけるって言ってた。

俺は、親父とお祖父さんは相変わらず五月蠅い?とか聞いて。
兄貴に、今何勉強してる?とか、ダンスはどうだ?とかそんなたわいも無い事を聞かれた。

「…家継がないの?」
俺はずっと気になってた事を聞いた。
「朔に任せた!俺は走るよー!ぶーんってな!」

…兄貴は誰がどう見ても、時期家元としての道を外れている。
兄貴にも真面目な所はあるんだけど、親父は分かって無いから…。喧嘩ばかりだった。
「え。いや…俺、出来ればダンサーになりたいんだけど…」
「めんごっぴ!」
…俺は兄貴を蹴飛ばした。次それ言ったら殺す。

「死ねよ?」
兄貴がちょっとショックを受けた。俺はちょっと言い過ぎたと思った。
「……ごめん嘘。人は轢かないように」
「おう!……、ん?朔はそろそろ寝るか?」
ふぁ、とあくびをする俺を見て兄貴が言った。そう言えば、ダンスで疲れていた。
「うん…玄関の鍵は閉めて行って…」「ああ、おやすみ」


兄貴が来ただけの、何の変哲も無い一日だった。
俺は風呂に入って眠った。

■ ■ ■


かたん。

夜中…、俺は物音で薄目を開けた。
兄貴が出て行った?と思った。

…すい……、すい…、

俺はばっと、薄い布団を跳ねた。

何だ?と思って辺りを見回した。
「すい…、…い…たい」

人の声がする。

しかも、押し入れの奥から。

――どうしよう。
俺は冷や汗をかいた。

いや、もしかしたら…いつもの幻聴かもしれない。
俺はそう思って、ちょっと迷った末に、押し入れを開けることにした。
押し入れは上の段に予備の布団とか、下の段は物置になってる。
人が入るスペースは…俺はベッドだけど、兄貴に予備の布団を貸したので、上の段なら…少しはあるかもしれない。


「…い…い…」

女性の声。
どうしよう。俺は迷った。
泥棒かもしれないが、ちょっと違う気もする。
「とん、すい…、すい…い」

その声はとても小さくて…あまり聞き取れなかった。
――これ、やばいやつだ。
押し入れに手を掛けようとするけど、怖くて出来ない。
俺は震えながら部屋を出た。

「ば、ばあちゃん…」
兄貴はもういなかったので、ばあちゃんに助けを求めた。
「朔?」
「押し入れに、すいすい言う、女の人がいる…!ばあちゃん見て来て!」
俺は半泣きで言った。今思うと…結構、無茶振りだったな。

「すい?」
ばあちゃんは首を傾げて、立ち上がった。

「分かった、朔はここで待ってなさい。退治してきたる」
ばあちゃんは頼もしかった。
「うん…」
俺は自分が情けなくなった。
気のせいかもしれないじゃないか…。小四にもなって…。
いや、でもハッキリ声は聞いたし、何なんだ…。やっぱり幻聴か…?

しばらく震えてたけど、…やっぱりばあちゃんが心配だと思って…俺は部屋を出た。
暗い廊下を辺りを見ながら歩いて、階段を上がる。

「朔」
「うぁあ!!」
上がった所でばあちゃんに出くわして、俺は飛び上がった。

「びっくりした!!」
危うく階段から落ちるとこだった。
「ああ、ごめんよ。押し入れを開けたけど、居なかったよ」
ばあちゃんはそう言った。
「…ほんと?ちょっと来てよ」
俺はばあちゃんを連れて、自分の部屋に戻った。

押し入れはあいてて、確かに何も居なかった。
「いない…。なんだろ、またビョーキかな…ばあちゃんには聞こえた?」

「こっとんすい」
ばあちゃんはそう言った。

「は?コットン水?」
「多分、朔が聞いたのはこっとんすいの鳴き声だね」
「―――」
ばあちゃん、変な事を言わないでくれ。俺はそう思った。
俺、ここで寝るんだけど?なにそれ妖怪?

「押し入れで鳴くのはそれだよ。昔、開けたら居た事があった。今日は居なかったから、大丈夫だろう。大丈夫、大丈夫」
ばあちゃんが笑って俺の頭を撫でた。
「…」
全然大丈夫じゃ無い。
俺、今日も明日も明後日も、この部屋で寝るんだけど。

ばあちゃんはもう終わった、と言わんばかりに下へ降りていこうとする。
薄情なと俺は思った。
「…ばあちゃん、今日、そっちで寝ても良い?」
もう小四だけど、さすがに無理だ。俺はそう思ってばあちゃんに言った。
って、ばあちゃんもう居ない。階段を下りる音がした。
…俺はあきらめた。

ばあちゃんが良いって言っていったなら、大丈夫だろう。
出てきたら五月蠅いって逆ギレすればいい…。

その夜は気合いと根性で眠った。
何も無かった。
…あれは…やっぱり幻聴だったんだろうか。

俺は次の日、ネットで調べたけど…こっとんすいは何か分からなかった。
佐藤さんにこっとんすいってしってる?って聞いたら、さあ、知らないですね。
ああ肉吸いってのは聞いた事ありますよ、って言われた。

美しい女性の姿をして、夜遅く、提灯を灯して歩く人に食らいつく妖怪。

「ふーん…。あの、今日もお迎え…お願いします…」
俺は色々な事を考えて、全部気のせいにした。
あの人どうして、あそこでずっと立ち止まってたんだろうとか。
提灯持ってたらやばかった?とか。

…とりあえず、ノアも夜道は気を付けろよ。

〈おわり〉

 

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