絵、時々文章なブログ(姉)

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■JACK+ 【番外編】怪談 ⑤ 『雪降る山』②  【小説】【怖い話】

今、私の中で怪談がアツい(笑)

今回は怪談、通常版です。なので速水はショタ。
高校編もまた書きます。ちなみにユーディレッティはJACK+世界のレジェンドダンサーです。現実にはいません。

こちらの続きです。

sungen.hateblo.jp

カクヨム版。

JACK+ 怪談 高校編もあるかも(sungen) - カクヨム

 

【本文字数 3699文字】

20160131154223

 

JACK+【番外編】怪談 『雪降る山』②

 

――今から話すのは、あの雪山で本当にあった話だ。
ノアは怖がるかもしれないから、君だけに話そう。


■ ■ ■


「うぅ~限界だ…さむい」
ドサ、と兄貴がうつ伏せに倒れた。

「兄貴!寝るな!寝たら死ぬぞ!」
俺は駆け寄り兄貴の頰を叩いて叫んだ。
「出雲さんしっかり!」
隼人がだらりとした兄貴の腕を引きあげ、肩に担ぐ。

彷徨って、数時間。俺達は、まだこの雪山から抜け出せない…!
ビュービューと風が吹き荒れ、粉雪が舞い、視界はせいぜい10%
下っているハズだが、自信は無い。…ルートも外れてしまったようだ。
ちなみに地図は風でやぶれて飛ばされた。携帯は通じない。

――もうすぐ日が暮れる。

「やばい暗くなってきた、隼人…、どうしよう、――兄貴!しっかりしろ!」
さすがに俺も困った。
「――せめてこの風が無ければ…」
隼人も珍しく焦っていた。

と、左を見て動きを止めた。

少し登った所に、山小屋があった。

「―小屋だ」


■ ■ ■


俺達は、もちろんそこへ向かった。
…古い感じの、丸太小屋だ。造りはすごくしっかりしている。
明かりが付いている…!!人がいる?!

「ごめん下さい!」
隼人がドアを叩いた。チャイムは無い。

「どなたか居ますか!」
居るのは分かっている。だから隼人はそう言った。


「…はい?」
しばらくして、中から人が出て来た。細い感じの、長い黒髪のお姉さんだ。
ジーンズに、ベージュのセーター。その上に白い割烹着を着ている。

「良かった。すみません、道に迷ってしまって、少し休ませて頂けないでしょうか。…、いえ、出来れば、今日は泊めて貰えると助かるのですが。子供もいます」
「…」
子供の俺は大人しくしていた。
ここで帰れとは言われないだろう。…言われたらどうしよう。

「あら…!どうぞ上がって下さい。早く…」
良かった。俺はほっとした。
「助かります」
俺達は、靴を脱いで小屋に入った。小屋の真ん中には薪ストーブがあって、凄く暖かい。
小屋と言うよりは小さな家、という感じだ…。

「――クシュン!」
俺はクシャミをした。暖かい…。
「はぁ…」
「ほら、早くストーブに当たって」
「どうも…兄貴、生きてる?」「何とか…」

俺と兄貴は火に当たった。
「旅行に来たんですが…帰りに、突然吹雪いてきて…」
隼人は荷物を置きながら事情を説明している。

「ああ、この辺りは、結構寒の戻りが激しいんです…、ほら、貴方も暖まって下さい」
「そうですか…、どうも」

「寒かった…、ありがとうございます。急にすみません…」
俺はお礼を言った。いきなり男三人が泊まるとか…すごく迷惑だろう。
お姉さんは微笑んだ。
「いえ。今、すぐに暖かい物を用意するから。あ、甘酒があったわ…」

お姉さんは甘酒を温めてくれた。
飲みながら聞いたけど、ここには一人で住んで居るらしい。
「おばあさんといたんですけど、去年…」
そう言っていた。

「お風呂沸いたら、皆さん、どうぞ先に入って下さい。狭いので一人ずつしか入れないですが…」
「じゃあ、兄貴先入って。死にそうだぞ。俺は隼人と入れるかな??」
俺は言った。
「ちょっと無理かもしれないわ…」

そして俺は二番目に風呂を借りた。というか、こんなに小さいバスタブは初めて見た。
真四角で。足も伸ばせない。使い辛いのではないだろうか?

俺が風呂から生き返って上がると、復活した兄貴が布団を敷いていて、隼人は食事の支度を手伝っていた。キッチンというか、調理場は大きな部屋にあって、トイレと風呂と鏡の小さな洗面所だけが別だ。洗面台は、学校のプールのトイレのやつみたいに小さい。水が流れている。寒いところでは、水は止めてはいけない、隼人に言われたことを思い出した。

「隼人、出たぞ」
俺は言った。
「じゃあ…朔、手伝ってあげて」
「ん。分かった」
「あら、良いのに…」

俺は手伝って、その後皆で食事をした。
「食材とか、大丈夫ですか?」
兄貴が聞いた。赤モヒカンだが、兄貴はまあまともな時もある。
「気にしないで下さい。いつも多めに買い出しするんです。こんな場所ですから…備えは万全にしてあります。明日も吹雪くようでしたら、何か装備お貸ししますよ。もちろん麓までお送りします」
毎年、この時期吹雪はしばらく続くらしい。
「助かります…」

その後、少し雑談した。
隼人が話すのを、俺は毛布にくるまって…眠くなったけど、なんとなく聞いていた。
兄貴は寝てた。

『この山は――』
『で――、なんです』
『それで――』

うとうと、して俺はハッと目を開けた。
俺はなぜか兄貴の布団に入って寝ていた。どうやら眠ってしまったらしい…。

起き上がると皆、もう寝ていた。

がたがたがたがた。
小さな窓のガラスが揺れている…。

「兄貴、起きてるか?」
…兄貴は寝ている。
俺はとりあえずトイレに行ったり、洗面所で口をすすいだりした。

そして俺は溜息をついた。

がたがたがたがた。がたっ!がたがたがた!

困ったな。
外に出られるかな…。今。

俺は戻って、ドアを見た。

けど…そんな馬鹿な話がある訳無い。
でも…。もし本当だったら?

ここは、片捨山。
友達か、兄か、どちらかを捨てないと下山できない――なんて伝説があるらしい。
それは…本当に俺達の状況にそっくりで。
違うのは話の中で「弟」が、兄と二つ違いだった…そのくらいだった。
だから俺はなんとか、話を最後まで聞こうと起きていた。

結局、最後の方で寝てしまったけど…。

がたがたがたがた!

俺は風の音にびびった。

この吹雪の中を、外に出る?――かなり、自殺行為だ。
下手したら死ぬ。それは分かる。
けど…俺はお姉さんが準備してくれた明日の装備の中から、コンパスを取り出した。

隼人…寝てるな。
俺は用意された上着や手袋を借りて、キャップをかぶって小屋の外に出た。
書き置きは残さない。探されて、迷われても困る…。


■ ■ ■


「…っ、」
風は冷たく、強かった。顔に雪がばしゃばしゃと当たりまくる。
そんなに遠くない場所だ…。普通に五分も掛からないって言ってた。方向は合ってる。

大きな木が見える…。あれだ。
まだ少し先。
そこでふと、なぜ、俺はこんな馬鹿な事を?
…そう思った。

引き返して、寝た方が良いんじゃ無いか?
明日になれば、下山できるし…。
やっぱり、戻ろうかな…。うん。やめて戻ろう。

「あ」
びゅうう!と風が吹いて帽子が飛んだ。
俺は慌てて追いかけて拾った。

「…」
俺はその帽子を見た。
そして、溜息を付いた。――。

…仕方無いな。
この帽子、…憧れの、ブレイクダンスの神様…ユーディレッティが触った帽子だけど…。
じゃなきゃ朝には、兄貴か隼人が居なくなる、なんてさすがに嫌だ。

俺はまた歩き出した。
そして。木の下で、雪に埋もれた、小さな祠を見つけた。
あまりに埋もれてたので、少し雪を払う。…雪が固くてあきらめた。


「山の神様、どうか兄貴と隼人を助けて下さい、助けてくれたら、俺はもう兄貴を冷遇したりしません。ケータイのメモリも、携帯買い換えてきちんと登録します。この帽子で何とか…これは俺が一番大切にしてるものです。えっと、あと――」


■ ■ ■


翌朝、未だ雪はしとしと降っていたが、吹雪では無い。
「この様子なら、大丈夫そうですね。さて、行きましょう!」
準備万全のお姉さんが楽しげに言った。
「ええ、麓までお世話になります」「よし!」
隼人も兄貴も俺も、装備は万全。

帽子は忘れたか、どこかで落とした事にすれば良い。
とりあえず、無事に、三人で帰らないと。

そして、俺達は丸太小屋の扉を開けた。

――ひゅぅぅぅぅ!!!
一際、強い風が吹く――。

「よし、行きま――」
隼人が言って、振り返った。俺も振り返る。
そこには何も無かった。

ただの雪原。

「…」
兄貴も目を疑っている…。
そして。
あの女性の名を…聞いたけど…忘れてしまった。


「――、行こうか、朔」
隼人が前を向いて言った。

俺達は、下山した。


■ ■ ■


――それでね。

俺達は、無事下山して、…その後に隼人がぽつりと言った。
『朔、心当たりじゃないけど。あの話』

俺が寝てしまって聞けなかった最後を…隼人は聞いていた。


山の神様に、何か一つ、願いも叶えて貰える。
そこで、「弟」は雪女の幸せを願った。

その部分を、聞けなかった俺は。

『兄貴がモヒカンじゃ無くなりますように!あれのせいで俺、ヤンキーの弟だって言われて困る!兄貴のばか!』

――なんて言ってしまったんだ。おかげで寝込んだ。

連れて帰れなくて、ごめんなさい。



「と、そんなお話」

〈おわり〉

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