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絵、時々文章なブログ(姉)

sungenのブログです。pixivデータ(主に文章)の保管用ブログ。オリジナルイラスト、小説がメイン。


sungen(pixiv genペア)のブログです。


アート、デザイン、漫画、イラスト、小説について語ったり、作品をアップロードしたりします。
漫画、絵、文章を書きます。二次創作は大神。
長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■始まったあの日、止まった時の中で ~新章~ ③私の、新しい日常【オリジナル小説】

永らく止まったままでしたが、この度続きを少し書くことにしました。

…コトちゃんの日常が少し動き始めます。不定期更新で、半年に一回くらいあれば良い方だと思います。逆にネタが浮かんだらとても続いたり、どうなるか分かりません。

…コトちゃんは一体誰?美琴、それとも真琴?…あるいは――?誰とカップルになるの?…さあどうでしょう?(考えてない)

※小説はカクヨム先行公開にしてましたが、まあ別にいいかなと言う事でこれからまたブログと同時に出します。詳しくは次の記事で。第1話~第4話③までカクヨムにあります。第4話がまとまったら、つなげてブログにアップします。

始まったあの日、止まった時の中で(sungen) - カクヨム

 

20160224220617

■始まったあの日、止まった時の中で

 

世界は止まっている。


あの日から、この世界はずっと止まったままなの。

 

 

私の、新しい日常

 



―今は夕暮れ少し前―
映画を見たから、かなり時間が経っている。
止まったまま――、時が止まっているのは、人間たち。
季節や時間はただただ巡る。


朝日はブルーとイエロー。
昼の光はピンクとスカイブルー。14時は白と黒。
夕暮れはオレンジとブラウンから深いブルー、夜は紫と黒、星は黄色。
…私はこの世界で、ただ日々を過ごす。


――私は「…コト」。
そう呼ばれている。


私はおかっぱで、あまり背は高くない。

グリーン系のブレザーで、リボンは赤とグレーのチェック。
リボンと同じチェック模様のスカートは丁度膝丈。
ブラウンの学生鞄を持って、えんじ色のハイソックスにローファー。

私は…自分の事に関する記憶がほとんど無い。
私は『大平美琴《おおひら みこと》』か『大平真琴《おおひら まこと》』…。双子の姉妹。美琴が姉で、真琴が妹。
たぶん、そのどちらかなんだろう。


「…コトちゃん、ごめんって」

私は今、駅からの止まった道を、家に向かって一人で歩いている…。
繁華街。人がいるけど、それは止まっている。
車があるけど、それも止まっていて…お店は試してみたけど入れない。
繁華街はまるで、どこか別の場所に色を置き忘れてきたみたい。

家は色があるのに。
けどその時によって、その場所によって。
この止まった世界で「私」は色が無いと感じる…。
家に居ても、今は止まっている、と思う時があるの。

周りが白黒に染まって――。今みたいに。


「…コトちゃん、待ってよ、だからごめん」

後ろから…同じ学校のブレザーを着た、背の高い男の人がついてくる。
髪型は、ビジュアル系バンドマンみたいな銀髪でチャラい。
少し切れ長の目は青い…。

この人は、私かもしれない『大平美琴』の彼氏、須磨|彰《アキラ》の名前を騙る謎の人。つまりニセモノ。

「…」
私はやっと立ち止まって、隣に来た須磨(偽)を見上げて、睨んだ。
――私の隣にこないで。
並ぶと、私はこの人のネクタイの真ん中あたりまでしかない。

「ゴメン、いきなりほっぺにキスしたの、怒った?」
須磨(偽)が困ったように言った。
「…」
プイっと。私は顔を背けた。

「怒って当然でしょう」
そして言った。

「君があんまり可愛くて、つい。うっかり。ごめんね本当に」
申し訳無さそうに、微笑んだ。
この人は、顔は良いんだけど、性格も多分、悪くないんだけど。
それなりに優しい気もするし。けど…かなりチャラい。

「…もうしないって誓うなら、許してあげる」
「しないしない。本当にごめんね」

「…」

…さっき、映画を見た私は、記憶の一部を思い出した。
そしたらいきなり…。ほっぺたに。
びっくりして、――思いっきり叩いてしまった。

「…痛くない?須磨(偽)さん」
少し心配になって、須磨君(偽)を見上げた。
「大丈夫。ほら、もう痕もないし、腫れてもないだろ?」
須磨君(偽)は笑って自分の顔を指さした。

―そんなに強く殴ってないけど。
くす、と私は笑った。

「あ、笑ったね」

仲直りと言うのかしら…?
私は、本当はかなり根に持っているけど…。
私達は歩き出した。

私はこの人と並んで歩くのが、ちょっと気恥ずかしくて…?少し前に出た。
「――けど、今日は楽しかった」

「佐奈(偽)にも会えたし…、これから、映画館に行けば彼に会えるの?」

「そうだね。…コトちゃん」
この人は私の事を。


たまに、『てんてんてんコトちゃん』と呼んでいる。


だから私はこの人が好き。
――、違う、訂正。好きじゃ無いわ。
それに普通に『コトちゃん』って呼ばれる時もあるし、すごく適当だもの。

「君の記憶が戻ったら、俺は…」

その人が、何かを言いかけた時。


しゅ、と何かが、足元を横切った。


道路から走ってきて、私と須磨(偽)の間を。

「えっ?」
私はそれを目で追った。ピンクのウサギ?
それはあっと言う間に、左手の路地に入って行った。

「…えっ?何あれ」
私は急いで路地をのぞき込んだ。ちょうど塀を登って見えなくなるところだった。
「…あれは、ワラモビ…じゃなくて、そう、メーナ。そうか、現れたんだな」
いきなり須磨(偽)が話し出した。

あれは『ワラモビ』という動物だったみたい。

もう遠くに行ってしまったけど、ウサギみたいな長い耳の、
ワラビーとか、そんな感じの…?フサフサした抱き心地の良さそうな小動物だった。
そういえば…色々なことがぼんやりしているけど、動物に関しては忘れてない。

私はこめかみを少し押さえて思い出す……。

「…ウサギ」

私は顔を上げた。
うん、良かった―覚えてる。ウサギはウサギだって分かる。
けどあれは知らないわ。須磨(偽)を見上げる。

「あの動物は…、ほら、…コトちゃん、そこにカラスがいるだろ?」
須磨(偽)が言った。
「ええ…」
路地裏、私の少し上で、カラスは羽ばたいた格好のまま、…ずっと、空中でとまっている。
鳥もカラスも空中で止まっている、この世界で、動いている…?

「ん?このカラスは…」
須磨(偽)がカラスを気にしてる。

「そんなことより、ねえ!須磨偽君、ワラモビってなに?」
「落ち着いて、てんてんてんコトちゃん。さっきのはピンクだったね」

「ええ。きっと凄く可愛い動物よ…」
私はあの動物を抱きしめたい、と思った。

須磨(偽)は、にこっと笑って。


「あれは、君の記憶のかけらだよ。アルクスがソルを連れて来たみたいだ。
――じゃあ改めて。…俺はシグマって言うんだ」


そう言って、私の手を取って…きれいな顔で、嬉しそうに微笑んだ。

 

■ ■ ■

 


「メーナには色々な種類が居て、ピンクは恋愛に関する記憶。黄緑は日常生活の記憶。水色のメーナは悲しい記憶だから気を付けて。黒はよくないモノ―『ヴィラン』の集まりだから見たら逃げて。それと…黄色は―」

シグマ。
ほら、やっぱり須磨君じゃなかった。
私は少しがっかりしていた。

彼が―須磨君でもいいかなって、ちょっと思ったのに。

「聞いてる?―…コトちゃん」
「ええ。メーナを集めたら、私の記憶が戻るの?どうして?」
私は帰るのも忘れて、止まったままの街で彼に尋ねる。

すこし日が暮れてきた。
止まっているのは人、動物だけ。

そのまま、季節は巡り続ける。

その中でこの人―シグマと、今日はじめて会った佐奈(偽)さんと一緒に過ごす。
ただ、それだけの世界だと思っていたけど…。

「メーナが現れたのは、ソルの力だよ。彼は小さいけどすごい神様なんだ」
「…ええと…そうなの?」

「ソルが君を心配して、力を貸してくれたんだ。さすがアルクス。伊達に長生きしてないな――、おっと。……、とにかく、そろそろ帰ろう?」
「―ええ」
私は、力強く頷いた。そして歩き出す。

不思議な生物、ワラモビ…、じゃなくて、メーナ。
虫取り網みで捕まえられるかな…?そう言ったらシグマが笑った。手伝うよ、と言って。

「ああ、お腹が空いたわ」

私はつぶやいた。

――え?

「…お腹空いた」
立ち止まって、私は驚いた!お腹がすいている。

「それもソルの力だ」
「―すごい!」

「…ええと、ああ。君が『モテキ』を当てたご褒美に、ソルが許してくれたらしい。お―佐奈(偽)がメシを作ってるって。これで、俺もやっとメシが食べられ―、っと何でも無い」

…この人、スマホ、持ってたんだ。

聞き終わる前に、私は走り出した。

こんなに急ぐなんて、久しぶり…。

 

■ ■ ■

 


ソル、ありがとう。

私は夕飯を食べながら、神様に感謝した。
酢豚、私の大好物。

「―ねえ本当にあなたは『せいや』でいいの?もっと洋風な名前かと思ったわ」
青緑色の…どちらかと言えば、緑っぽい髪の人。倉本佐奈(偽)だったセイヤ。
「え、ああ、俺は元々…」
彼はエプロンを外して、テーブルに着いた。

セイヤはとても変な服を着ている。
赤色で、丈が長くて襟の詰まった、ビジュアル系バンドマンが着るような服。

家で出迎えた佐奈(偽)を見た時、私は「どうしたの?その格好」と聞いてしまった。

リビングには、私、シグマ、セイヤ。
そして。

「――セイヤ」
険しい顔で、セイヤを睨むアルクス。
彼は金髪で、長いストレートのサラサラした髪の毛。
ワンレングスで目は紫…。

…この人達は、私の記憶の手がかりや自分たちについての事を話せないみたい。
ソルの思し召しかしら…?

「おっと、そうでした。…コトちゃん、僕のセイヤってこの漢字でいいから」
アルクスに言われたセイヤは口をつぐんで、聖夜、とテーブルの上に指で書く。

アルクス、ソルはどこにいるの?」
二杯目のご飯を食べながら、私は聞いた。
食事も、会話も楽しい。

アルクスが不機嫌そうなのは、父(仮)として出損ねたからだって、シグマが言っていた。
お父さん?それは明らかに違う。だって私は日本人だもの。
――けどスーツだし、雰囲気は確かにそんな感じかも。


シグマは白い髪に青い目。髪型はビジュアル系。
彼もセイヤとおそろいの変な服を持っていて、色は青って言ってた…。
きっと良く似合うんだろう。少し切れ長な感じのくっきりとした目。
まつげや眉毛まで白い。


セイヤは青緑の髪に赤灰色の目。
髪の毛はシグマより短い――というかサッパリしている。
毛足の長い、落ち着いたラフなショートで、少しだけ跳ねたところが犬耳みたい。

目はまん丸で大きめで、雰囲気は犬っぽい。優しい感じ…。
今は赤いビジュアル系の服。シグマの方がセイヤより少し背は高い…。
…そう言えば彼はクリスマスカラーだわ。


アルクスは、金髪に紫の目。
けど服は目の色と同じ紫色じゃなくて、白なんだって。
今はサラリーマンみたいなスーツ。上着を脱いで椅子にかけてる。
…ちょっとクールな感じで、すごく格好いい。


「…コトちゃん、ソルは恥ずかしがり屋だから、きっと姿は見せないよ。俺もまだソルを見た事は無い」
シグマが少し微笑んで。

「――けど君のことを見守ってる。君にはソルのご加護がある」
セイヤが続けた。
アルクスも少し笑った。

「そうなの?」
私はご飯を食べている。

「…未だ食べるのか?太るぞ」
アルクスが言った。
この止まった世界でも、太るのかしら?
「―、ソルの力で何とかならないの?」
私は食べながら言った。でもまだ三杯目だけど…。

「…食い意地の張った女だな」
アルクスは呆れたみたい。溜息をついた。――タバコ、吸うんだ。
椅子にかけたスーツ(上)のポケットからタバコの箱とライターを取り出して、部屋を出て行った。

アルクスは、やっぱりお父さんみたい。
私は残されたスーツ(上)を見て思った。
……そう言えば、このスーツ…もしかして、お父さんのスーツ?
分からないけど……きっとそうなんだろう。

「ねえ、シグマ…止まったままの人達も、ソルの力で動けるようになるの?」
三杯目で、私は箸を置いた。まだ食欲は全部戻らないみたい。
屋上ではもっと食べていたもの。

「ん?さあ、どうだろうな…」
シグマに聞いたのは、シグマが一番、口を滑らせそうだったから。
けど、――シグマは知らないみたい。

セイヤはどうかしら?
「貴方は?知ってる?」
「さあ…。僕もまだソルに会った事は無いしなぁ、けどシグマに分からないなら、多分無理じゃ無いのかな。あ、…コトちゃん、プリン食べる?」
「―食べたい」

「もう一つあるよ」「食べるわ…おいしい」
…プリンを二個食べて気が付いたけど、話を逸らしたのね。
セイヤは片付けを始めてる。

「ああ、美味しかった…ねえ、これから、みんなここにいてくれるの?」
私は聞いた。
「―そうだね。…コトちゃんがそう言うなら。もちろん。…おい、部屋どうする?」
シグマが笑顔になって言う。そしてセイヤを見た。
考えてなかったみたい。
「二階の部屋と、あとは適当に使えば何とかなる」
アルクスが戻って来た。
「じゃあ、二階は僕が使おうかな」
セイヤが言った。
「セイヤ、お前は下だろ。…コトちゃんの隣は俺だ」
「え、僕も隣が良いなぁ?」
セイヤはシグマに笑った。

ヴー。と全員のスマホが鳴った。皆がそれぞれ取り出す。

「…二階はソルに使わせる。それでいいな」
スマホを見たアルクスが言った。
「分かったよ…」「残念」
皆はため息をついた。

「ソルに会えるの?」
「…さあ。どうだろう?じゃあ俺は裏の部屋でいい」
シグマが少し首を傾げて言った。
「僕は階段下でも良いけど…」
セイヤが言う。
「えっ、――他の部屋に」
私は、首を傾げた。…他の部屋?

「この家って、何部屋あったかしら?」

私の言葉に、皆が驚いた。
シグマは困った様に。
「…コトちゃん、一緒に確認しただろ?」
そう言った。

「だって、あの時は。何だか頭が今よりぼおっとしてて…」
何部屋あったかなんて覚えてない。

「ソルのせいだな」
アルクスが、クールに言った。
そっと…私のおでこを撫でる。

「え?ソルのせいなの?」

「、ふふっ、くくっ」
振り向くと、セイヤが口を押さえて笑っている。
「――面倒な事は大概ソルのせいって、っ」
「そういうモンなんだよ。慣れだ慣れ」
シグマは手をヒラヒラさせて、ぶっきらぼうに言った。
この人のこういう様子は初めて見る…かも。

「…コトちゃん、明日はどうする?」
そして、にっこり笑って私に尋ねた。
私は少し驚いたけど。

「もちろん、ワラモビ、じゃなくて、ルーイを探しに行きたいわ!
――あれ?ルー…イ?だったかしら?」
そう言った。

あっははははは!と大笑いが聞こえた。

「あっ。違うわ、メーナね。……ルー◆?…何の動物だったかしら…?」
「っく、コ…コトちゃん!それって―ボ◆バーマン、っく、スリー…!」
セイヤが笑っている。

――どうしよう、また…思い出せない!
その動物が、メーナに似てた…?気がするくらい。
私の記憶は穴だらけ…。

…だけど、今は全然、不安じゃ無い。

目的とか、分からないけど。
……ソルが見守ってくれてる。
ありがとう、ソル。

今日はもう寝ようかな。
「じゃあ、お風呂に―あ」

私はそう言えば、お風呂にも入って無かった、と思って愕然とした。

 

〈おわり〉

 

 

カクヨムに第4話③まで掲載。

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まあ一応宣伝なのですが、メインでは無いので読まなくても良いです。

 

メインはこっちこっち!(^^;) お願いします。

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