絵、時々文章なブログ(姉)

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長編小説はヘッダのシリーズまとめから探すと楽です。







■始まったあの日、止まった時の中で ~新章~ ④オトと一羽目のメーナ【オリジナル小説】

こちらのシリーズの続きを久しぶりに書いたのでアップします。なんだかんだ言って続いてますね(^^;)登場人物紹介も書きました。意外と長いのでご注意を。カクヨム版は分割してあります。

☆年末追記☆

このブログをご覧の皆様へ
なんだかんだで、このブログができてから、もう一年と二ヶ月くらい?経ちます。

裏を返せばまだ、たったそれだけとも言えますね…(^^;)
この変なブログにいつもお付き合い下さって…ホントにありがとうございます。

 

今年2016年は皆様にお会いできた、本当に嬉しい一年でした。私にはもったいないご縁ばかりで…本当に上手く言葉にできないくらい(^^)!


来年2017年( ※あとあと忘れそうなので年を書いておくスタイル)も細々と文章やイラストなどを無軌道に続けて行きますので、思い出した時にでも見てやってください。久々に見たら、案外小説が進んでてビックリ(゜Д゜)!と言うのを期待して…下さい。2017年も全力で変な事をやってると思います。

では、よいお年を♡

【登場人物紹介・用語】 ※外見の説明 - 始まったあの日、止まった時の中で(sungen) - カクヨム

始まったあの日、止まった時の中で(sungen) - カクヨム

 

 【本文字数 8187文字】

20160224220617

■始まったあの日、止まった時の中で

 

「大丈夫、ソルの力だよ」

シグマは笑って…そう言った。

 

 

オトと、一羽目のメーナ

 




シグマに言われて、私はホッとした。
「そうなの?…良かった」
…お風呂に入っていなかったけど、ソルが来る前は必要無かったんだって。


私は久しぶりのお風呂から出て、自分の部屋に戻った。

私は窓の前に椅子を置いて座って、ベランダ、夜空をなんとなく眺めていた。
この椅子はベッドの向かいにある、勉強机の椅子。

夜空には黄色い星が沢山ある。
星ってこんなにたくさんある物だったかしら?
やっぱり思い出せないけど、メーナは虫取り網かしら…?
ホームセンターに行けばあるのかな。

そんな事を考えていると。
「あら…?」
カラカラと音がした。ベランダの窓が開く音。
閉まる音はしない。

…隣はソルの部屋で、ソルが帰って来たのかもしれない。

隣の部屋とはベランダはつながって無い。
けど姿が見えるかなと思って、私は窓を開けた。

アルクスは、ソルは神様だから忙しいって言ってた。

私の部屋の隣、ソルの部屋の扉にはいつのまにか、『ソルの部屋♡』とマジックで書かれた白くて薄い、プラスチックのプレートがかけてあった。
…プレートの縁取りはピンク色。紐は赤いリボン。文字はかわいい丸文字。

それで、二階に上がったときに気になって…ノックして扉を開けてみたけど…誰もいなかった。

「ソル、いるの?」
私はベランダから声を掛けた。
少し待ったけど返事は無い。おかしいわ。…いないみたい。
ベランダの窓は空いたまま。帰ってきて、また出かけたのかしら?

私はもう少し、隣のベランダを眺めていたけど。部屋に戻る事にした。
「…あら?」

勉強机に、虫取り網が立てかけてあった。

からから、と窓が閉まる音がした。
ちょっと慌ててる?私はくすりと笑った。

――早く、恥ずかしがり屋のソルに会いたい。

 

■ ■ ■

 




「おはよう、…コトちゃん」



「――きゃっ」
目を開けた私は変な悲鳴を上げた。
いきなり目に飛び込んできたのは、床に座って、ベッドの上の私をのぞき込むシグマ。

「やっと起きたね」
「……シグマ、驚かせないで。もう、勝手に部屋に入ったの?」
横を向いて寝ていた私は、眠い目を擦った。

「ごめんゴメン。ねえ、もしかして、昨日ソルに会えた?…そこに虫取り網がある」
シグマは嬉しそうに笑ってから、勉強机を指さした。
彼は今日は青い、丈の長いビジュアル系の服を着てる。すごく良く似合ってる。
もしかしたら本当にバンドやってるのかしら…?なんて思うくらい。

「ううん…会えなかったの。またお礼が言いたいわ………」
「そのうち会えるかもね」
シグマはニッコリと笑った。

「そうね…」
私は起き上がらずに寝返りを打った。
もう少し寝よう…、だってこの世界は、みんなが止まっているんだもの…。

「…コトちゃん、…弱ったな。まだ起きないぜ」
シグマが立ち上がって、腰に手を当てて困っている気がするけど、きっと気のせい…。
誰かが二階に上がってきて…?

「…コトちゃん、朝ご飯冷めるよ?」
「…!……おき、る」
扉を開けたセイヤに言われて、私は眠気と闘いながら、何とか起き上がった。


■ ■ ■


「居ない…」
私はつぶやいた。

「居ないな」「うーん…」
私の隣に虫取り網を持ったシグマと、今日はセイヤもいる。
アルクスは留守番。

私は近くの公園でメーナを探すことにしたけど…。いないみたい。
この公園は広くて、大きな噴水があって、噴水の水は止まってる。
木はそよ風に揺れた格好のまま。
犬を散歩している人が居たり…ランニングしている人が居たり…。

あの日、止まったときの時間は、朝だったの。

さっきまでスカイブルーだった空が青い――だから今はもうお昼ごろ。

「ねえ、シグマ、セイヤ。どこにメーナが沢山居るとか、わからないの?」
私は噴水のふちに座って尋ねた。

ちゃぷ、と音がして見ると、セイヤが噴水の水を触ってた。
水は水だけど、手を入れることも出来るけど、流れは止まって…。不思議な世界。

「…ほら、コトちゃん、メーナは居ないけど、ハトがいるよ。カラスも」
シグマは止まったままのハトを拾って、私にくれた。
「ええ…」
動かないと、こんなにも寂しいんだ…。私はハトを受け取ってそう思った。

少し撫でて、噴水のふちに置く。シグマはカラスも持って来た。
「カラスにも触ってみる?」
「そんなことより、…そう言えば、お腹が空いたの」

私は青くて、すごく高い空を見上げた。
そう言えば――この世界には光はあるけど、風がないわ。
今日は良い天気。

お弁当を持って来れば良かった…。
セイヤに心配いらない、と言われたけど。

「…あら?セイヤは?」
私は顔を上げた。

「さあ…、ん?…コトちゃん!ほら、あそこ」
シグマが指さす方、地面が舗装レンガの場所に、どこかのお店のボックスカーがあって、いつのまにか席がたくさん用意されてる。

「あ」
私はぱっと笑顔になった。
「早く食べに行こう」
「ええ」


「―いらっしゃい。…コトちゃん。何が食べたい?」
セイヤが笑った。
「じゃあ、このミラノサンドAとミラノサンドB、あとアイスココア」
「了解。デザートは?カラフルなアイスも色々あるよ。おすすめはクッキーとクリームのアイス、ストロベリーとチーズケーキのアイス…あとは」
「……、ダイエット中なの」
「あれ?そうなの?――好きな席で待ってて、作るから。あ、そうだシグマは?」
セイヤが言って、調理をし始めた。

「俺はポテト(M)と、コーラ(M)とチーズバーガーでいい。…コトちゃん、先に席取っとくよ?」
他に人は居ないけど、シグマはチャラい感じでそう言った。

私が、セイヤが調理しているところを夢中で見ていたから…。

「はい、…コトちゃんの分。どうぞ

私は受け取って、シグマが選んだ席を振り返った。
ソルはいつのまに、席をこんなに用意したのかしら…?

…コトちゃんは痩せてるのに、よく食べるよね」
セイヤが言った。

「ありがとう。セイヤ。けど、アルクスにも言われて……やっぱり、ちょっと控えないと、ソルのせいで太るかもしれないし…。ねえ、先に食べててもいい?」
「もちろんいいよ。シグマの分もすぐ出来るから」

その後、セイヤが大きなお盆にいっぱい、シグマとセイヤの昼食を入れて運んで来た。セイヤはホットドッグと小さいバニラシェイクとウーロン茶。
ブルーとホワイトのパラソルの下の、白いテーブルが賑やかになる。

「てんてんてんコトちゃん、ポテト食べる?」
シグマは赤色の紙の入れ物に入ったポテト(M)を食べている。…細いタイプで、おいしそう。
「ええ、……、少し」
私はポテト(M)を少し貰った。
「…!おいしい。セイヤ、すごい」
そのポテトは、お店で食べるポテトみたいだった。
ええと、なんていうお店だったかしら…?
…こんな事も思い出せないのね。味は覚えているんだけど…美味しい。

「気に入った?」
セイヤが笑う。相変わらず、サンタクロースカラーだ。
「ええ!…あっ、」
ぽろりとポテト一つ、落としてしまった。

その時。
「きゅ-;い」
と鳴き声がした。
「あっ、」
黄緑のメーナがさっと、落としたポテトをくわえて行った。

「メーナだ」「メーナだわ!」「メーナだね」

黄緑のメーナは少し先のテーブルの、椅子の下で、「きゅー;い」と鳴きながらポテトを囓っている。たまにこちらを見て、またかじる。

…警戒してるみたい。

「どうする?捕まえようとしたら逃げそうだ」
シグマが言った。
あのメーナは私達が席を立ったら、多分遠くへ行ってしまいそう。
「ええ…、ポテト(M)で呼んだら来るかしら…?」
「じゃあ、その隙に、僕が網で。シグマは居ないフリ」「分かった」
セイヤが言った。セイヤが捕まえる係で、シグマは動かない係…。

「上手く出来るかしら…、」
私は出来るだけそっと椅子から降りて、ポテト(M)をレンガの上に置いた。

「…コトちゃん、それちょっと違う。撒《ま》かないと」
まっすぐ置いたらセイヤに言われた。
「そうね…、おいで…!」
私はぽん、とポテトの箱を持って中身を撒いた。びくっとメーナが固まった。

「ちょっと派手じゃ…」「いや、来たぞ、用意しろ」
セイヤが言って、シグマがあまり動かずに言った。

「おいで、食べていいのよ」
「きゅ;?」
メーナが近寄ってきて、ばらまいたポテトを食べ始めた。

一本、二本…よく食べる。私はしゃがんだままそれを見た。

そしたら。
バサッ!
「きゅ!;い!?キュキュッ!」
「あっ」
私は思わずセイヤを見た。
そうだ、捕まえるんだったわ。

「よし、捕まえた!」
「おお…すっぽり入ったな」
シグマも動き出して、腰を曲げてメーナを見下ろす。

「…ええと、これってどうすればいいの?」
きゅい、きゅいっ、と網の中でメーナはせわしなく暴れている。
少し止まってきゅー…、と困ったように鳴く。そしてまた網の中で暴れる。

近くで見たメーナは、ちょっと大きいウサギみたいな感じで、まんまるの黒い目が可愛い。
いま、ぱちぱちと瞬きした。
…襟元に白いフサフサの毛が生えてて、しっぽは短い。ぴくぴく動く長い耳の、丸っこい、ワラモビ、って感じの動物。
少し落ち着いたみたい。

「可愛いね」「可愛い!」「可愛いな」
私はキョロキョロするメーナをそっと網から出して、しっかり抱きしめた――。

「きゅー;い」
耳を下げて観念した様子のメーナは、…私の方を向いた。

――ばち、と。
メーナと目が合った。

「おっ。日常生活の記憶が戻るか?」
シグマが言った。

「……」
私はメーナと目を合わせた。

「…」「きゅ;?」

「…」「きゅ;?」

おかしいわ。

「ねえ、何も無いんだけど……」
私は耳をぴくぴくと上下に動かすメーナを持ったまま、眉を潜めて首を傾げた。
「あれ?シグマ、メーナって、捕まえたら記憶が戻るんじゃ無いの?」
セイヤが言った。
「いや、そこは俺もよく知らない。今日出てくるとは思わなかったし。アルクスに聞いとけば良かったかな?そんなことより、…コトちゃん、やったね!」
シグマが笑って言った。
――シグマってばチャラい。ノリが軽いんだから。

「…もう。じゃあ、この子は連れて帰って、アルクスに聞きましょう」
私はメーナの背中を撫でた。
きゅ;ぃ?とメーナが振り返って、私を見上げる。
「そうだな」「アルクスなら知ってるよね」
二人も賛成みたい。

「…メーナ」
私は捕獲した、1匹目のメーナをじっと見つめた。

……メーナはウサギみたいで美味しそう。

 


「きゅ;;」
――食べたりはしないけど。

 

■ ■ ■

 


「知らんな」
「え」
メーナを連れて帰って来たら、アルクスにそう言われてしまった。

「オトに聞け。今、ソルの部屋に居る」
アルクスはそう言った。

――…オト?

シグマとセイヤも不思議そうな顔をしていた。
この二人は『オト』を知らないみたい。

「オトって?」
私は聞いた。
「オトはまだ子供だ」
アルクスは言った。
彼は居間で足を優雅に組んで、…タバコを吸いながら、テレビ(録画)を見て新聞を読んでいる。
「…そうなの??子供…オトはアルクスの子供?とか…」

「どうしてそうなる?…さっさと行ってこい」
「そうよね、今のは冗談なの」
私はそう言った。すこし笑って…。
アルクスって…美形なのに。何だか、行動がおじさんみたい。


「俺達はソルの部屋には入れないから」「神様だしね」
「え、分かった…」
階段の下で、シグマとセイヤにそう言われたので、私はメーナを抱いたまま、ひとりで二階に上がった。

黄緑のメーナは帰る途中で眠ってしまった。今も寝てる…私は背中を撫でる。
毛並みが柔らかい。本当にウサギみたい。


ソルって、凄く偉いんだ。
……じゃあ、オトは?


コンコン、と私はドアをノックした。
「オト、いるかしら…?メーナを捕まえたんだけど」


「…入っていいよ」
声がした。男の子だ。


「お邪魔します」
扉を開けて…私はあら、と思った。
この部屋――白黒になってる。
部屋にベッドがあって、勉強机があって、窓の前に。

「貴方がオト?」
紫色の髪をした、藍の目の男の子がいる。十二、十三歳くらいの。

もう少しでおかっぱ…。ボブカット?と言うくらいの髪の長さ。
目はぱっちりとして可愛い感じ。

紫色の、皆とおそろいの服…けど黒くて短い半ズボンにブーツ。その上にフードのついたマントみたいな上着を羽織っている…。魔法使い?

「うん」
髪質はアルクスに似てサラサラ。
アルクスみたいなワンレングスじゃなくて前髪がある。前髪は眉毛が隠れるくらいの長さ。


「はじめまして……、私は……ええと、私は私が誰か分からないの。さっきメーナを捕まえたんだけど、記憶が戻らなくて…」

「かして」

私はメーナを渡した。
オトはメーナを受け取って、起きて、というとメーナは目を開けた。

オトがメーナをベッドに置く。
「ソルが忙しくてサボったんだ。僕が言っておくから。…今度からメーナを捕まえたら『ソル大好き。記憶を戻してお願い♡』って言うといい。―じゃあ、メーナの力を君に…」

オトはメーナのおでこに手をかざして、きゅ、とメーナが鳴いた。

ふっ、とほんの少し風がおこって、淡い光のぼんやりとした球体が、メーナから取り出される。
それはふわふわとオトの手のひらの少し上に浮いていて、少し明るくなったり、少し暗くなったりしている…。
ユラユラと揺れて、頼りない光。

「…この光が、私の記憶なの?」
「うん。じゃあ、君にこの記憶をあげるね」

オトはそう言った。

まばゆい、白い光が白黒の部屋に広がっていく…。

 

■ ■ ■

 


「ねえ、須磨君。大事な話があるの」


アイス(チョコミント)とアイス(ストロベリー)持った…私…?
いえ、美琴がそう言った。
隣には佐奈がいる。

――佐奈は相変わらず子供っぽい…。

「ん?」
噴水に座って、ハトを眺めていた須磨君が返事をした。
――須磨君と佐奈は二人とも私服で、サッカーボール。
これはいつの記憶かしら…?

「何話してるの?はい、アイス」
遅れてきた真琴?…が尋ねる。あら?こっちが美琴みたい。
だって自分用の六段アイスを持っているもの…。
美琴は須磨君にアイス(メロンシャーベット)を手渡した。

「ああ。大事な話なんだ」
ぺろりと佐奈はアイス(ストロベリー)…を舐めながら真剣に言った。

そして続ける。
「なあ、彰。水切りってどうやるんだ?」

「何だ、そんな事か、えっと石…」
須磨君はアイス(メロンシャーベット)を食べながら、石を探し始めた。

そして皆で、噴水に向けて石を投げ始めた。周囲には人はそんなにいない。
親子連れくらい。
「下手だなーいいか、だからこうやって」
ヒュットントントン!と須磨君が石を投げて弾ませる。
「おおスゲー!」

「美琴、真琴、お前達も」
佐奈は目を輝かせて、私達にやれと言う感じ。
「ちょっと待って、すぐにやるから。真琴もやろう」
美琴はまだ食べてる途中で。あと三段。水切りに興味があるみたい。

「えー。見たかったけど。手が汚れるのはちょっと嫌」
真琴はチョコミントonバニラアイスをのんびりと食べている。

その間も男二人はひたすら水切りをしている。


「やってみようかしら…?」
しばらくして、そう言ったのは真琴。アイスを食べ終わって、ちょっと暇になったみたい。石を受け取って、須磨君に投げ方を教えてもらい始めた。

「あ、私も…けど怒られないかしら」
と遅れて食べ終えた美琴が立ち上がる。

 

「ちょっと、あなた達、噴水に石を入れるのは…」
と、通りすがりのおばさんに言われた。


「「「「あ、すみません」」」」

――そこでぴたっと。景色が止まって――
記憶全体が、まばゆい光に包まれた。


■  ■ ■

気が付くとオトの部屋だった。私はベッドに座っていて、オトが隣で私をじっと見てる。

「…凄く、どうでもいい記憶だわ」
私は、頭を押さえて溜息を付いた。
「あれ、そうだった?」
オトは少し驚いたみたい。

私はおでこを触ってみる。
「頭が痛いとかそういうことは無いのね…あのね、本当に日常生活の記憶なの。今日、シグマとセイヤと出かけた公園で、私と、須磨君と、佐奈と、私…?いえ、私達二人が、石投げの練習をして、通りすがりの人に怒られるの。オトは水切りって知ってる?」
私は言った。
「??知らない。……コトちゃんは知ってるの?」
オトは、不思議そうに首を傾げた。

私は笑って言った。
「あのね、私も今思い出したんだけど…、平たい石を水の上に上手く投げると、とんとん、って水の上を跳ねる事があるの。四人でアイスを食べたりして。須磨君は上手で、佐奈は下手。私達は…どうかしら…?そこで終わって…二人一緒だったから…私がどちらかは分からないわ…」
私は夢中で話して、少し肩を落とした。

「…けど、思い出した記憶は焼き付いて、もう忘れないみたい。ソルのおかげかしら?」
私は、もしかしたらこの子がソルかもしれない…?と思って言った。
…違うかしら?

「うん、それはもちろんソルの力だよ!良かったね、……」
オトはとても嬉しそうに言った。今気が付いたのだけど…メーナはオトの膝の上にいる。

メーナはオトに撫でられて、
「きゅー;…」
と嬉しそうに目を細めている。

「……こんな感じで、この世界に、メーナは無限に居る。「君達」の思い出が残った場所に。メーナはソルの世界の記憶だから…。――君はここに居たければ、『その時』が来るまで、ずっとここにいても良い――けど、もしここから出たいと思ったら」
オトがそこで言葉を切った。

「…何か厳しい、罰とか、条件があるの?」
私は尋ねた。

「どうだろう。ソルは優しい神様だから…?……けど、そうだね、もう皆とは会えなくなるかも」
オトはそう言った。

「…そう、なの?」
その時が来るまで。ずっとここに居てもいい…?

「…その時って?」
「時?時は時間だよ」
オトは首を傾げた。
「よく分からないわ」
「ええと、うーん……どう言えばいいのかな」
オトは困り始めてしまった。

「もしかして…オトも詳しく話せないの?」
「え?……、うん」
オトは頷いて、申し訳無さそうにした。

メーナはオトの膝の上で眠ってしまった。
「このメーナは、どうするの?」
「……コトちゃんは、どうしたい?」
オトはちょっとぎこちない感じで、私をそう呼んだ。

「メーナって逃がす物なのかしら?野生の…?」
「…メーナはソルが作った、記憶を守る為の生き物だから、別に、このままソルの部屋に置いても良いよ。……コトちゃんが、また捕まえたらこの部屋に…、とかも。メーナの世話は僕がするよ」
オトは少し頰を染めて、ぎこちなくそう言った。メーナをすごく飼いたいのかしら?

「じゃあ、お願いしてもいいの?たまに遊んであげて良い?」
「うん。僕は昼間は居ないけど…メーナが食べられるものを用意しておくよ。たまに様子を見て、皆で良く構ってあげて。散歩とか…、記憶を戻した後のメーナは、部屋から出しても逃げないから」

「すごく良い動物なの?」
私はすやすや眠っているメーナを撫でた。
「うん。…そうだ、……コトちゃん、このメーナに名前を付ける?」
オトは目を輝かせてそう言った。

■ ■ ■


『……コトちゃん、センス無い』
結局思い浮かばなくて、また明日、という事になった。
オトに呆れられてしまった。

「麦茶、菓子パン、挽肉、牛肉、すき焼き、美味しい?…」
私はベッドに座って、髪を解かしながら、あのメーナを思い浮かべた。
どんな名前が良いのかしら?

そう言えば…オトは、
『ここはソルの世界だから』
そう言っていた…。

…ここは、ソルの世界?止まってしまった、元の世界じゃ無いの…?

『その時が来たら出られる』『ずっとここに居ても良いよ』
…皆に会えなくなるけど、元の世界に戻れる?
…それが嫌なら…ここにずっといてもいい?

明日、皆に聞こうかしら。オトにも詳しく尋ねて…。

そこで私は首を傾げた。私は…美琴と真琴、どちらなのかしら。
もしかして美琴?…なんとなく、食べるのが好きな所は美琴みたいだと思うけど…。
―私は、今の所、自分を記憶を無くした美琴だと思っている―。

だけど双子だから真琴ともそっくり。
映画館で、そういえばメーナは居なかったけど、記憶が戻った…。
メーナ以外にも記憶が戻る方法があるのかしら…。
それとも映画館のあれは…緊急措置?

メーナを…もっとたくさん探さなきゃ。

私はそう思った。自分がどちらかわからないのは不安だわ。

美味しい物も、もっと食べたい…。

「美味しい、デリシャス、…うまい、うまそう?……?あら…?」
コンコン、と音がして、扉を見ると。

「やっぱり、今日は一緒に寝ても良い?メーナが寂しがるんだ」
パジャマ姿のオトが、起きてしまったらしいメーナを抱えて入って来た。

きゅ;;、とメーナが私を見て鳴いた。


〈おわり〉

 

 

 

カクヨムに第5話⑤まで掲載。

kakuyomu.jp

なにげにお話が進んでる…。

 

sungen.hateblo.jp

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あっという間に年末ですね。今年も残すところ、あと一日。

皆様、お部屋の大掃除は済みましたかー(^^)?私は今年はバッチリ快適です!

2016年のブログ更新はこれが最後です。ではでは、よいお年を。

 

 

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