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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■大神とコナン ② 【クロスオーバー】【二次創作】 【小説】

※クロスオーバーなので苦手な方は回れ右お願いします。そう言えば「大神」って、コナンの世界と、大人と子供の大きさ?バランス?が似てるんですよね。だから私的に違和感があまりないのかも…。

 

さて。大神とコナンのまさかのクロスオーバーその2です。事件は適当。推理はカット、トリック何ソレ?です。なんか大きな話になりそうな終わり方ですが、このシリーズは基本コナン達がお休みを堪能するだけです。
本編終了後に大きい方の謎キャラの服装説明があります。本編に入らなかったので。

■pixivにやっと大神とコナン9 人形村(中編)アップしました。良かったらどうぞ。

www.pixiv.net

後編…頑張って書こう…。

 

 

※注意!

ゲームの大神と名探偵コナンのクロスオーバーです。
クロスオーバーものが苦手な方は回れ右。
でもクロスオーバーってこれでよかったっけ?
やっぱり何かが違う気が…。

設定とか事件とか色々雑です。
ナレーションはコナンが担当。

〈大神(おおかみ)って何?って人のために雑説明〉
PS2で発売してPS3でリマスターされてるゲーム。
主人公の白い狼「アマテラス」がナカツクニという日本っぽい国を冒険する。
アクションとモフモフとRPGがごっちゃになったような和ゲー。
実はアマテラスの正体は…「大神(おおかみ)」と呼ばれる神様なのだった!
プレイする前は犬しか出てこないと思ってましたが、そんなことはなかったよ。
美男も美女もたくさんいた…って感じのゲームです。

〈この話の雑筋〉
遊園地バンザイ。

ウシワカ…大神の変人枠。イズヒア!
アマテラス…大神の狼。つよいぞー!

※ウシワカはKIDさんみたいにゲスト効果でシリアスに…?

※大神のラストの最重要ポイント?のネタバレしてます!
ヒントは『ロング』
ピンと来なかった大神未プレイとかプレイ途中の方はご注意下さい。


正直やりたい放題です。


オーケーバッチコイ!って方はどうぞ☆

【文字数 18300文字】

 

大神とコナン ②



俺たちはその日、遊園地に来ていた。

「じゃあ、ミーは車を置いてくるから。アマテラス君、ミーの分もチケット買っておいて」
「ワフ!」

(アハハ…)
俺は乾いた笑いを漏らし、真っ赤な車を見送った。
犬…いや、タダの狼に一体どうしろというのだろうか。

事の始まりは、そう、年末に老舗の温泉旅館へ行ったことだった。
そこで例のごとく殺人が起き。その事件の容疑者として現れたのが、
「ワン!!」
このアマテラスという犬…。では無くて、今回この改装したばかりの『ネオレジャーパーク』まで俺たちを送ってくれた、自称『陰陽師』の牛若さんだった。

結局彼が犯人であるはずも無く、事件を解決した後、俺たちはトランプや温泉卓球やら人生ゲームやらで盛り上がった。
そして、世の中には理解出来ない事もあると思い知りつつ、俺たちは三泊四日の旅行を終えて家路についた。
だが。


■ ■ ■


「ワンッ!」


白い犬がしっぽを振っている。
「アハハ、ユー達また会ったね!」
そのうさんくさい人物はそう言って笑った。

ここは毛利探偵事務所の二階。
そのソファーの向かいに腰掛けている青年を見て俺はため息を付いた。
「まさか、牛若さんがうちに来るなんて」
蘭が言った。
俺たちは、旅行から帰って早々。牛若さんと白い犬…いや狼に出迎えられた。
上の階に上がってみると、おっちゃんが飲んだくれて居るかと思いきや。
そこにあったのは綺麗に片付いた事務所。
そこでぶつぶつ何かを言いながらもお茶をすするおっちゃんという光景だった。

牛若さんは赤い綿パンに白のセーターという格好の上に、ピンクのエプロンを着けて、ピンクの三角巾を付けていた。
なんと彼は通いの家政夫として、蘭の母親の妃英理に雇われたのだという。
英理さんは部活と勉強に加え、日々の家事に追われる蘭を以前から心配していたのだと牛若さんは言った。
小五郎のおっちゃんは散々、電話で英理さんと言い合ったらしいが、そうしている間に牛若さんとアマテラスが到着して、気がついたら…いつの間にか丸め込まれてしまったようだった。

…オイオイ、明らかに。おかしいだろ…。

しかし、蘭は母からのサプライズに嬉しそうにしている。

「でも、お母さんと知り合いだったなんて。びっくりです」
「ミーは以前あのティーチャーのお世話になったことがあってね。丁度最近ヒマだったし」
おっちゃんがジト目で、
「どうせ結婚詐欺でもやらかしたんだろ…うさんくせぇ野郎だ…」
等と言っているが、結婚詐欺かはともかく、うさんくさいと言う点は俺も同感だ。

俺たちは牛若さんの手料理を食べ…彼の作る料理は蘭とまた違ったタイプのものだったが、とても旨かった…。おっちゃんも「まあ、悪くはねぇが…」と言いながら食べていた。

「あ、そうだ!」
食事中、蘭が何かを思い出した。
「コナン君、ネオレジャーパーク!『世界の名探偵展』今月いっぱいよ!」
「あ!」
俺としたことが、スッカリ忘れて居た。
丁度、その遊園地ではリニューアル特別企画として『世界の名探偵展』なるものがやっていた。
テレビなどの情報に寄ると、大きなドームがパーク内にありその中で開催されているらしい。当然、ホームズは大きく取り上げられている。
…もちろん行く。
この種のテーマパークにしては珍しいが、どうやらここは他との差別化を図るつもりらしく、この種の催し物にかなり力を入れている。
ちなみに俺たちが行く次の週からは『世界の飛行機展』が始まる。それはドーム内にいくつもの小型飛行機を展示する企画らしい。…マニアにはたまらないだろう。

「ああ、あそこかい。フフフ。ミー達も今度行くよ」

そして、今回一緒に行くことになったのだった。

その後、牛若さんはニコニコしながら片付けを完璧にして、ソレを終えると、蘭と今後の詳しい話をし、おとなしく事務所の片隅で丸くなっていたアマテラスと一緒に、手を振って帰って行った。

今日は蘭と一緒に見送りをしたが…、ヤベェ、俺も早速慣れ始めてる…。
来週にはもう当然になって気にも留めなくなっていそうだ…。
そして実際そうなった。

「アレ?そう言えば、あの人ってこの辺に住んでるのかな?」
牛若さんの存在が当たり前になったある日、ふと俺は言った。
彼等は徒歩で通ってくる。

そう言えば、その辺りの事はまだ詳しく聞いていない。
明日も彼が来る日なので、聞いてみよう。

その翌日、俺は牛若さんに疑問を聞いてみた。
「ああ、ここから見えるよ、ほら、あの大きなマンション」
と言って彼が指さしたのは、…最近出来たばかりの超高級マンションだった。
確か、ワンフロアが丸ごと一件になっていて、とてつもなく広いはずだが…。
牛若さんは、そこにアマテラスと後もう一人で住んでいるらしい。
「そろそろもう一人…いや、二人増えるかな?」
「もしかして、奥さんですか?」
蘭がさっきの一人と言うのは、きっとそうだとばかりに言った。
「フフフ、ノー。彼は違うよ。単なる同居人。まあ殆ど居ないけどね」
…この人の話は回りくどい。

「あ、ゴムマリ君をこっちに呼ぶの忘れてた…どうしよう…ゴニョゴニョ…」

何だかブツブツ言い出してしまったので、俺は飯に集中する事にした。


■ ■ 

「はい、大人二枚で良いのね。ワンコちゃん。五千円になります。お使いご苦労様」
「ワォン!」

ちゃりーん。

…俺は牛若さんが車を置きに行く間に、チケットを大人二枚分あっさりと購入したアマテラスをうろんな目で見つめた。
いいのかコレで…。

「工藤君、良いのよ。きっと」

灰原が笑ってどこかで聞いたセリフを言った。

「牛若さん、まだかしら」
そう言ったのは園子だった。彼女は牛若さんが来ると聞いて、「絶対行く!」とはしゃいでいた。
今日のメンバーは、俺、牛若さん、アマテラス、蘭、園子、そして灰原。
おっちゃんは寒いし遊園地なんか行っても仕方無いと言って、出たがらなかった。
博士は先日の学会の打ち上げとかで、朝から遠方へ出かけていった。

「あれ?」
牛若さんを待つ間、ふと入り口に目をやると。
なんだか、変わった青いお面を付けたマスコットに出迎えられた。
「蘭姉ちゃん。変わったマスコットだね?」


「「…」」
しばし目が合う。


「コナン君、その人違うみたいよ」
「えっ」
勘違いだったようだ。
「すみません」「ご、ごめんなさい!」
蘭と俺が謝る。

「いや…」
その人は、短く言って去っていく。

…それにしても、あの人、半袖で寒くはないのだろうか…。
彼はごく自然にゲートをくぐって行った…。

そんな事もあったが。
「あ、牛若さん!」
園子が手を振る。

「ソーリィ、お待たせ」
牛若さんがヒラヒラと手を振りながら戻って来た。

彼は今日、短めの濃緑のダッフルコートに白いマフラー、頭には同じく白のニット帽をかぶり。ジーパンに皮のロングブーツと言うごく普通のカジュアルな装いだったが、やはり長い金髪が目立つ。
白の帽子とマフラーにはおそろいの青と赤のギザギザ模様が少し入っていて、マフラーの先には赤のポンポンが付いている。
手袋は表が皮で、横がニットになっているもので黒色だった。

ふと目線を上げ。
「連れが来ているハズなんだけど…、どうやら今日は彼の出番があまり無いみたいだ」
「?」
何かを呟いて居たが、よく分からない。

とりあえず俺たちは施設内に入っていった。
「あ、わんわんだー!おっきいー!」
「可愛い犬!」
「あの人、外人モデル?」
っていうかアマテラス達がやたらと目立つ…。

入り口付近の、両脇に建物や、生け垣のある道を皆で歩く。

「実は、今日は三時に人とここで待ち合わせしてるんだよ」
牛若さんが言った。さっきの連れだろうか?
「そうだったんですか」
「じゃあ、それまで一緒に回りませんか!」
園子が言った。
「ふふふ、オーケー。後でユー達にも紹介するよ!夕飯は皆で一緒に食べよう」

そして開けた所にある案内板を見ながら、まず何処に行こうかと話す。
「へぇ…広いなここ」
俺は感心した。アトラクションだけで三十はある。
「たしか…隣の工場が無くなって、そこを買い取ったってテレビで言ってたわ」
蘭が言った。
「へぇー、あ!このドームだね!」
ま、その辺りの事情は今回はどうでも良いだろ!ホームズ、ホームズっと!

「ン?ショッピングモールもあるんだね。でも遠いし、まずこの辺りを回る?」
「じゃあここのコーヒーカップとか?牛若さん一緒に乗りましょうよ!」
園子が言う。
「アハハ、オーケー!」
「牛若さん、今日あまり寒くなくて良かったですね」
「フフフ!アマテラス君のおかげかなぁ?」
「ワフ!」
牛若さんがアマテラスを撫でる。
「博士と吉田さん達にお土産買おうかしら…」
灰原も楽しそうだ。

とりあえず俺たちは歩き出した。
「そう言えば、さっき牛若さんが言ってた連れって、一緒に住んでるって男の人?」
「イエス。ちょっと変わったボーイだけど、相当強いよ」
「へぇ!そうなんですか」
蘭がちょっと興味を持っている?

それから俺たちは、施設中を巡った。
「アハハ!レッツロック!っと」
「…!」
灰原は、マスコットの熊に夢中だった。牛若さんに写真を撮って貰っている。
…どうやら、このマスコットのファンだったらしい。

そして、いくつかのアトラクションを周り、今日のメインであるドームに入る前に昼食を食べる事にした。

「展示を見たら、今度は全部のジェットコースターに乗りましょうよ!」
飲み物を飲みながら園子が言う。
「そう言えば、向こうに妖怪屋敷もあったっけ…?」
牛若さんもニコニコしている。
「わ、私は遠慮します!」
蘭が言った。
灰原はおとなしく食事を取っているが、密かに楽しそうだ。
その隣ではアマテラスが巨大なピザを食べている。
灰原にたまに撫でられ嬉しそうにしている。
「でも今日は混んでるし、広いから全部回りきれないかもね」
俺は言った。
「そうね」
灰原も同意した。

しかし、俺と灰原はある意味、このインチキ陰陽師の力を甘く見ていた。
いや、今回はむしろアマテラスの機動力と言うべきか…。

俺たちは昼食後まず、ドームに向かった。
「おお…」
中々広い。チケットは別で必要だったが、昼時だったので並ばずに買えた。
中もそれほど混んでいなくて、隅々まで堪能した。
「へぇ…この世界にはこんなに探偵がいるんだ。少し物騒なのかなぁ?ミー達も頑張らないとね」
「ワン!」
牛若さんはおかしな方向に感心していた。
「あ、コナン君。日本の現役探偵コーナーだって」
蘭が言った。
「新一君も特集されてたりしてー?グッズ売場もあるんだって!何か買っちゃう?」
園子が蘭をからかう。
「え、えー、いいわよ私は。それに、お父さんはあるかもしれないけど…新一はさすがに」
蘭が苦笑して歩き出した。


毛利小五郎』…別名、「眠りの小五郎」。その眠って居るような独特の推理スタイルは睡眠薬のCMに起用されるほどのインパクトを国民にもたらした。チャームポイントは口ひげ。特に中高年の女性からの人気がある。過去の事件で知り合った女優の沖野ヨーコ氏と親交が深い事でも有名…(省略)…間違い無く今の事件解決率はトップであろう。しかし、影では彼が不幸を呼んでいるのでは…とも噂されている。街で会ったら迷わず逃げよう。


『工藤新一』…別名、「東の工藤」「推理オタク」。高校生探偵と言えば、真っ先に彼と彼の蹴飛ばすサッカーボールを思い浮かべる方も多いと思う。そしてその知名度に恥じない知識、実力、そして実績を備えている。事実、彼は秘密裏に警察に協力し、凶悪な事件を数多解決している。代表的な事件は…(省略)…近頃姿を見せないのは、海外留学をしているかららしい。しかし事件の申し子の彼の事だ。そのうちまたこの国で華々しい活躍が見られる事だろう。…実は今も人知れず巨大な悪の組織と戦っているのかも知れない…。


他にも『服部平次』『白馬探』…『江戸川コナン(少年探偵団/毛利探偵の助手/KIDキラー)』『阿笠博士』…etc。

…。おい。

在るわ在るわ。

コーナー入り口の説明文には、『意外と知られていないが、この国は隠れた名探偵の宝庫である。テレビやCMでおなじみの毛利探偵を初め、父は世界的な推理小説家で母は名女優の工藤新一少年を初めとし老若男女、様々な人々が探偵として活躍している。しかしその背景には、近頃の犯罪発生率の高さが隠れている事を忘れてはならない。だが、彼等の隠れた活躍により、警察は大いにその検挙率を伸ばしている。もちろんこの国を守る彼等が優秀である事は疑いようがない。しかし、探偵達のヒーローのごとき活躍があるのもまた、純然たる事実なのだ…。このコーナーでは彼等の等身大のPOP、特別にお借りした私物。公開可能な一部の事件ファイル、解決した事件のトリックなどを再現した。もちろん些細なミステリーもご用意しておいた。…諸君らにはこの謎がとけるかな…?(by工藤優作)』

と、書いてあった。あのクソ親父…。
回ってみると、丸ごと密室が再現されていたりした。

「あ、ここ、『トリックで殺されてみよう』コーナーだってさ。アハハ!アマテラス君、ちょっとやって見ようか」
「ワン!」
牛若さんは撮影可能な密室で、囲まれた線通りに倒れて写真を撮って貰っていた。

ん?
展示をあらかた見終えた俺は、ブースの片隅に居た黒タイツの人物に後ろから声を掛けた。
まあ、誰かは分かってるけど。
「あ、高木刑事!こんなところでどうしたの?」
「こっ、コナン君!?」
「おや?ユーは確かあの時の…」
牛若さんが、高木刑事に気がついて言った。
「あの、そのせつは…失礼しました」
高木刑事があやまる。
そう言えば、旅館で牛若さんを起こしに行ったのは高木刑事だった。

「あ!こんな事してる場合じゃ無かった!」
高木刑事はいきなりキョロキョロして、そしてある中年のおっさんを見て、ほっと息をつく。しかし、真面目な顔で牛若さんと俺をブースの影に引き込み、無線で連絡を取る。

アマテラスはアゥ?とそのままの位置で首を傾げている。
「?」
牛若さんが不思議そうにする。

「もしかして、事件?この遊園地、刑事さんが一杯居るよね」
俺は言った。明らかに、変装してはいるモノの刑事らしき人を何人も見かけた。
何かあったのだろうかとは思って居たのだが…こういった施設ではさほど珍しい事ではない。
「ハハ、十分珍しいと思うけど…やっぱりこの國は物騒だねぇ」
おい、勝手に人の心を読むんじゃねぇ!
「クゥーン」
アマテラスも頷いている。
「何があったの?」
俺は聞いた。
「そ、ソレはさすがに…」
高木刑事が渋る。

「…フフフ。ミー達に教えてくれるかい?」

牛若さんのインチキな問いかけに、高木刑事があっさり話したところに寄ると、どうやら都内で誘拐事件があったらしかった。
誘拐されたのは十一歳の少年で、犯人は少なくとも二人以上。

「その犯人達の目的は、おそらくここのオーナーへの復讐で…身代金の受け渡しに何故かここを指定してきた。あのおじさんは犯人から受け渡しを指示されたオーナーの部下で…。佐藤刑事達は、少年の救出を担当してる」

かなりヤバい状況だ。

「コナン君達は直ぐにここを出た方が良い」
高木刑事は言った。
そうか、今日はおっちゃんも、博士も居ない。…俺たちはお呼びで無いわけだ。

「フフフ」
牛若さんが笑った。
「ミーは、今日、三時から人と会って遊ぶ予定があるんだ」
「…それがどうかしたのか?」
俺は、彼を見上げて言った。
「ああ、ユーはもう行って良い。サンキュー」
牛若さんがニコ、と高木刑事に向かって微笑む。

高木刑事が去った後、牛若さんが言った。

「だから、爆発騒ぎで今日、遊園地が閉鎖なんて良くない。たかが爆弾の二十個くらい、ミー達で何とかしよう」


…は?

「って、えええ!?」
さすがの俺も、驚いた。


■ ■ ■


「数は多いけど構造は線を一本切るだけの簡単なモノだし、今からやれば、何とか爆弾のタイマーがセットされた三時までには片がつく。まだ犯人は爆弾の存在を警察に話していないから、全ての処理が終わったら、ミーが犯人や関係者の記憶をいじればノープロブレム。だからユーはとにかく見つけて、片付けて」
おいおい。
「ちょ、手がかりも無いのに!しかも三時まであと二時間だぜ?」
さすがに俺は焦った。
「アハハ!」
牛若さんは笑った。ふと困った顔をした。
「うーん、十七個までは見えたんだけど…残り三つがサッパリさ!…どうしようか?」

…どうしようか!?

「っ…!それは後回しだ!ここにもあるの!?」

俺は半ばやけくそで、このドームにもあるという爆弾を探し始めた。
「この建物に三つ…ここが一番多いね。あっ、その裏」
牛若さんの言う通りの場所で、見つけた。
構造は本当に単純な物だった。コレなら楽勝だ。質より量か。しかし、爆発すれば周囲の被害は大きい。
「灰原!教えるからお前も手伝え」
「分かったわ」
牛若さんを見ると、紙袋を数枚貰っていた。
…まさかこの人、アレに入れて持って帰るつもりか?
「終わったらこの中に入れて。ゴミは持ち帰るのがマナーだし」
「…」
俺は無言で爆弾を紙袋に入れた…。

蘭と園子はドームを出た後、丁度ショッピングモールを回るようだったので、三時に中央広場の仕掛け時計の前で待ち合わせする事にし、灰原と俺と牛若さんとアマテラスは爆弾を攻略に掛かった。

灰原は紙袋を持ち、アマテラスに乗っている。
「私達は言われた所を回るから、あなたたちは残りの三つを探して…でもちゃんと見つかるかしら」
牛若さんの読みが書かれた地図を見ながら、それでも少し心配そうにする。
「ワウ!」
アマテラスがまかせろ!とばかりに吠える。
「アマテラス君の鼻があればオーケーだよ。学者ガール」
牛若さんが言った。
「あら、呼び方かえたのね?」
「フフフ、二時半にあの時計塔で。ゴミを回収するよ。じゃあアマテラス君、頼んだよ!」
「ワン!」
「灰原、何かあったら直ぐ探偵バッジで連絡しろ」

「ええ!」
灰原を乗せたアマテラスは走り去っていった。

…しかし、犯人達は一体、何が目的でこんな事を…。ってまた復讐か。

「ミー達の楽しい休日を邪魔をするモノは抹殺…」
牛若さんがゴニョゴニョ何かを言っていたが聞こえないフリをしておいた。

それから、俺達は爆弾の設置パターンを推理し、予言から漏れていた爆弾を二つ回収した。

俺と牛若さんは地図を見た。
「あと一つは…仕掛けられていた場所以外の所にあるはずなんだけど…」
牛若さんは真剣だった。
「予言って、どういう時に見えるの?」
俺は聞いた。
「そうだね、動き回って、人に出会った時とか、何かを貰った時とか、あとは…どこかに入った時とか?何もしていない時にも見える時もある。あと…予言では無いけど進んで遠くの物を視ることも出来る。さっきユーがヒントをくれた場所を視たら、在るのが分かった。コレには色々制限があるけど」

牛若さんは、眉を潜めた。
「でも、あと一つがなぜか見えない。何かに邪魔されてるのかなぁ…?」
「じゃあ、もしかして…建物に入ったら確実に分かる?」
牛若さんが頷いた。
「入った途端イヤな感じがするだろうね。あれは悪意の塊だから、本来は分かりやすい」

やっぱりこの人、チート過ぎだろう…。

その後、俺たちは幾つかの場所を回って、入り口近くまで戻って来た。
しかしどの建物にも爆弾は仕掛けられていないようだった。
未だ回っていないのはあと七カ所。
今時刻は二時四十五分。

「くっそ、何処だ!」
俺は叫んだ。
「あれは…」
牛若さんが言った。
そこには高木刑事と佐藤刑事、それに目暮警部も。

俺たちは、植え込みの影から話を伺う。
…いや、別に堂々と聞いてもいいんじゃねぇか?
「いや、そう言う雰囲気だったから…アハハ」

「しかし、奇妙な…」
目暮警部の声がした。

「シッ!静かに」
「イテ」
俺は振り返り、牛若さんの髪の毛を引っ張って黙らせた。

「犯人達には他に狙いがあるのかもしれませんね」
佐藤刑事だ。
「ああ、身代金を受け取りに来ず、あっさりと少年を監禁場所に置き去りにするとは…」
目暮警部が言った。どうやら人質の少年は無事保護されたようだった。
「警部、やはり誰もあの身代金には近づいていないようです…」

警部達は爆弾の事を知らないのだ。
「…もう、話した方が良いね。…手遅れかも知れないけど」
牛若さんがすっと立ち上がる。
その時。

「しかしなぜ、こんな物が…」
証拠保存用の袋に入っていたのは、そう、破魔矢だった。

「!!」
その矢を見た牛若さんの顔色が変わった。
「まさか…?」
そして一瞬遠くを見る。
「クソッ!常闇め…!」
彼は、舌打ちをした。
その時。

「!!」
牛若さんが身をひねり、振り向きざまに俺を引き倒す。
「わ!?」

バチイッ!!

俺達の立っていた先にあった木の幹に、大穴が開いた。
狙撃!?
俺は飛んで来た方を見る。
…おそらくあの巨大な仕掛け時計からだ!側面に窓があり、それが開いていた。
だが狙撃手は居ない。

「っ!…やはり!」
牛若さんが半身を起こし、時計の方を見つめて言った。

「今の音!?」
「銃か!!」
警部達が着弾音に反応した。条件反射という奴だ。
そして。

「コ、コナン君!?」

生け垣の裏に倒れ込んでいた俺たちは、見つかってしまった…。

■ ■ ■


「何だ、君達も来ていたのか…いや!そうじゃ無い、大丈夫か!?」

話がややこしくなってしまった。
爆弾が幾つか入った紙袋を持っている以外は、やましいことは何も無い。
しかし、もう時間がない。

目暮警部以外の刑事達が木を確かめる。
「警部!コレは間違い無く…」
「やはりまだ仲間がいたのか!どこから…」
「誰を狙ったんだ!?まさか彼等?」
「貴方たちはなぜこんな場所に…?」

そうしている間に、時刻は二時五十分。もはや一刻の猶予もない。

「ユー、最後の場所が分かった…」
牛若さんが隙を見てしゃがみ、俺に耳打ちする。
「スナイパーはミーが何とかする、だからユーはアマテラス君達と…」
紙袋を押しつけられる。

ピー!ピー!
その時灰原から連絡が入った。
『工藤君!十七個!ごめんなさい!やっと終わったわ。例の時計に向かってる』
少し予定の時間をオーバーしてしまったようだ。
『灰原!予定変更だ!今どこだ?』
『今、ドームから一周回って、ジェットコースターの前よ!』

俺は駆け出した。
こんな事ならスケボーを持ってくるんだった!!
背後では牛若さんがケータイで誰かと連絡を取っていた…。


■ ■ ■

「ワン!!」
向こうから、灰原を乗せたアマテラスが駆けて来た。
「最後の一つは何処!?」
俺は灰原の後ろに飛び乗る。

「妖怪屋敷だ!!」
その時、灰原の探偵バッジが鳴った。

『ユー達!爆弾は一番奥の、井戸の裏だよ!アマテラス君!妖怪が居るから気を付けて』
「妖怪ですって!?」
灰原が言った。
って言うか、なんで牛若さんが!
『アハハ。ソーリィ、さっきユーのバッジを借りた。ミーは仕掛け時計の前へ行く!』
この人、楽しんでないか?

屋敷に着いた。
ここだけ外れにあるためか、人気はあまり無い。しかし中はお化け役の従業員が沢山居るだろう。
「灰原!」
「あと二分よ!」
もう避難させる時間がない。
俺たちはアマテラスに乗ったまま入り口を突破した。

「井戸は何処!?友達が忘れ物したんだ!」
「え…あの向こう、突き当たりを曲がって、まっすぐだけど」
係員のお姉さんは、突然飛び込んで来た大きな犬、それに乗る子供二人に驚いた。
「ありがとう!!」
そして風の様に建物の闇に消えていった。

「あの犬、なんでマンホールのフタをしょってたのかしら…」
…彼女は見える人だった。

「ここか!」
俺はアマテラスから飛び降りた。
その時。

「いゃぁあああーーっ!?」
灰原が悲鳴を上げる。
そこに居たのは、まさしく妖怪だった。
黒い鬼が三匹…。周りを無数の頭骸骨が飛び回っている。

「グゥゥゥゥ!!」
アマテラスが吠え、飛びかかった。
その戦いは、あっという間だった。
時間にして二十秒ほど。

鬼は切り裂かれ散り、後には大輪の花が残って消えた。
井戸の裏を見る。
「あったわ!」
作り物の草の影に、最後の爆弾があった。

フタを開け、線を千切る。
残り十一秒で爆弾は停止した。

「ふぅ…」
俺はため息を付いた。
「ワン!!」
「あぁ、良かった…」
灰原も座り込んだ。

俺たちはお化け屋敷…いや、妖怪屋敷を出た。
「あら、忘れ物は見つかった?」
入り口でさっきのお姉さんに話し掛けられた。
「うん!あったよ!」
俺は外しておいた自分の時計を見せた。
「そう、良かった。ところでその犬、記念に撫でても良いかしら?」
…記念?
「いいよ!」
お姉さんは、すごく変わった犬ねー?と言いながらにこにことアマテラスを撫でていた。
「ワゥ」
アマテラスは嬉しそうにしていた。

『牛若さん!終わったぜ!』
俺は妖怪屋敷を出てバッジで彼に呼びかける。
しかし、しばらく待っても応答が無い。

「…何かあったのかしら」
灰原が言う。
そう言えば、スナイパーを何とかする、と言っていたが…まさか彼の身に何か!?
「行くぞ!」
俺たちは仕掛け時計の広場へ向かい、走り出した。

しかし、そこにあったのは意外な光景だった。

「園子さんは下がっていて下さい!」
「でも!」

そこに居たのは蹴撃の貴公子、京極真だった…。


■ ■ ■


なぜここに京極さんが?

俺は唖然とした。しかし牛若さんに敵意バリバリの視線を向けて、彼が語った。
「この男ですか、園子さんと婚約した男というのは…!」

…婚約!?

「フフフ?」
牛若さんは巨大な仕掛け時計を背にして微笑んでいる。
今の時刻は、三時を少し過ぎた所だ。
「蘭姉ちゃん!一体どうしたの!?」
俺は慌てて聞いた。
「それが…ここでさっき牛若さんと合流したの。そしたらいきなり京極さんが現れて」


…三時の鐘が鳴り。仕掛け時計が動く。


「あ、牛若さん!」
園子が手を振って駆け寄る。蘭は少し遅れて歩いている。
「おや、ガール。いい物は見つかったかい?」
牛若さんが微笑む。
「ええ、ばっちり!」
「それはナイスだ」

ヒュッ!!
「おっと、危ないなぁ!」

…という訳らしかった。

そして今、三時三分二十秒。
繰り出された大鉈のような一撃を、牛若さんが首を傾げてから横によけた。
間髪入れずに返された蹴撃を、今度は身をひねり躱す。
周囲からすれば、少し時間がずれているような、不思議な動き方だった。

「牛若さん…あの人、できるわ…!あのタイミングで京極さんの蹴りを避けられるなんて!」
蘭が牛若さんを見て言った。
…おいおい。お前等。
「でも、どうして京極さんが?婚約って言ってたけど…」
牛若さんと園子が?
…さすがにそれは無いだろう。
「京極さん、園子が送ったメールで勘違いしたみたいなのよ…」
蘭が言う。
「これよ…」
弱り切った様子の園子がケータイを見せる。

―牛若さんって、家事とか料理が大得意なんですって、デキる女性の旦那さんにぴったりね!今度彼も一緒に遊園地に行くの!!何着ていこうかしら!!あ、試合頑張ってね!―

ご丁寧に園子が牛若さんとツーショットでダブルピースしている写真付きだった。

って言うかコレ、誰が撮ったんだ。
「実はこの前ばったり牛若さんに会って、一緒に遊んだのよね…ついテンション上がってその辺の人に写真撮って貰ってメールしちゃったんだけど…まずかったかしら?」

どうやら京極さんは牛若さん『も』一緒に、と書いたが牛若さん『と』一緒に…つまり二人きりと勘違いしたらしい。
「オイオイ…」
俺は何とか言った。
…園子…お前気を付けろよ…。
しかしまさか、京極さんの頭の中には…「デキる女性=将来の園子」というありえない図式が出来ている…のか?

「フフ?ユー、結構やるね」
その間にも一触即発の様相は続いている。
少し間合いを取り。二人の武人が会話する。

「負けたら、潔く…身を引きます。…いえ。この京極真、絶対に勝ちます」
何かを感じ取ったのか、京極さんが決意を込めて鋭くにらむ。
「オーケー。ウェルカム!」
と、何故か牛若さんもノリノリだ。

ゴクリ…!
異様な雰囲気に見物人達が唾を飲み込む。

音の無い世界…。
そして、その静寂を破ったのは、意外な人物だった。




「キャン!!」


いや、意外な子犬だった。
牛若さんがぱっと振り向く。

チビテラス君!!」

「キャゥ!!」
その子犬は牛若さんの胸に飛び込み、彼をペロペロなめる。
「アハ!こ、コラコラッ。ヨダレはノーサンキュー!」

その時。ガラガラと何かを引く音がした。


「やれやれ、全く。やっと片付いたと思ったら…ユー達は何遊んでいるんだい?」


そこにいたのは。


俺と同じ年くらいの、金髪でおかっぱの…子供だった。


■ ■ ■


「「かっ、かわいいいーーーーーーーっ!!!!」」
蘭や園子や周りの人々が一斉に悲鳴を上げた。

女の子か?…ピンク色の着物に膝丈スカートのような紫の袴…首には赤色の長いマフラーを巻いている。足元は茶色のブーツだった。
『大神』と書かれたピンクのトランクを引いている。
どこかおかしな格好だが、正直そんな事は関係無い。

「まったく、折角この國に来たって言うのに、ミーの服をショッピングするヒマも無かったよ。ユー達。責任を取る準備はオーケーかい…?」

何かゴニョゴニョ呟きながらこちらに進んでくる。
サラリと髪をかき上げ、ふわりとマフラーをたなびかせ。ヒラヒラと手を振る。
その雰囲気、歩き方と言い、仕草と言い…これはまさしく。

「…小型版ね」
灰原が言った。
そう。その子供は…。
牛若さんにそっくり、だったのだ。

「何あの子!天使みたい!!おかっぱ最高!!」
「写真撮らないと!」
「あのイケメンと一緒に!!超そっくり!!」
キャラリーが突然の登場した子供の可愛さに沸き立つ。

「…クロウ!!会いたかったよ!」
そんな事お構いなしに牛若さんがその子供に駆け寄り、その子供を子犬とまとめて抱き上げた。
「ワン!」
アマテラスもしっぽを振って飛び跳ねている。

「って…まさか!?」
この、まさしく小型版と言った子供は…。まさか。
牛若さんが、俺と周囲の目線と、ポカンとする京極さんに気がついて言った。

「ああ、このボーイはミーのチャイルドだよ」

「えええーーーっ、牛若さん、子供いたんですか!?」
蘭と園子が驚く。いや、俺も驚いた!この人、子持ちだったのか!?

誰かと同居している事と言い、持ち物の傾向と言い。てっきり、独身だと思っていた…。
俺の推理が外れるとは…。まあ、この人には推理も通じないか…。

「…ずっと外国に留学してたんだけど、こっちに戻ることになったから、今日ここで待ち合わせてたんだよ。内緒にしててソーリィ。もちろんミーが産んだ訳じゃ無いけどね!」

…牛若さんは地面に立たせた子供を抱きしめデレデレしながら、ちょっとアホな事を言っている。
…それはそうだろう。
それにしても。…親子ってこんなに似る物か?
その時、蘭が前に進み出て、しゃがんでクロウを見つめた。

「おや、ミーに何かご用ですか!」
見られたクロウが首を傾げる。
牛若さんもそうだが、この子供もいつもニコニコ笑っているように見える。

蘭が「「?」」と首を傾げる牛若さんとクロウとを見比べ。驚いたように、そして何か、後半はニコニコしながら言った。

「それにしても、似てますね!可愛い!そう…まるで新一とコナン君みたい!!」

クロウをぎゅーっと抱きしめる。

「…案外、もうとっくにバレてるのかもね…」
灰原が俺の耳元でささやく。
「…そんなわけねぇって」
俺は蘭が気がついていないことを祈った。

「ベリィサンキュー!フフ。ユーはとっても美しいね!!…アレ、新一ってだれだい?」
クロウが首を傾げる。
「私の幼なじみよ。最近留守がちだけど…」
「ヤレヤレ、こんなビューティフルなレディを待たせるなんて、男の風上にもおけないね」
「まあ!かわいいーーっ!」
蘭は灰原や俺を初めて見た時と同じくらいテンションを上げていた。

「ワン!」
アマテラスがしっぽを振って吠える。
「ああ、ソーリィ、マザー。アイムホーム!」
クロウがアマテラスに抱きつく。
「キャン!」
白い子犬もはしゃいでアマテラスに駆け寄る。
「ワン、ワン!」
「アハハ」
その微笑ましい様子を牛若さんが笑顔で見守る。

…ソレはどう見ても、タダの仲良し一家だった。

牛若さんは、ハートを出して久々に会った牛若さんにデレデレのクロウをひょいと抱き上げつつ、京極さんに向き直った。
「フフフ!!牛若!大好きだー!!」
クロウが牛若さんに抱きついた。

「…こういうわけだから、ユーは安心して良い」
「あ…、も、申し訳ありません!てっきり…」
牛若さんはどうやら、自分はまた勘違いをしていたらしいと気がついた京極に謝られた。
「アハハ。ノープロブレム!」
「ふふふ、京極さんったら!あ、向こうの妖怪屋敷に行きましょう!」
園子は彼の手を取った。
「そ、園子さん!?」
京極さんがいきなり引っ張られて驚いている。
「皆ー!帰りに合流ねー!」
園子は満面の笑みでこちらに大きく手を振ると、妖怪屋敷に入っていった。

…案外、園子も確信犯だったりして。
牛若さんとクロウが、にっこりと笑って園子に手を振っている。

後で聞いたら、牛若さんと園子はいつの間にかメル友になっていて、共謀していたらしい。
「牛若さんの予言って、ホント当たるのよ!」
園子はそう言っていた…。


■ ■ ■

「おや、あの仮面は何処に行ったんだい?」

ひとしきり牛若さんにデレデレして。今はアマテラスに乗っかっているクロウが、ふと顔を上げてキョロキョロした。
「あのー!わんちゃん達も入れて写真撮っても良いですか!」
「アハハ、オーケー!」
その間にも幾人かが声を掛けてきた。

「ああ、彼は今、車に荷物を置きに行ってるよ。ユーは何処に行きたい?」
写真を撮られながら、牛若さんがクロウの頭を撫でる。
「うーん、学者ガール達とも相談しようか?」
そう言って、クロウがチビテラスを抱えて、俺と灰原、蘭の方へ近づいてきた。

「ユー達の事は話に聞いているよ。ミーはクロウ!こっちはミーのフレンドさ!…ミー達とユー達はきっとナイスなフレンドになれる気がするよ」
無駄に大げさな動きをした後にそう言った。
「キャン!」

「牛若さんにそっくりだからびっくりしちゃったわ。私は毛利蘭…」
クロウは和気藹々と、チビテラスを撫でる蘭と話し始める。
…どうやら親に似て明るい性格らしい。

「…よろしくね」
灰原が言った。
「よろしく!ユーは…学者ガール!」
「あら?もしかして…」
灰原が何かに感づいた。クロウは笑っている。
「ミーにとって学者レディはたった一人だからね。牛若にネームがかぶるって言ったんだ」
「そう。フルネームは灰原哀よ」
少し微笑んだ灰原とクロウは握手を交わした。
灰原の奴、ガールと言われたのが嬉しいのかもしれない…。

そしてどうやら、この子供は女好きらしい。
しかし、特に男を差別するわけでも無く、俺にも普通に話しかけて来た。
「ユーが江戸川コンニャクかい?カイトウだっけ?アレ…冷凍?」
「アハハ。クロウ、ソレはKIDだよ」

オイ。
「…コナン。俺は江戸川コナン!怪盗じゃなくて探偵だ!」
「アハハ、ソーリィ、ソーリィ!この國の言葉も難しいね」

ぶえっくし!!
少し離れたところで大きなくしゃみが聞こえた。
「もー、快斗。また風邪ぇ?青子に移さないでよ」
「うるせー。誰かが噂したんだろ」
どこかで聞いた声の気がしたが、きっと気のせいだろう。

「え?オーケー、じゃあ後で」
牛若さんがケータイを切る。
「ソーリィ、紹介しようと思って待たせたのに…連れは外で待ってるんだって。人数増えた事だし帰りは二台に別れよう。さっきの色黒の彼も送っていこう」
「ありがとうございます!でも…残念です」
蘭が言った。
「オキクはシャイだからね」
クロウが呆れたように言った。

それから、俺たちは遊園地を回った。
クロウは途中でアイスクリームを食べていた。

その後ショッピング街に入り。そこで夕飯を食べた。
「クロウ、美味しいかい」
「イエス!この國の料理は面白いね!」
「ワフ!」「キャン!」

しかし…今までごく普通にしていたが、この犬たちはどうして、レストランの入り口で止めらないんだ…?それに、まさかこの小さいのも神様なのか?
俺は真剣に考えた。

「ま、そんな所でしょ。喋ってるわよ、工藤君」
「あ…」
灰原が言った。どうやら口に出していたらしい。

(しかし…一体どうして牛若さんが銃撃されたのだろう。また高木刑事にでもこの事件の詳しい話を聞いてみよう。あの破魔矢も気になるし。)
…ふと牛若さんを見たら、何か微笑まれた。また思考を読まれたのだろうか。


そしてあっという間に時間は過ぎ。
ゲートを出て、駐車場までの帰り道。
「楽しかったね!」
蘭が言った。
「アハハ…なんかつかれた」
はしゃぐ皆を余所に、俺は一人乾いた笑いを漏らしていた…。


■ ■ ■

俺と灰原とクロウと犬達は牛若さんの車に乗る事になった。
蘭と園子と京極さんは、あの入り口で会った人の車だった。

「ミーの荷物はトランクに入れよう」
クロウがそう言って、パコンと開けた。

そのトランクの中には、俺たちの回収した爆弾が入った紙袋が三つと、あと何かそれより沢山の爆弾が入った無数のショッピングバックがあった。

「アレ。こっちに入れたのかい?」
「ああ、ソーリィクロウ。向こうの車にはトランク無いからまとめたんだ。荷物は中に」
運転席に居た牛若さんが言った。
…まさか。
灰原と俺は、イヤな予感に襲われた。
クロウは荷物があるので助手席。俺と灰原とアマテラスが後部座席に座る。

帰り道、車の中で牛若さんとクロウが語った所によると。

レジャー施設に二十個。ショッピング街に三十個。
…爆弾は、全部で五十個もあったらしい。

質より量…って言うか多すぎだろう。

ショッピング街の物は、クロウとチビテラス、それにあの青年がせっせと片付けたらしい。
あまりに多いから皆コンセントだと思って気にしていなかった、とクロウが笑って言っていた。
しかし…明らかにこの犯人達はやりすぎだ。
全部が一斉に爆発したら未曾有の大惨事になっていただろう…。

「だから、元々イレギュラーな事件なんだよ。犯人達にしても、ここまでやるつもりはなかったはずなんだけど…」

牛若さん曰く『少しやっかいな相手』が一枚噛んでいたらしい。
車を運転しながら、そう言った。
「そうそう、刑事さん達の記憶は適当にいじっておいたよ。木の穴はそのままでも良かったんだけど…まあ一応、誰も気にしないようにして来た」
「アハハ…そう」
俺は乾いた笑いを漏らすしか無かった。

「そう言えば、スナイパーだけど…また取り逃がしてしまったらしい」
牛若さんがクロウとおそらく俺にも言った。

「…オキクはなんて言っていたんだい?」
「まあ、また後で詳しく聞こう」
「…、ねえ、牛若さん。もしかしてあのスナイパーって、知り合いだったの?」

牛若さんは少し黙り込んだ。

「うーん…。彼に話すべきだと思うかい?」
牛若さんはクロウに聞いた。
「やれやれ、ユーは初めからそのつもりだったんだろう?」
「まあ、そうだけど。もうすぐ着いちゃうし…」
「では、また日を改める、だろう?」

…この二人の会話は、少し変わっている。
クロウは牛若さんが、全てあらかじめ行動を決めている事を前提して話す。
牛若さんは決めていても、そうで無いように振る舞い、クロウに話掛ける。
何か、確認作業のような会話だった。
「と言うわけで、ユー達を、今度ミーの家に招待したいんだけど」

一瞬、どちらが話したか分からなかった。
「え、ああ」
俺は頷いた。今喋ったのは、どちらだったんだろう…?

「ミーはミーの部屋をこれから初めて見るんだ!」
クロウが嬉しそうにこちらを振り向いた。
「アハハ、探偵君達が来るまでに、ユーの部屋を完璧にしないとね。ユーと一緒に選ぼうと思って、まだベッドとカーテンくらいしか用意してないから…」

その後、俺たちは話し合って、日にちを決めた。
やけに静かだと思ったら、隣で灰原とアマテラスがスヤスヤ眠っていた。

疲れて眠ってしまった灰原を先に送り届け、俺は事務所の前に戻って来た。

「ありがとうございます、牛若さん」
先に帰っていた蘭が、車に気がつき出迎えた。
「ただいま、蘭姉ちゃん。ありがとう、牛若さん!」
コナンの挨拶をする。
「アハハ。コナン君。じゃあまたね」
彼等は去って行った。
クロウが後ろを向いてニコニコと手を振っていた。

「さ、入ろう」
蘭が言った。車は見えなくなっていた。
「ねえ、聞いてくれる?園子ったら…」
階段を上りながら、蘭がニコニコと向こうの車の様子を語る。

俺は相づちを打ちながら。
何か、大きな事件の気配を感じていた…。

〈おわり〉


■ ■ ■
《後書きという名の仮面説明》


仮面の青年はオキクルミという名前で大神の登場人物です。
名前がすごく浮くのであまり出番が作れませんでした。
彼は次回があるなら、またこんな感じで。

黒髪ロングのワイルド系です。
多分クールなイケメン?

服装描写が入れられなかった…。
まあ、いつもの紺色の半袖Tシャツに、カーゴパンツとかでイイです。
靴はお好みで。(なんかごっついエンジニアとか履いてそう)

ウシワカもそうですが服は適当です。
でも、せっかくなので毎回違う服着せようと思います。
私のセンスじゃ…ですが。イケメンとスタイルでカバー出来るはず!
蘭や園子の服も何か書けば良かったな…。灰原さんも!
あ。車は何か高級車で。

ちなみにウシワカは週2か週3で来ます。
昼と晩のご飯を作ってお掃除とかします。はっきり言って暇つぶし。
いつの間にか居て、いつの間にか消えているスーパー家政夫。
もしかして土日祝だけ?あまり深く考えてません。
妃さんと知り合いなのは一応本当です。結構先でその描写が出て来ます。


そんな感じでグダグダですが、閲覧ありがとうございました!

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