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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■JACK+ ⑨ 地上 おまけ 速水の犬 【オリジナル小説】【JACK+】

地上(後編)のおまけです。
この二人の関係に決着がついたようで何より。動物って可愛いですよね。
あと一人でどっか行ったノアは色々やらかします。飛行機乗れるのかなー。買い物とか…。

そろそろラストの執筆を気合い入れて頑張りたいので、次回の本編更新は二月十日ごろの予定です。日記記事とかは書くと思います。

 

【本文字数 2388文字】

20160113220549

 

 

JACK+ ⑨ 地上 おまけ 速水の犬

 

 

ネットワークはその名の通り、本部の機能を持つ場所を無数に存在させている。
必要な人員がその都度ジョーカーに呼び出され、その国で奉仕する。

ここはNYの、そんな本部の一つ。
今このビルにいるのは、丸ごと、ジョーカーに呼び出された運営達だ。

そして、地上二十五階――。

ウルフレッド・ミラーはオフィスでくつろいでいた。

ウルフレッドは最近ようやく、かねてからの大仕事が一つ終えた所だ。
そしてそうなれば、当然、昨日も今日も明日も暇だ。
彼は珈琲を飲み、鼻歌を歌いながら、ナイフと鞭の手入れをしていた。

ウルフレッドは、最近あった事を考える。
――もう二週間経つのかしら。あの子達が外へ出て。
元気でやってるかしら?
せせら笑う。

…かつて、ジョーカーは自分の息子をとあるスクールに預けた。
その息子は、ジョーカーが心底崇拝していた女性の子供、らしい。

彼は『俺は近づく事すら出来ない―俺が近づいたら彼女の子供が汚れてしまう―、だから教会に、莫大な寄付金と共に預けた』と言っていた。

世界の平和の為に。

…彼女の為の間違いじゃ無いかしら。
ウルフレッドはそう思った。

ウルフレッドから見たら、つまらない女だったが、ジョーカーにとっては違ったのだろう。

ジョーカーはその子供を、ダンサーにすると決めたらしい。
理由は単純。過去の自分の夢を実現させて欲しい、そう言う事だ。

出る時の契約は?と聞いたら。
『彼女の子供はそんな所で死なない』…そう言っていた。

そしてウルフレッドは、そのスクールに赴任する事になった。
めんどくさい、と文句を言ったが、世界の平和の為と言われたら、しっぽを振るしか無い。

ウルフレッドは心底ジョーカーを飼い主と認めていたし、ジョーカーもそのつもりだろう。
家畜として生きてきた彼には、ソレが心地よいのだ。

――家畜というのは、要するに傭兵と言うことで、ウルフレッドは世界平和の為に人を殺しまくった過去を持つ。
フランス外人部隊、中東、アジア、アメリカ。勲章も貰ったが、そんな物はゴミだ。
友情、仲間、そんな物は、生きるか死ぬかでは意味を成さない。

犬、犬で良い。犬でありたい。

それが幸せ。

世界が平和になったら、もっと幸せ。

ダンスで、出来るの?まあ、凄い。

彼の思考は限りなくシンプルだった。

ハヤミ――サク?ああ。ジャック?
ノアを見守る成り行き中で出会った、やっかい者だ。
ジョーカーが直々に、コイツをノアの居るスクールに入れろと言ってきた。

踊っている動画を見せられた。ブレイクダンスの大会らしい。
…これは、駄目ね。
ウルフレッドには一目で分かった。

速水はまちがいなく、イかれた部類の人間だ。
大勢の観客は誰も気が付いていないが、ウルフレッドには分かった。

しかし、己の主人たるジョーカーだけは気が付いていて、ウルフッレッドは満足だった。

欲しいのは、適当な答えじゃないのよ。
欲しいのは、世界平和と。


「――?」
世界平和と――?…しまった!!

■ ■ ■



とある、地下。

―。

「お前、再教育が必要だな?」
ジャックは笑った。

―。

「大丈夫、そのうち楽にしてやる。エリックは、お前が犬みたいで気持ち悪いって言った。…大当たりか。感謝しないとな?」
ジャックは笑った。




…欲しいのは世界平和と、――強い主人。

■ ■ ■


「ふー…」
速水は地下の一室を出て、一階に上がり溜息を付いた。
慣れないことはするものじゃ無い。

「…、…」
レオンが、そんな速水を遠巻きに見る。…まるで悪魔でも見る様な顔つきだった。

ここはレオンのホームの一階ロビーで、レオンの怖そうな仲間達が数名いる。
が、皆、無言だ。

「ハヤミ、お前、…」
その中で唯一、レオンが恐る恐る、速水に話かける。
「もうジャックでいい。じゃなきゃやってられない」
速水は言った。
帽子を外す。結局徹夜だ。

…あまり見てて気持ちのいい物では無い。

「あいつ、もうあっさり寝返った。腕も立つし、これから対ネットワーク防御は全部任せれば良いな。…レオン、昼何にする?適当でいいか?」

速水は…見た目は全く普通の少年…いや、幼い青年なのだ。
だが、その『手口』と来たら。

「…サドウのイエモトって、ギャングなのか?」
今は銃も暴力を捨てクランプを愛する、レオンの仲間の一人がそう言うくらいだ。
しかも、本人には言えず、仲間にぽろっと漏らすだけ。

速水は、何をしたのか――。

速水にしてみたら…ただ単純に、仲間と一緒に、捕まえたガスマスクになりすまし、緩みきったザル警備をかいくぐり、ビルを水面下で必要な部分のみ気づかれずに制圧。目的のウルフレッドを眠らせて。袋に入れて連れ去って、そのまま地下でがんじがらめに拘束して監禁。そしてちょっと適当に作ってもらった薬で「再教育」。
…さあ、エリックに感謝しよう。

限りなくシンプルだ。
このシンプルな計画は、実行する気になるかが一番の問題だが…。
幸い速水には金があったし、ナイフも銃も一応使えた。格闘はそこそこ。

そもそも速水にナイフその他を教えたのはウルフレッドだし、自業自得かもしれない。
ウルフレッドにとって得なのは、新しく強い飼い主が見つかったと言う点だ。

そして速水は今、レオンの目の前で、何事も無かったかのように食事をしている。
「やっぱり、和食が一番だな」
とか何とか言いながら、嬉しげに味噌汁を飲む。

「忘れてた…」
レオンは、速水を見て項垂れた。

…コイツはジャックだった。

〈おわり〉

 

結局、速水の可愛い飼い犬になったぜ!
ご主人様って呼んで、一生懐いてくれます。よかったね!

 

 

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