読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■JACK+ ⑨ 地上(後編) 【オリジナル小説】【JACK+】【メンヘラ】

 頑張って速水さんを上げた甲斐があったなと思ってます。次回はおまけです。

とりあえず今日はここまでです。

【本文字数 1814文字】

20160202225802

 

 

JACK+ ⑨ 地上(後編)



速水朔は、どこかで、ネットワークがまともだと思っていた。


世界平和を掲げていたから。
しかも、ダンスで。

出来る訳無いと思いながら、その力を目の当たりにするにつれ、出来るかも知れない。
これはこれで、放っておいても――。などと思っていたのだ。
洗脳だ。
あいつ等はジャックを殺した。ベスを殺した。

三人の中で、一番早く立ち上がったのはノアだった。

「…俺、行くから」
彼はそう言った。

「行くって…どこへ」
そう聞いたのはレオンだった。

速水は今更だが泣いていた。

「分からない…。けど、エリーにはいつか会いに行く」
それは残されたもう一人のベスの事だった。

「…死ぬなよ。連絡先…」
レオンはペンを持っていなかった。百ドル紙幣に血文字でつらつらと書く。
札束は分厚いので書きやすい。
それをそのままノアに渡した。いらない、あるから。と言われ一枚以外が帰って来た。

レオンはそうか…といって緩慢な動作で受け取る。

「レオン、速水を頼む。――死なせるな」
まるで速水が憎い物のように、ノアが言う。涙をこらえているだけかも知れない。
「ああ」


ノアは振り向かずに去って行った。
■ ■ ■

「レオン…なんでこうなったんだ?」

速水は呟いた。

それが契約なんて、初めて聞いた。

「お前、今、正気か?」
レオンが言った。
「――」
心底、腹が立った。
コイツは、俺を異常者扱いしている。

「俺だって!いつもおかしいわけじゃ無い!!馬鹿にするな!!」
―ああ、ベス、ベス…!!何で死んだんだ…っ。
叫んだ瞬間、その思いが押し寄せて、また涙があふれる。

けれど蔑まれるのが嫌で、無理矢理、口を押さえ嗚咽を堪えた。

「…言え!早くっ!!」
速水はレオンを見上げた。
レオンは立って、速水を見下ろしていた。

「……ハー…」
レオンは長い吐息の後に、小さな舌打ちし、タイヤもガラスも無い車に腰掛ける。

「…俺は、はじめ、誰か殺して出れば良いと思ってた。俺はクランプと出会うまでは、そういう生活で、教育だったしな…。けど、ジャックに会って、ノアとベスを知って。それは馬鹿だって気が付いた」
レオンは、額を押さえる。

「…地下で、お前が、自分の契約書を見せた時から…俺たちは、ずっと誰が死ぬかでもめてたんだ…」
肩を震わせる。

速水が、ふらりと立ち上がった。
今度は速水がレオンを見下ろす。

…ああ、そう言えば、そんな感じだったな。
思い当たる節を思い出す前に、速水はそう思った。

「いや…。スクールにいた時に、お前が初めて起きた時に…俺は――俺たちは、お前が多分何も知らないって、分かってたんだ…!」
「何で言わなかった…?」
速水は言った。もっと早く分かっていれば。

「俺はお前に全部任せて、俺が死ぬ気だった。それで良いって」
レオンは無視し、一人で語っている。
「何で!!言わなかったんだ!!」

その瞬間、速水は殴られた。
「馬鹿野郎!!言えるかよ!!」
レオンが叫んだ。
殴った力は弱く、速水は倒れる程では無かったが、痛い。

速水は頰を触った。
――ベスはもっと痛かっただろう。
…ありきたりな自分の思考に、憤りを通り越しめまいがした。

「ベスは…何て言ってた?さいご、何か…?言ったのか」
自分が泣きながら、ははっ、と笑っている気がする。

「…潔い最後だった」

『ノア、私の家族によろしくね』
そう言って。
一瞬の出来事だった。レオンがノアを止めようとノアの銃を弾いた時には、もうその言葉が被さり、銃声が聞こえた。

これは和訳だ。

英語なら―。


私の家族に、ただいまって伝えて。


「―ぁああ、ぁあああ!!!!」
速水は膝を付いた。

今ほど英語が分からなければ良かった、と思った事は無い。

「彼女は、いさぎよかった…っ」
レオンが泣きながら、悔しそうに言う。


――ベス。

クイーン…。

皆が、騙される訳だ。
速水は、間違い無く…本気だったのだから。

…口が裂けても言わないが。


「レオン…。今から…始めよう」
速水は言った。
そして立ち上がる。

…多分、この世界は、平和にはならない。
俺が平和の為の組織を潰すから。

それでいいんだろ、ジャック。

「仲間の所へ、案内してくれ…」


〈おわり〉

 

広告を非表示にする