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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■大神とコナン ① 【クロスオーバー】【二次創作】

ゲームの大神と名探偵コナンのまさかのクロスオーバーです。クロスオーバーが苦手な方は回れ右。

 pixivからの転載。こんなのも書いてます。JACK+ラストの執筆に手間取ってるので、その間のつなぎに。良かったらどうぞ。ちょこちょこアップします。

ちなみに今、⑨話の人形村(中編)を頑張って執筆中。お待たせしてます…。

 

事件は適当。推理はカット。トリック?何ソレです。

コナ ンの録画見てたら受信しました。コナンの世界の片隅にひっそりとウシワカやアマテラスがお邪魔しています。特に何かをするわけでも無いです。えーと…お休 みを堪能してるくらい?
※名無しの登場人物にモデルはいません。超適当に考えました。実際の事件とかとも全く関係無いです。

 

あてんしょん!

初めてクロスオーバー書いたので何かが違うかもしれないです。
完全な思いつきなので色々雑です。
ナレーションはコナンが担当。

〈大神(おおかみ)って何?って人のために雑説明〉
PS2で発売してPS3でHDリマスターされてるゲーム。
主人公の白い狼「アマテラス」がナカツクニという日本っぽい国を冒険する。
アクションとモフモフとRPGがごっちゃになったような和ゲー。
実はアマテラスの正体は…「大神(おおかみ)」と呼ばれる神様なのだった!
プレイする前は犬しか出てこないと思ってましたが、そんなことはなかったよ。
美男も美女もたくさんいた…って感じのゲームです。

〈この話の雑筋〉
コナン達が温泉旅行に行った先で、当然のごとく殺人が起きる。
殺された人物の近くに花が落ちていて、それが生けられていた部屋の人達が容疑者になった。
(というやや金田一っぽい展開)

ウシワカ…大神の変人枠。イズヒア!
アマテラス…大神の狼。
ヒミコ…都(西安京)の女王。語尾はおじゃる。

※ウシワカはKIDさんみたいにゲスト効果でシリアス化。

※大神のラストの最重要ポイント?のネタバレしてます!
ヒントは『ロング』
ピンと来なかった大神未プレイとかプレイ途中の方はご注意下さい。


ちなみに私は園子が好きです。
彼女と結婚したいけど、京極さんを敵にする勇気はない。

オーケーバッチコイ!って方はどうぞ☆

 

【本文字数 9140文字】

 

大神とコナン ①

 


「きゃぁあああああーーーっ!!」

仲居の悲鳴が響き渡る。
「仲居さん!?」
「どうしたの!?」
たまたま近くを通りかかった蘭と園子が悲鳴の聞こえた部屋に入る。
もちろん俺も後に続いた。

「あ、ああ!お客様が!!」

バーン!

この部屋の客で、昨夜旅館の女将さんに絡んでいた名うての批評家が、頭から血を流して倒れていた…。

「また君たちか」
俺に指示をされた蘭の通報で駆け付けた目暮警部はため息を付いた。
蘭や園子は苦笑いをしてなぜか謝っている。
「おや、今日は毛利君はいないのか?」
警部が不思議そうにする。
「ええ。お父さんは沖野ヨーコさんのカウントダウンライブに招待されて、そちらに行ったんです」
蘭が答える。
「…今回の死神はこの子か」
警部は俺を見て何かぶつぶつとつぶやいた。
「後で、博士と哀ちゃんも来ます」
「そうか」

俺たちが、この温泉地の超老舗旅館に来たのは例のごとく園子のコネだった。
つい最近、この旅館のオーナーの知り合いが鈴木財閥と取引を初めて、それならば、とその人とも昔よしみだった女将さんのからの提案で、鈴木一家を招待したのだ。
…もちろん無償で。

ここの良い部屋の一泊は目が飛び出る価格だ。
反対に、庶民にとって少し贅沢ぐらいの価格の部屋もある。だが当然どちらも予約は一年先まで埋まっている。
来る者は拒まずだが、基本的に隠れ宿で、以前に泊まった誰かの紹介が無いと泊まれない。

部屋を開けるのも容易ではなかっただろうが…鈴木財閥の懇意になる方のメリットが大きい事を見越した行動だろう。
女将さんは紺色の着物に長い黒髪が似合うたおやかな和風美人だがなかなかのやり手のようだった。
過去に園子の家族は何人か泊まったことがあったらしいが…。

「タダよ!タダ!!」

と園子はやたらと興奮していた。
結果的には、鈴木一家で来られたのは園子一人だったが、女将さんは皆を心づくしで歓迎してくれた。
俺たちの泊まっている部屋が一番豪華な造りらしく、庭が付き、かなりの広さの露天風呂と総檜の内風呂が付いた、まさに別世界、と言った所だった。
年末を利用し、俺たちは旅行に来たというわけだ。

「お母さんも、皆も、どーしても来られなかったんだけど、ものすごく悔しがってたわよ!この旅館で年を越せるなんて!!信じられないわ!超ラッキーよ!!」

園子はそう言ってさらにコーフンしていた。
年末と言う事もあり、人数合わせは博士と灰原だけだ。
博士は何か用事があったらしく、三泊四日の行程の二日目、つまり今日の昼から合流する予定になっていた…。

昨晩、俺たちは旅館の女将さんの美貌にため息を付き、出された料理に驚愕し、露天風呂を堪能した。
居心地の良いロビーでくつろいでいると、なにやら言い争う声が聞こえてきた。
「だから、この旅館の事をワシに書かせろ!」
言い争っていたのは、今朝、自分の部屋で殺されていた批評家だった。

「しつこいのでおじゃります。妾はこの旅館を広めようとはつゆほど思っておじゃらぬ。話はそれだけでおじゃりましたか?勝手に書いても妾の手勢が握りつぶすのでおじゃるが…まあ、それも一興でおじゃるな、ふふふ。ああ、そうそう…お酒はいつものでよろしいのでおじゃりますか?」

女将さんはニコニコ笑い、軽くさばいている。
「ぐっ…お願いする」
…役者が違うな。あの女将さん、はかなげな外見とは裏腹に相当キモが座っていそうだ。
極めつけにあの可憐な笑顔では。
評論家はだからこそ女将さんの許可が欲しくて通い詰めている様だったが…。
この旅館に頻繁に泊まってお金は大丈夫なのだろうか?
俺は批評家が去った後に女将さんに話かけてみた。
「ねえ、女将さん」
「ふふふ。なんでおじゃる?」
女将さんは上品に微笑んだ…本当に美人だ。
「あの人、しょっちゅう来るの?こんな事言っては失礼かも知れないけど…そんなに裕福そうじゃないのに…」
「おや、なぜそなたはそう思うのでおじゃる?見かけは、なかなかのモノだと思うでおじゃるが…ふふふ」
女将さんも分かって居るのだろう。俺の答えを促すように悪戯っぽく微笑む。
「だって…」
俺は自分の推理を話した。
そんな感じで、昨夜は平穏に過ぎたのだった。しかし、今日の朝。
仲居さんの悲鳴にこの旅館の平穏はかき消された。

「容疑者は?」
目暮警部が佐藤刑事に聞く。
警部が来るまでに俺は、現場を調べ容疑者を特定していた。
そして俺は、いつも通りにさりげなく佐藤刑事と高木刑事に伝えておいた。
「はい。この三人と、あともう一人。いま高木刑事が起こしに行っています。…女将さんの知り合いだそうですが、相当寝起きが悪いとのことで…先に始めた方が良いとおっしゃっていました」
目暮警部が頷く。
「そうか、では先にお話を聞かせていただきましょう」
本館のロビーに居る容疑者の三人は、あつらえたように被害者の批評家の知り合いだった。

「あの男、ころされたんですか?…よかった、ぼくの執筆の邪魔がまた一つへった…」
そうブツブツつぶやくのは、今年有名な賞を受賞した顔色の悪い若い男の小説家だった。
駆け出しの時に作品を酷評されて以来、根に持っていると自分で語った。
怪奇小説を書いているだけあって…いかにも根暗な感じだ…。
スマートというよりは河童と言った方が近い。多少知的な感じのメガネをかけているが、それも気安め程度だった。
園子は、年末いつも小説家の彼がこの旅館に泊まるらしいと言ってはしゃいでいたが、さすがに実物がコレでかなりがっかりしていた。

「ほんと、これで枕を高くして眠れます」
そう同意した壮年の上品な感じの女性は、以前あの批評家の文章が元でイヤな思いをしたことがあるらしい。
「直接の原因とは言えないかも知れませんが、…いえ。やはり、あの男が娘の…自殺の原因なんです!」
そう肌身話さずに持っていると言う娘さんの写真を見て、忌々しそうに語った。
「詳しくお聞かせ願いますか」
目暮警部が言った。
「詳しくも何も、娘は…」

五年前に起きたその事件は俺も知っていた。

今回殺された批評家のお気に入りだったある作家がいた。ネットでその作家の批判をした彼女のサイトを批評家が自身のブログでさらしたのだ。その情報は直ぐに削除されたが、そのせいで、彼女はその作家の、一人の悪質なファンに嫌がらせをされる様になって…ということだったはずだ。
「あとでその、サイトという物を見せていただきましたが…そんなに、本当にそんなに酷い事は書いてなかったんです!あの批評家も表面上は謝罪はしていましたが…!悪いのは悪質な嫌がらせをした人と分かってはいるのですが…!」

数多の事件が起きる昨今では、こんあ悲劇もあっという間に日常という名の雑踏に呑まれてしまうのだ。
「そうでしたか…」
目暮警部が壮年の女性を気遣う。

「お義母さん…もう五年…、死んでしまった人がいる中で…こんな事言ってはいけないんだろうけど…きっと、事件を忘れても良いって言う、神様の思し召しよ」

そのおばさんを涙ぐみながら慰めているのは、おばさんの息子の嫁らしい。

おばさんと話したところ、二人は仲が良く、会社社長のおばさんの息子…つまり女性の夫がアメリカで暮らしているのにかこつけ、年末位は贅沢を、といつもここで過ごしているのだという。
彼女達が泊まっているのは、一泊五万ほどの大衆向けの部屋だった。
その人の会社は俺も知っている一流企業だった。園子も、蘭でさえ知っていた。

…それにしてはささやかだ。

聞くと、以前は夫の居る海外に遊びに行っていたのだが、娘が死んでしまってからは海外旅行という贅沢する気にもなれなかったらしく、見かねた会社社長がここの予約を毎年、年末に取っているのだという。
「そうね…、もういいかげん…明るくならないと」
早くに娘を亡くしてしまったおばさんは、嫁を本当の娘のようにかわいがっているようだった。

「警部、司法解剖の結果が出ました」
「ん、どうだった」
「それが…被害者の頭部には花活けで殴られた跡が有りましたが、毒殺のようです」

「!」
緊張が走る。
「使われたのは…」

毒殺か。
動機のある客、老舗の温泉旅館…、失血ではなく毒殺。それに、あの花は…?
そう言えば、あの時…?

「ワン!!」

緊張に包まれた広間に、突如鳴き声が響く。
犬!?
「わぁっ!」
その白い犬は俺に飛びかかって来た。俺は驚いて尻餅をついてしまった。
しっぽを振り、俺に懐いている。
鈴木次朗吉相談役のルパンと言い、もしかしたら俺は犬に好かれる体質なのかも知れない…。
「まあ、かわいい!」
「この旅館の犬かしら!真っ白ね!」
蘭と園子が反応する。
おばさんと娘も犬好きらしく、微笑んで近づいてきた。
タダ一人、小説家のメガネ男だけが犬嫌いなのか、驚愕に目を見開いていた。

「アマテラス君」

涼やかな声が聞こえた。飼い主か?
俺は大きな犬の影になってしまって、その人物がよく見えなかった。
アマテラス…?この犬の名前か?…イヤ!これ、よく見たら狼じゃねぇか!!
名前といい、狼を飼っていると言い…相当な変な飼い主だろう。
そんな事を考えていると、周りが息を呑む音がした。

「ソーリィ、ユー。アマテラス君、おいで」

その人物は、困ったように笑った。
呼ばれたアマテラスがワン!と嬉しそうに吠えて、その人の元に駆け寄る。
一瞬、女かと思った。とにかく髪が長いのだ。それをそのまま流している。
しかも、月のような金髪だった。…コレはおそらく地毛だろう。
ぱりっとした白い襟付きのシャツと、黒色で何の変哲も無い細身のスラックス、黒い靴を身につけている。シャツのボタンは上品に少し開けている。…カッコイイ…。

「ユー、アマテラス君の爪が引っかかったりしなかったかい?」

その人は髪が床に付くのもかまわずにしゃがみ、俺に聞いた。
俺は、とっさに反応出来なかった。別の世界の住人のような人物の登場に固まっていた。
間近で見ると…やっぱり、すげぇイケメンだ。この人。
先程英語混じりの言葉を使った所を見ると、海外のモデルか何かか?
女性の様な顔立ちで線も細いが、間違い無く男性だ。

「は、はい…!」
我に返った俺は慌てて言った。少し声が上ずった。

「イケメン…!!!」
園子が赤くなった。いや、おばさん、お嫁さん、そして、蘭まで。みなため息を付いている。…言葉が出ないのだ。こういう時の園子は凄い。
というか、俺も…。刑事達も。女将さんの出迎えを受けた時のように、立ちすくんでしまった。

返事をした俺を見て、その人はにっこり微笑み立ち上がった。
「なら、オーケー。アハハ。アマテラス君はユーを気に入ったみたいだ」
「ワン!」

「あ、あの!!陰陽師の、牛若さんですよね!!」
その時、メガネの小説家が興奮したように言った。
「イエス。ミーの事知っているのかい?」
「はい!もちろんです!お会い出来て光栄です!!アマテラス様にも!」

…アマテラス様?…陰陽師
この小説家は、一体何を言っているのだろう?
俺は、牛若さんに握手を求める小説家をうろんな目で見た。

「ああ、ユー分かるのか」
「はいっ!仲間内では有名です!この宿にたまにいらっしゃるって!ああ!ついにあなた方にお会い出来るなんて!!感無量ですっ」
小説家は、牛若さんだけで無く、狼に対しても頭を下げんばかりにしている。

「あ、あの…一応この方の取り調べを」
牛若さんの後ろに控えていた高木刑事が困ったように言った。
後で高木刑事に聞いたところ、彼は「女性が寝ているのかと思って、びっくりしたよ!」と、いつもの苦笑をしていた。

「あ、ゴホン。そうだな」
目暮警部が咳払いをして、ようやく話を聞きにかかった。

「遅れてソーリィ。ミーは寝起きが悪くてね。座ってもいいかい?」
「どうぞ」
目暮警部が言う。
その人はアマテラスと共にソファーに腰掛けた。
おそらく、コレはまだ眠たそうなアマテラスへの配慮だろう。この狼をとても大切にしているらしい。微笑んであくびをしたアマテラスの背を撫でる。
「コホン。えー、お名前は?」
…変わった人だな。
俺は思った。必ずという訳では無いが、普通、人は警察と対峙する時は立つ。
それは見下ろされる圧迫感を避けようとする心理からの行動だが、この人は気にしないようだ。
実際、旅館のロビーで皆、容疑者になった人達は立っているのに。今この状況でソレをしないと言うことは。
…先程の事といい、もしかしたらかなり、気さくな人なのかも知れない。
俺はこの人に好感を持った。

「ミーは牛若。この國では陰陽師をやってる」

…やはり少しうさんくさいが。

「牛若…、というのは」
「まあ、ペンネーム?芸名?」
「そうですか、では昨夜…」
アレ?
俺は首を傾げた。目暮警部は昨夜のアリバイについて話を聞いている。
しかし、警察の捜査では本名を名乗らせるべきだろう。警部がそんな事を怠るとは思えない…。他の刑事達も不思議に思ってはいないようだ。
コイツ、何者だ!?…って陰陽師か。

「ねぇ、小説家のお兄さん」
俺は隣で未だ感動している人に話し掛けた。
「なに?僕はいま忙しいんだ。あの方たちのすがたをこころの目にやきつけるのにね」
「…あー」
俺は少し呆れた。
「あの人って、もしかして、本物?」
俺は言った。正直、疑わしいとは思っていたが、話を聞き易くする為にそう言った。
「…!キミ、ちょっとこっちに!」
その小説家は、俺をロビーのすぐ外へと引っ張っていった。

「なに?お兄さん」

「…キミなら話してもいいかな。…あの人は、正真正銘の本物だ」
「…」
俺はポカンとした。あまりに真剣な様子だったのだ。
「僕、実はそこそこ見えるんだけど、その僕が言うんだから間違い無い」
小説家が真剣に、慎重に話した所によると…実は知る人ぞ知る、と言う隠れた人物らしい。
それに。
「ええっ!!神様!あの狼が?」
「シィ!!声が大きいよ!!キミ、あの隈取りと背負っている物が見えないのかい?」
言うに事欠いて。
「これ以上は詳しくは言えないんだけど。僕には、アマテラス様にあの女の子達みたいな事はとても出来ないよ…恐れ多くて。ああでもカワイイ!!」
警部達が何か相談する合間に、蘭と園子とおばさん達は牛若さんに話掛けたり、キャーキャー言いながらアマテラスを撫でたりしている。
ソレを男は悔しそうに見つめた。

…このメガネ河童、単なる犬好きか…。

俺は心の中で思った。

「おや、こんなところにいたのでおじゃるか。もうすぐお昼なのでおじゃります」
女将さんが話し掛けた。
「ヒ、卑弥呼様!光栄です!」
メガネはまた硬直した。

女将の計らいで、事件の関係者達は同じ広間で食事を取ることになった。
「犯人がいるかもしれねぇって言うのに…いいのかよ」
俺はぼやいた。
「ン?ああ。この中には今はいな…イテ!」
隣に座っていた牛若さんに聞かれてしまった。俺はぎくりとした。
「楽しみは最後まで取っておくものでおじゃる」
何か言おうとして牛若さんが蹴飛ばされた。…どうやらこの二人はかなり仲が良いようだ。
この中にいな?…居ないのか?信じそうになった俺は首を振る。
…まだ決めつけるのは早い。
「わう!」
反対の隣ではアマテラスが大量の料理を平らげている。
俺はテーブルの短い縁の方で、何故か一人と一匹に挟まれていた。
「ガキんちょの席が良かったなぁ」
斜め向かい、牛若さんの間接的な隣に座った園子が小声で言う。
女性陣で取り合いになるかと思いきや、皆ぼーっとしてしまって、園子が一人勝ったのだ。
「十分じゃない」
蘭は復活しつつあった。いつものように笑っている蘭を見て俺はほっとした。
…よかった。
おばさんとお嫁さん、下手したら給仕の仲居さんはまだぼーっとしている。
…アレ?一人少ないような。

「あ、事故で渋滞してる。…食事には間に合わないなぁ」
牛若さんが突然ぽつりと言った。園子は蟹に夢中で聞いていない。
「どうしたの?」
俺は意味が分からず、彼に聞いた。

「学者レディ達は遅れるみたいだ」

ヴー。
俺のケータイが鳴った。見ると灰原からの渋滞で遅れると言うメールだった。

…この人…!


■ ■ ■

「変わった人ね」

開口一番、灰原は牛若さんを見てそう言った。
彼女が初対面の人に対するのには珍しく、感心した口調だった。
容貌に少し驚いたのかも知れない。
「お待ちしておりましたのでおじゃる」
ロビーの向こうでは、女将さんに歓迎された博士が赤くなっている。…フサエさんに言いつけるぞ。
「ワウ!」
「あら?…かわいい!」
灰原はパタパタと寄ってきていたアマテラスに抱きついた。
「ワン!」
アマテラスはしっぽを振って目を細めている。
…この狼、と言うかまるきり犬だな、これは。…は相当に人なつっこい。
仮に、牛若さんが陰陽師だって言うのが本当だとしても、さすがに…この犬が…神様って言うのは嘘だろう。

「ふふふ、本当でおじゃるよ。名探偵殿」

「!?」
女将さんがすれ違いざまにささやいた。
…バケモンだらけか。この旅館…。
「あはは…は」
乾いた笑いを漏らす俺を尻目に、灰原があやしく微笑んだ。

「あと二日、さっさと事件を片づけて楽しみましょう。お手の物でしょう?工藤君」

…いや…俺らも人のこといえねぇか…。


結局、犯人は仲居の一人だった。

動機は自殺した女性の復讐だったが、この辺はもう割愛する。
悪戯心で、牛若さんを推理に使ってみようかと思ったが、麻酔銃の照準を合わせた途端にくるりと振り向かれ『オーッケー!!』という感じに両手を広げられたので無難な博士にお願いした。

「すべては起きるべくして起きたこと…妾、達には避けようがなかったのでおじゃる」
最後に女将の言ったその言葉が印象的だった。

まるで、全てをはじめから分かっていたかのような…。

 

■ ■ ■

その夜。俺たちは、トランプをしていた。ばば抜きだ。
「…牛若さん、弱いですね」
先に上がって見ていた園子が言った。
「うう」
牛若さんはさっきからババを引きまくっている。博士と一騎打ちだ。
「ワン!」
先に上がったアマテラスと灰原はお菓子をつまんでテレビを見ている。
アマテラス…このい、狼は。俺に勝って一位を取るとは、ただモノでは無い。
接戦の末、結局牛若さんは最下位になってしまった。
運が悪いのか。わざとなのか。俺は気にしない事にした。
万事が万事、うさんくさいし。

「あ、そろそろか」
今は浴衣姿の牛若さんが立ち上がった。
「え?もう戻るの?」
俺は聞いた。まだ早い時間だ。
「そうだ。折角だし。ユーも来るかい?」
皆は…大貧民で白熱している。
牛若さんが立ち上がったのに気がついたのは、俺と、灰原と、アマテラスだけだった。

そして俺たちは、なぜかあの母娘の部屋の前に来た。
そこで、あの小説家と出くわした。
「ユー…。まあいいか」
「ありがとうございます!」
牛若さんは苦笑した。

翌朝。
牛若さんは、いつの間にか居なくなっていた。アマテラスも。
「不思議な人だったね」
蘭は俺に言った。
「またどこかで、きっと会えるよ!」
俺は笑って、本心とは裏腹な事を言った。
…おそらく、もう俺たちの前には姿を見せないだろう。
あの、本物の陰陽師と、犬っぽい神様は。

「ラッキーなユー達に。余計なサービスってとこかなぁ?」
こういうのは専門外なんだけど、そう笑って言っていた。
…あの親子は泣いていた。

しかし、天照大神があんな、…のんきな狼で良いのだろうか?
そもそも天照って女性の…?いや男性説も…?あー!わかんねぇ!!

「工藤君、きっと良いのよ」
頭をかきむしって真面目に考える俺に、灰原が晴れ晴れと笑いかけた。
「…そうだな」
俺も笑った。もうすぐ旅館の出してくれたやたら高級な送迎タクシーが事務所へ着く。
旅館から、迎えに来られた時には驚いたっけ。
ソレがもう大分前の事のような気がするぜ…。
「お父さん、ちゃんとやってるかな。掃除しないと」
蘭がつぶやく。
まあ、無理だろうな。あのおっちゃんじゃあ…。
俺はいつもの苦笑をした。

博士と灰原の乗ったタクシーを見送って。
「さて」
俺は事務所の階段を…、登る。

いや。ここで、登るんだよ!

「ワンッ!!」

階段をバタバタ降りてきた、でかい犬に行く手を阻まれた。

そしてきっと、すぐまたあのうさんくさい声が聞こえるのだろう…。


〈おわり〉

 

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