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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■大神とコナン番外編 ① 【クロスオーバー】【二次創作】 【小説】

大神とコナンのまさかのクロスオーバーの番外編です。まじ快斗のメンバーと家具屋さんへ行くだけです。すいません白馬は今回お休みです。死神がいないので事件は起こりません。ウシワカとクロウの家の描写を本編に入れるのが大変かな、と思ったので番外編にしました。※無意味なファッションチェックが多いのは毎回のことです。

 

予備知識…まじ快(まじっく快斗)ってなに?コナンでいう敵役、怪盗KIDが主役の作品。KIDの正体は実は黒羽快斗という高校生。コナンと違ってコメディテイスト。相当前の作品だけど、今でもたまに新しい話が出る。最近はシリアスぎみ。

 

一応人物紹介。

【本文字数 12965文字】

黒羽快斗(くろば かいと)

…江古田高校在学中。制服は学ラン。顔は新一にクリソツ。父の遺志を継いで?怪盗やってることは青子にも秘密。母親は知ってる。IQは400。マジックはプロ並み。

お魚がものすごく苦手。見るのもダメ。部屋には亡き父、盗一(とういち)の等身大ポスター(額縁付)がある。絶対ファザコン。甘い物が好き。

寺井黄之助(じい こうのすけ)

…じいちゃん。先代KID(盗一)の付き人だった。快斗を色々助けてくれる。確か60歳だった気がするけど、…昨年の映画は年齢がおかしい?まあ、内容最高だったので別にいいや。設定が変わるって、良くある事ですしね!

中森青子(なかもり あおこ)

…快斗の幼馴染み。新一の幼ななじみの蘭に雰囲気が似ているが、性格、容姿は蘭より少し子供っぽい。

父の中森銀三(ぎんぞう)はKIDを長年追い続けている刑事。母親は出た記憶が無いなぁ。父子家庭なのかな。

小泉紅子(こいずみ あかこ)

…黒髪長髪、赤い目の魔女。男性が全て惚れるほどの超美人。原作では快斗が好きだけど、この二次創作では白馬と少し良い感じ。実はつきあってる?青山先生の作品は絶対に幼馴染みが勝つので、彼女のお相手は間違いなく白馬。『原作よりも少し進んだ人間関係』がこのシリーズのコンセプトです。

白馬探(はくば さぐる)

…ロンドン帰りの名探偵。イギリス人とのハーフ。初期はホームズのコスプレしてた。でも最近はしてないなぁ。父は警視総監だっけ?怪盗KIDのライバル。KIDの正体が快斗だと気がついているというか確信気味というか。なんだかんだで快斗とは仲良い?今回は出番無し。家はお金持ち。ばあやが二人いる。

 

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※注意

ゲームの大神とコナンのクロスオーバー設定話の、番外編です。

クロスオーバーものが苦手な方は回れ右。二次創作が苦手な方も回れ右。

今回はおまけみたいな物なので事件が起こりません。

多分ウシワカ達はこんなマンションに住んでますというアホ説明です。

無駄に室内描写があります。(かなり削りました…)

ナレーションはコナンじゃないです。快斗が担当。

って言うか今回はコナンはお休みです。

きっと前回で疲れて寝てるんでしょう…。

〈この話の雑筋〉

快斗さん見過ぎ。

 

〈大神からの人物〉

ウシワカ…大神の変人枠。イズヒア

クロウ…天使。

アマテラス…今回出番無し。

※ウシワカはKIDさんみたいにゲスト効果でシリアス化…。

 超グダグダです。よろしければどうぞ

 

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大神とコナン番外編 ①

 

その日、俺は『パリの太陽はいっぱいいっぱい』と言う宝石を例によって盗み出した。

 


「まあ、そうだよなぁ…」
一応、適当な建物のバルコニーを借りて、月の光にかざしてみたが当然ハズレだった。
さて、返しに行こうか。


しかし、でかいマンションだな…。

一体どんな人間が住んで居るのだろうと振り返ってふと見ると、そこに金髪の子供が居た。
「ユー、もしかして冷凍キッドかい?」
「…」
俺は脱力した。
…まあ、子供はこんなモンだ。

「やれやれ、この國の人達は、忙しいね。おっと、こんな事している場合じゃ無かった!」
子供はニコニコと微笑んだ。

「ミーは今から牛若と一緒に寝るんだ!そうだ。少しミーの話を聞いてくれるかい?」

忙しいと言った割には、その子供は俺に向かってしゃべり出した。
「何でしょう?」
ポーカーフェイスで俺は言った。

少しめんどくさいと思ったが、今日は追っ手もまだ来ないし…ハズレの後の気分を紛らわせるには丁度良いかもしれない。

…キッド様の気まぐれなサービスだ。

「ミーは今日初めてミーの部屋を見たんだ!ほら、ここだよ」
そう言って、カーテンの半分開いた部屋を見せ、俺を中に連れ込もうとした。
「土足では失礼…」
俺が言うと。
「おや、ユーは冷凍の割に礼儀正しいね」
「怪盗です」
「アハハ、ソーリィ、ソーリィ!街道キッド。この部屋を見てくれるかい?」
…まあ、子供で外人なら仕方無いか。
部屋を自慢したいのだろうか?俺はつられてベランダから中を覗き込んだ。
しかし。

「…何もありませんね」

ピンクのカーテンがあって、白いベッドがあって。トランクが置いてある。
…それだけだった。
絨毯も布団も無い。
「イエス!いくら明日買いに行くからって、ミーの布団くらいは用意をすべきだと思わないかい?」
「酷い親ですね」
そう言って、あ、怒るか?と思ったが。
「全くだ。ミーはいつも彼にはうんざりさせられているんだ」
その子供はコクコクと同意した。

そして、ひたすらブツブツと何事かを勝手にしゃべり続ける。

「あ、あの、そろそろ私は…」
俺は口を挟んだ。
「ああ。つい話し込んでしまったね」

そして、その子供はふと空を見て、本当に嬉しそうに笑った。
「でも、ミーは知ってる…。牛若はうっかりしたフリをして本当はミー達に会えたのが嬉しくて、皆で一緒に眠りたかっただけなんだってね。そう言えば良いのに、回りくどいのは彼のアブナイところだね!」

牛若?というのは、この子供の父親だろうか…。
…遠くで、準備は出来たかい?もう寝るよ、と呼ぶ声がする。
子供が今行くよ!と明るく言った。

去り際、子供は笑って。
「フフ。ミーは早く命の石が見つかる事を祈っているよ!」
グッナイ!と手を振って去って行った。

「…」
思わず手を振り返してしまった俺は、はっと我に返った。
ちょっ、え!?…何なんだ!?あのガキは…。

その後ため息を付いた。
そして苦笑する。
ま、あのくらいの子供ならここに住むのは丁度良いかもな。

まあ、もう会う事も無いだろう…。
俺は宝石を返す為にハンググライダーで飛び立った。

しかし世の中には運命の、いや魔女の悪戯という物があるのだ…。


■ ■ ■


「快斗ー、青子ちゃんが来たわよ」
日曜の昼少し前。珍しく家に居たお袋が俺を呼んだ。
「なんぁ?」
俺は昨日のハードスケジュールや夜更かしがたたり、眠い目を擦って階段を下りていった。

「ねぇ、快斗、今日暇でしょう?青子の買い物につきあってよ」
「ハァ?一人で行けよ」
「青子一人で行ってもつまらないもん。恵子はダメだったし。あ、白馬君を誘おうかな…でも」
うーん、と悩んでいる。
っつか、何でそこで白馬のバカが出るんだ。
「後でケーキとパフェおごってあげるから、お願い!」
青子が手を前でバチンと合わせて頼む。
「ふぁ、…わぁったよ」
俺はあくびをしながら答える。まあ、昼まで寝たし。そろそろ動くか。

俺は昼飯兼朝飯を食べ。適当に髪を直して服を着替えて、玄関に迎えに来た青子と歩き出した。こちらへ行くと言うことは電車か。
「家具買うのか?」
俺は聞いた。
「そう、よく分かったわね」
「お前、この間言ってただろ。椅子のネジが壊れたって」
「そうなの。ずっと直して使ってたんだけど、もういいかなって」
青子が笑って言った。
俺も知っているがあの椅子はもう限界だ。
「素敵なインテリアも見たいなぁ!ライトとか」
青子はうきうきしている。
っとに、いつまでたっても、コイツはガキっぽいんだからよ…。

青子は今日、茶色のコートに中はおそらくこの間買った青いワンピース…すそに同じ生地でフリルが付いていてハイウエストで切り替えがしてあって、胸の下をリボンで結ぶタイプの物を着ているはずだ。インナーはぴったりとした黒のハイネック。その上にシンプルだが可愛いネックレスをしている。靴下は青のハイソックス…まあ無難だな。だがコレは少々値の張る人気ブランドの物だ。凝った編み目の模様に特徴がある。靴はキャメル色のヒールが少しあるトラッドシューズ…。髪は左耳の上にワンポイントで赤い飾り石の付いたピンを付けている。(このピンはおそらく紅子が選んだ物だ)ハイネックなのでマフラーは今は付けていない。だがおそらく鞄の中にクリーム色で薄手の物が入っているだろう。

…まあ、青子にしては中々なんじゃねぇか?

そうそう、ちなみに今日の下着はまず間違い無く…って、なんで俺はこんな真剣になってんだ…探偵じゃあるまいし。…アホらし…。

「そう言えば…何か今日ラッキーな事があるって、紅子ちゃんが言ってた!」
青子が電車の中で、突然思い出した様に言った。
「ハァ?」
「彼女の占いよ。日曜に運命を揺るがすラッキーな出会いがあるかも!ですって」
「アホ草」
俺はそっぽを向いた。実は俺も占いは信じる方だが、まあ。ソレは置いておく。
「なによ快斗、せっかく快斗も誘ってあげたのに」
「ハァ?何言ってんだ…」

まあ、お人好しの青子の事だ。俺もそのラッキーに預からせようと思ったのかも知れない。

「…アレ?」
あの人だかりの中心にいる目立つ女は…。

「あら?中森さん!…に黒羽君じゃないの」
俺たちは駅の改札を出たところで、紅子に出くわした。
しかし、彼女は何か気がそぞろでキョロキョロしている。
「わぁ!紅子ちゃん、今日の服、すっごく可愛い!」
青子が言った。
紅子は今日、薄ピンクのAラインロングコートに白のマフラー、エンジ色のタイツに、リボンが付いた濃い茶色の編み上げショートブーツ。さらには白くて小さめの可愛いバックという、彼女らしく無い格好だった。
耳の前に垂らした髪はいつも通りだが、左右の髪は赤いリボンでくくって編み込んで後ろでまとめバレッタで…よく分からないがとにかく手を入れてある。耳には白いイヤリング。

…青子が着たら子供っぽすぎて浮いてしまうだろうが、中身が紅子なので適度に清楚で品がある。

「お、可愛い…!」「どこの子だ?あの子」
「黒髪ロング最高…!」「踏まれたい…!」
さっきから俺以外の周りの男が一人残らず彼女を見つめている。

「そ、そう?おかしくないかしら…?」
紅子が珍しく照れて言った。
「うん、明るい色も凄く似合う。もしかして、デート?あ、…白馬君?」
青子が最後の方は声を潜めた。
「ち、違いますわ、今日は彼じゃ」
「あれ??紅子ちゃんって前に白馬君と出かけた事あったの?」
青子が首を傾げて無邪気に言う。…コイツの無意識は恐ろしい。
「えっ、えーと。ほほほ、どちらも中森さんの勘違いよ。ほほほ。今、知り合いの方と待ち合わせをしているの!」
紅子は何とかいつもの調子で言った。
「あれ?そうだったの。ごめんなさい」
青子がペコとあっさり謝る。
「いいの、あなたたちの目的は…そこの大きな家具屋さん?」
「うん。椅子を買いに。快斗はおまけ」
「…実はね、私も…」
紅子がそう言った時、周りがざわついた。

何か、やたら目立つ人物が俺たちの方へ向かって来た。

「本当にソーリィ、遅くなってしまったみたいだ」
その人物は、少し早足で近づいてきて、やや堅く微笑み、紅子にしっかり謝った。

金髪で長髪。そんな男を見たのは始めてだ。
…透き通るような肌というのは、こういうことを言うのか。
黒の細身でダブルのジャケットコートにダメージっぽく色を抜いたジーンズを履き、ウエスタン風のショート丈ブーツを合わせて…(以下略)っと。

まあ、街で見かけるごく普通の格好のはずだが…。
周りの人達が反射的にびびって目を背けている。
しかし皆、その後でサワサワと浮き立ちながら何度もチラ見している。

…コイツこんなに意味も無くイケメンで一体どうすんだ?
ついいつもの癖で観察していた俺は呆れた。

「い、いえ…!時間通りですゎ」
紅子はと言うと…。…今のマジで紅子のセリフか?
…げっ、何かモジモジして赤くなってやがる!
「そちらは?ユーのフレンズかい?」
驚く俺たちに気がついたその人物が、こちらに顔を向けた。

「…!」
…俺はこの人物を間近で見てかなり驚いた。全く動きに隙が無い。
マジックのトリックが使えないタイプの珍しい人間だ…。
足運びも異様に静かだし、おそらく何か武術でもやっているのだろうか。
しかし、確実に初対面だが、やたらと最近どこかで会ったような気がするのだが…。

「ヤレヤレ…だから一時間早く出ようって言ったのに、ユーはレディを分かっていないね」
俺の足元で金髪でおかっぱの、親にそっくりな子供が言った。

小さいので目に入らなかったが、いつの間にかこの子供も歩いて来ていたようだった。
…?あれ?

げっ!!このガキ!!昨夜のガキじゃねぇか!

「わぁあーーっ!!可愛いーーっ!!」
ポーカーフェイスに勤める俺を余所に、青子がそのガキに飛びつく。
ぬいぐるみのように持ち上げて抱きしめる。

「おお、ユーは情熱的だね!ミーはクロウ…!キュートなお嬢さん、ユーのネームは?」
「私、中森青子!よろしくね!」
早速、自己紹介をしている。行動が早いというか、マセガキというか…。青子もまだ紅子の知り合いと決まった訳でも無いのによ…。

俺は紅子とにこやかに話す人物を見た。…昨日のガキの親父だったのか。

しかし、この親子の外見は似すぎている。顔だけじゃない。光彩のパターンが全く同じだ。
…、調べたら色々まずい事が出て来そうだな。ま、俺には関係無いか…。

一方で紅子は。
「牛若さん、お待ちしておりましたわ。ほほほ。私も今来た所ですの」
さっきまでのモジモジが嘘のように、いつも通りにその男に話掛けている。

まあ、紅子は一時間早く来たんだろうな…。

「今日はお誘いサンキュー!」
「ええ。あの、今日はあの方達は…」
少し言いにくそうに言った。

「ああ、今日はアマテラス君達は居ないよ。もう一人と遊びに行った」
「、そうですか…。では、友人達をご紹介しますわ」

紅子は明らかにほっとした様子だった。…天照?それはこの国では神様の名前として有名だが…。紅子の反応を見るに、何か魔法的にまずい人物なのだろうか?
俺は後で調べるつもりで、一応記憶に留めた。

「中森さん、黒羽君、こちらは凄腕の陰陽師の牛若さんですわ!こちらはクロウさん」
紅子が堂々と、なんだか自慢げに言う。
「「…おんみょうじ?」」
俺と青子の声が被った。

…うさんくせぇ。

「あの陰陽師って、結界はったり、妖怪倒したり、占いとかする人ですか?」
青子は聞いた。
「そう。よく知ってるね」
その人はニコ、と微笑んだ。
「私、中森青子です!」
青子が手を出しお互いに握手をする。
…青子のこういう人見知りしない所は、なかなか偉いと思う。
「ミーは牛若。よろしく、フフフ、ユーを青子、って呼んで大丈夫かい?」
「はい!」
青子はにっこり笑った。…俺は少し面白くないが。
「ユー、お腹でも痛いのかい?」
いつもと違う格好の紅子にハートを出して挨拶をしていたガキが言った。
「アハハ。ソーリィ、ボーイ。じゃあミス中森で」
…まあ、どう呼ぼうと俺には関係無いけどな。
「黒羽快斗です」
俺も適当に自己紹介をした。

それから俺たちは、成り行きでこの目立つ人達と家具屋に向かった。
青子はクロウと手を繋いで歩いている。
「へぇー!昨日こっちに来たの?」
「イエス。ユーのようなキュートなガールに会えてミーは感激です」
「青子はお子様なだけだろ」
「なによー、バ快斗。いいもん、青子はクロウ君と一緒に見るから」
「おお!それは光栄です」

…マセガキはからし色のコートに緑のフレアキュロット、黒タイツにウエスタンブーツ。小さなピンクのバックを肩から下げている。ウサギを模した長い白色のマフラーを付けていた。手袋とおそろいのようだ。
「アハハ。面白いガールだ」
そう言ったその人、今は紅子と俺の間に居る牛若さんと言う人が朗らかに言った。
…ひとまず悪人では無さそうだ。
「ユーはミスタークロバ?快斗?」
「快斗です」
目線や雰囲気が…うさんくさいが。
というか…この人の目に見られると何か落ち着かない。
そう、紅子のように何か心を見透かされる気がするのだ。…俺がやましい事を持っているからかも知れないが…。

「アハハ、じゃあ快斗。後で何かスウィーツをごちそうするよ」
「あ、ありがとうございます…!」

俺は、何だかドギマギした。この強引さは、死んだ親父に少し似ているかも知れない…。


■ ■ ■


「へぇ、あのマンションに住んでるんですか」

俺は言った。彼はどうやら金持ちらしい。まあ。昨日行ったばかりだったけどな。
「わぁ、凄いですね。上の方って揺れないんですか?」
青子は感心している。
「ああ、ミー達は適当な高さに住んでるからかなぁ?大丈夫だよ。この國の建築技術の水準はなかなかだね」
それにしては、どうしてこんな普通の所に家具を買いに来たのだろう。
あそこは下手したら二億はする。家具も特注にしそうな物だが…。

「フゥ…牛若はまったく、インテリアに凝り過ぎだよ」
と、マセガキことクロウがため息を付いた。

クロウが俺たちに言った。
「ミーは昨日、ミーの部屋を初めて見たんだけど、ホントに何にも、布団すら用意してなかったんだ。何でって聞いたら、どのクリエィターに頼むかミーの意見を聞きたいから、そのままにしておいたって言うんだ。いわゆるオタクだね」
「はぁ…なるほどな」
俺は納得したがかなり呆れた。
青子はへぇー、と感心している。

「前から、紅子とここに来る約束はしてたから。ついでにクロウのインテリアを見ることにしたんだ。…クロウは無駄な贅沢は必要無いって言うし…。良ければユー達の意見も聞かせてくれるかい?」
牛若さんはにっこり笑って言った。
「ええ」
どうせもう入り口まで来たし、断る理由も無い。
この店は八階建てで、インテリアが全てそろうと言う触れ込みだった。
…青子の目的の椅子の所に行くまで、かなり掛かりそうだ。
「わぁ、楽しそう」
青子もうきうきしている。他人の買い物、しかも子供部屋ほぼ丸ごと。
青子に限らず女はこういうことは好きだろう。
体力が要りそうだが、明日は祝日で学校は休みだ。

「まあ、ユーの部屋だしユーに任せるから…」
牛若さんは言った。少し心配そうだ。
「フフフ…牛若。ミーのグレイトなセンスを舐めて貰っては困るね」
クロウは不敵に笑った。

ソレからクロウは俺たちの意見も取り入れつつ、絨毯、ラグ、タンス、洋服掛け、布団、細かい雑貨…まさに金に糸目を付けずにそろえまくった。しかしクロウは余分な物は買っていないし、気に入った物が無い場合は止めていた。
むしろ。
「あ、このクッションどうかなぁ?…え、ノー?じゃあこっちの花瓶とか!ユーの部屋に置いたら可愛いね。え、要らないのかい?うーん…じゃあミーの分ってことで」
牛若さんの方がフラフラと目移りしている。
「あら。コレはどうかしら?ほほほ」
紅子が骸骨を模したペン立てを見せて言った。
「うーん、ミーはもっとキュートなのが良いかな…」
しかし、このクロウ、男のくせにピンクや白ばかり選ぶ。今まで選んだ物の大半が女の子用だ。
ちなみに俺はあちこちフラフラする牛若さんの代わりに細かい物が詰まったカートを押している。送ってもらえる物は送って貰い、帰りはタクシーを使うらしい。

エレベーターを使い、ようやく五階に来た。ここは机や椅子の売場だ。
丁度出たところに子供机のコーナーがあった。
「これ、かわいい!」
「こっちはどうかしら?」
「へぇ、沢山あるね」
「うーん…」
「うーん…」
少し時間を掛け。長く使えそうなシンプルかつ可愛い白い机や本棚を皆で選んだ。

「さて、お礼にミーがユーの椅子も見てあげるよ。どんな物が良いんだい?」
「えっと、青子はね!」
青子はすっかりクロウと打ち解けたようだ。どちらが子供か分からない。

「快斗はどっちが良いと思う?どっちも可愛いの」
しばらく後、候補を二つに絞った青子に聞かれた。
「…まあ、青子の部屋にはこっちだな。座りやすそうだし」
聞かれたので俺は答えた。
「ホント?じゃあ、これに決めた!良かった、新しいのがある」
青子もそれが良かったようで、笑って在庫カードを取った。
「でかいから送ってもらえよ」
「うん」
青子は頷いた。

「まあ、こんな所かな。そろそろこの階の物を精算して、ちょっと休憩しょうか」
牛若さんが言った。
時刻は三時を少し過ぎていた。
目的が子供用の物だけだから、思ったよりは時間が掛からなかった。
「ミーはハングリーだよ。牛若!アンダーグラウンドなスウィーツ食べよう!」
この建物の地下には幾つかのお店が入っている。

青子が椅子の精算を済ませ。牛若さんも残りを全て買った。
「結構荷物は少ないね」
クロウが余計な物を買わなかったので、最終的に、紙袋二つを持ち帰る事になった。
「ああ、楽しかった!」
青子は嬉しそうだ。紅子も満足そうだ。
皆でワイワイとエスカレーターに乗る。
…こうしていると、家族みたいかもな。まあ、全然似てないけど。
牛若さんといるせいか、いつもと格好が違うせいか紅子も今日は年相応に見える。

その後、俺達は地下で甘い物を食べた。
クロウは当然としても、牛若さんもケーキと紅茶を頼んでいた。どうやら嗜好も似ているらしい。
「あ、そうだコレ」
そう言って牛若さんが取り出したのは名刺だった。
「フフ、妖怪や幽霊に祟られたら祓ってあげるよ」
「わぁ!ありがとうございます!」
青子は嬉しそうにしている。コレで青子の人生から妖怪と幽霊に対する心配が消えた。

…まあ、そんなモンいる訳ねぇだろ…。俺はうろんな目をしつつ一応、礼を言って受け取った。

ふと、俺は思い立って、クロウにポンと花束を出してやった。
「ほら。コレやるぜ」
コレはこの店の生花コーナーで見繕ったものだ。牛若さんがさっき買った花瓶もあるし大丈夫だろう。
「おお!ユーももしかしてウイッチなのかい?ミーに教えて!」
クロウが反応する。やはり、女をくどく?為のスキルには興味があるようだ。
牛若さんもちょっとびっくりしている。
「快斗はマジックが上手なんです」
「へぇ。凄いね!」
「牛若さん、この後ですが…」
「ああ、それが良い」
俺がクロウをグリグリともて遊んでいる間に何かの話がまとまった。


■ ■ ■


「すっげぇ…」
俺はあのマンションのリビングから外の景色を眺めた。

あの後、牛若さんに『良かったらミーの家で夕食でもどう?』と誘われたのだ。
紅子は、牛若さんの部屋を見せて貰う約束をしていたらしい。

ん?もしかして紅子は、一人じゃ緊張するから俺たちを巻き込んだのか?

「お、おまねき感謝致しますわ。ほほほ」
…いつも通りに見えなくも無いが、まあ当たっているだろう。
…魔女ねぇ…。

「うわぁ!窓、おっきい。柱が無い!」
「夜景が綺麗でしょうね…ああ」
青子も紅子もびっくりしている。いや、紅子はうっとりか。
「とりあえずこの花を生けようか」
「イエス!」
牛若さんは俺が渡した花束を、買ってきた花瓶に生けていた。

それにしても、かなり広い。
ワンフロアだと思ったら…リビングを入って直ぐに階段があった。
なんと上の階の一部も買ったのだという。
「そのうち人が増えるかも知れないから、二、三世帯用?まだ上は買っただけで、ほとんど手を入れて無いけど」
色々部屋を見せて貰った。やたらと部屋が多い。しかも、片付いている。
クロウの部屋はやはり何も無かった。

「ここはミーのオフィス。隣のメインベッドルームからもつながってる」
そう言って、リビングから続く扉を開けると、そこは広めの書斎だった。
「わぁ、ここも景色が良いですね」
青子が言った。

全体的に落ち着いた感じだ…。結構広い。
名探偵の家の書斎に近代さをプラスしたと言った感じか。

部屋の中心に大きめの木のデスクがある。木肌は明るめだ。
椅子は背もたれが肩くらいまでのシンプルな物で、座り心地が良さそうな物だ。
赤い布張りで、肘掛けは左のみだった。

この様子だと、確かにここで仕事をするらしい。パソコンもノートが何台か在るし、株でもやっているのかもしれない。
…それにしては繋ぎっぱなしにしていないのがやや不思議だな。
あれ?机の片隅に鍵付きのフタがある。少し気になる…。まあ、金庫とかかもしれない。

机の真向かいには黒い皮張りのソファーがあって、窓では無く机の方に向いておいてある。その横には一つソファーとおそろいの丸いスツールがある。
「ここはアマテラス君のお気に入りだよ」

牛若さんがソファーを指して言った。
「あまてらす君?」
青子が不思議そうにする。その名前が出るのは本日二度目だが、青子は駅前では聞いていなかった。
「ああ…!ぐぇ」
「ミー達のマザーで、ドッグだよ。今日はオキクと散歩に行ってる」
クロウが何か言いかけた牛若さんを押しとどめてニコニコと言った。

…なるほど犬か。しかしマザーとはどういうことだ?

まあ気分的な物かもしれない。家を見ても、この人はおそらく独身だろう。女物の靴とか小物とかマジで一切無いし。…って事はバツイチか?他に考えられるのは、クロウを産んだ母親は早逝したとかか。
俺はクロウを見た。
「ガール達、この小さい方の椅子がミーのフレンドのお気に入りなんだよ!」
「ああ、チビテラスさんの…」
「子犬さんなの?青子も会ってみたいな」
女好きのクロウの様子から考えても、オキクというのは男の同居人のようだし。
そしてクロウは健気にも犬を母親代わりに…というと何か違う気もするが。

いや、あともう一つ可能性が有るのは…、まあ。
俺は一瞬浮かんだ恐ろしい可能性を振り払った。…まあ、恋愛は個人の自由だ。

「…快斗?なに凄い微妙な顔してるのー?」
「青子、ちょっと黙ってろ」
今俺は真剣なんだ。
「フ、フフフッ、アハハハッ!」
いきなり牛若さんが笑い出したので俺は驚いた。
どうやら考えて居た事が顔に出ていたらしい。…ハズレだったようだ。

「あ、あの、本を見てもいいですか?」
俺は気まずさをごまかすために言った。顔がやたら熱い。
「アハ、オーケー、好きに見ていいよ。フ、ハハ」
牛若さんはまだ少し笑っている。
「ありがとうございます」

壁にびっしり詰まっている本を何となく観察する。

…俺はその蔵書の深さと多彩さに驚いた。全体的に工学系の本が多い。
「へぇ…」
感心する俺に、牛若さんが話しかけて来た。
「この國は面白い本が多いから、上の階は殆ど本置き場になってしまってね。もう最近は買わずにデータにしてる」
牛若さんが苦笑した。俺も実はデータ派だ。一度読めば頭に入るので十分だし。
「あ、この本」
俺は一冊の分厚い洋書に目を留めた。探していたのだ。
「良かったらリビングで。何なら持って帰っても良いし」
牛若さんはそう言ってくれた。まあ、俺もこのくらいなら直ぐ読める。
「じゃあ、読ませて貰います」
「難しそうだけど、快斗、分かるの?」
青子が言った。
「うるせー、雰囲気で読むんだよ」
俺は適当にからかった。

それから牛若さんが料理を作る間、俺たちは飲み物を貰い…出されたのは日本茶とちょっとした和菓子だった。リビングのソファーでテレビを見たり、本を読んだり、クロウに簡単なマジックを教えたりしてくつろいだ。

青子と紅子は、牛若さんについてのたわいもないおしゃべりをしていた。
初めは豪華過ぎてくつろげるのか?と思ったが、意外とすぐ慣れた。

「このリビングは広すぎだと思わないかい?フフフ!」
とか言いつつ、クロウが床のラグでごろごろしているし。
何というか、豪華で清潔だがアットホームな雰囲気もある。この人は本気の建築オタクかも知れない。

「フフフ、もうそろそろ出来るよ」
読み終えた本を返しに行った後、リビングに戻ると、牛若さんが言った。クロウがコップや食器を運んでいた。

その後、皆で相当美味しい夕飯を頂いた。
「ほほほ」
紅子は終始ご機嫌だ。
「凄くおいしいです!」
青子も嬉しそうに笑っている。
「牛若はたまに、とある探偵宅の家政夫もやっているんだ。おや、今日は行かないのかい?」
クロウがニコニコと言った。
「昨日と今日はお休みで、明日は行くよ。あと来週の土日も。食事はオキクに頼んでおくから」

まさか、白馬の家か?いや、ンなわけねぇか。あそこは専属がいるし。となると…。
この辺りは米花に近いが…いや、これ以上考えるのはやめだ…。

「今日はごちそう様でした」
その後、俺と青子は牛若さんに駅までで良いと言って、そこまで送って貰った。
「ごきげんよう、黒羽君、中森さん。今日はとても楽しかったですわ。ほほほ」
紅子の家は駅から離れているので、紅子は家まで送って貰うらしい。
「じゃあ、シーユー」
牛若さんはそう言って去って行った。


「すっごいお家だったね!青子もいつかあんなお家に住んでみたいなぁー」
江古田駅からの帰り道。青子はとても嬉しそうにしていた。
あー、お掃除が大変かな?でもピンクのルンバがあったよね!とかニコニコ呟いている。
「あ、ああ…」
思わず俺も同意した。
顔が熱いのは、きっと気のせいだ。

…将来は稼ぐか。


■ ■ ■


…と、まぁ。それがしばらく前の事。
俺からすれば、まるで別世界の住人だし今度こそ、もう会うこともないだろうと思っていた。
しかし。

俺はその日、とある地方の美術館に来ていた。
ここでは今、ビックジュエルが展示されている。
さて下見下見っと!
警備は…おお、地方にしてはなかなか厳重じゃねぇか?

「へぇ、コレがビックジュエルか。確かに大きいね」
「じゅるり」
「アマテラス君、ヨダレ」
「レディへのプレゼントには丁度良い大きさだね!」
「キャン!」

…きっと今のは俺の見間違いだな。
さあ、閉館後、日が暮れたら仕事だ!今日も真面目に頑張ろう。

「ははは!宝石は頂いた!…では、中森警部☆」
「まてーー!!キッド!!」
俺はこんな地方までわざわざ来てくれた愛しの中森警部に、投げキス付きの挨拶をしてポンと消えた。
警備の目をすり抜けて、ひらりと屋上にやって来た。ははっ楽勝楽勝っと!
さあ、さっさと帰らないと。ここは遠かったので夜通しハンググライダーで飛んで行くしか無い。終電も終わってるし。明日はまた学校だし…。
「はぁ…」
俺はため息を付いた。昼に予告してもいいが、月がないとなぁ…。
昼間にいきなり月が出せたらいいのによ…ま、そんな事は神様でも無いと不可能か。

さて。確認確認。この屋上からは月がよく見える。
今回の宝石は、世にも珍しいオレンジ色の宝石だ。
「どれどれ……あー」
残念。またハズレだ。

「わぅぅぅぅ!」
「あっ、そっち行ったよ!」

…何か、屋上が騒がしい。
ドカとかバキとかズシャ!とか。何か戦っている様な音がする。

「ヤレヤレ、ユーはツメが甘いね」
「キャン!」
「サンキュー、クロウ。アハハ」

「…」
俺は給水タンクの影からその様子を伺った。

うん。白い狼だ。
あの後ネットで『牛若 陰陽師』で調べたが何も出なかった。
しかし、『アマテラス君 犬 可愛いは正義』で調べたら山ほど写真や情報が出て来た。

「あっ!ユー後ろ!!」
突然、屋上に居た見覚えの無い人が俺に向かって叫んだ。
俺はとっさに振り返った!

「うぎゃぁあああああーーーっ!!!????」
振り返った俺は思わず叫んだ。

そこに居たのは、巨大で白い着物を着た空飛ぶ金魚が四匹!!!悪夢だ!!
「ひっヒィィィィィーーー!!!」
その『死出の羽衣 出目金魚』共は俺に襲いかかってきた!俺は死を覚悟した!
ごめん親父!!こりゃ無理だ!!

「グゥゥゥゥ!!!」
その時、狼が躍り出て、なにやら金魚に飛びかかった。
ザシュゥッ!!
と何かで、飛んでいた金魚達をたたき切る。
「アハハ。アマテラス君、ナイス!」
『ギシャァアアアーーーーーー!』
地面に叩き付けられた金魚たちは、なすすべも無く見覚えの無い人達にたこ殴りにされた。
いいぞもっとやれ!!俺は今の状況を一時忘れ、物陰から応援した。

「ふう。ソーリィ、仕事の邪魔をしてしまったね」
恐ろしい化け物を片付けた後、その見覚えの無い人物が言った。
…俺はこんな人物は全く知らない。何か変な着物を着ているし。高下駄を履いているし。
よし…ポーカーフェイスだ。
「どなたか存じませんが…助けていただいたようで」
気障にお礼をした。

「ああ、ユーは魚が駄目って言ってたから、一応助けに来たんだよ。名刺あげたしね」

じゃあ、シーユー、と言ってそれぞれ狼と子犬を抱え上げると、その人達は…そう。
シャラシャラと光の足跡を残し、近くのビルを足がかりにして素早く飛んで行った。

「チートすぎだろ…」
俺はタダ一人屋上で呟いた…。

〈おわり〉

 

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